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自称悪魔と付属品 ~魔力なしの異世界攻略法~  作者: ひのる
第一章 悪魔の潜む街
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終点の始まり

 俺はさっきまでゲームをしていたはずだった。

 敵があまりにも弱すぎてつまらないので、ギャンブル系のスキルばかりを使って、一種の縛りプレイを楽しんでいた。

 それなのに、だ。


 ――パルテンテを唱えて、俺のほうにも影響でるなんて……聞いてねぇぞ!



「……うおっ、爆発かっ!」


 俺がコマンドで『特技:パルテンテ』を選択した途端、目の前のゲーム機が爆発した。

 部屋を覆うほどの煙が出るとか、このゲーム機、どんな欠陥商品なんだよ。

 煙が晴れるまでは、無闇に動かない方がいい。下手に動いて、せっかく完成したプラモデル達を壊したら嫌だからな。


 時間にして十秒ほどだろうか。意外と長い時間だったが、だんだんと煙が晴れてきた。

 目に入るのは赤い絨毯と……王の椅子? さっきまでいた俺の部屋……ではないよな。


「……何処よここ?」


 あれだ、夢に違いない。

 ゲーム機が爆発したのも、何かの間違いだろう。

 そんなわけなので、とりあえず寝てみよう。

 目が覚めたら自分の部屋に戻っているよな。そうに違いない。





 横になって、しばらく寝付けずにじっとしていると、近くから声が聞こえてきた。俺の他にも誰かいたのだろうか?


「くっ……いったいどうなったんだ……」


 声がした方を薄目で見ると、なにやらゴスロリ風な服をきた金髪少女がいた。

 魔法少女のコスプレか何かだろうか?

 このまま寝付けないようなら、あとで暇つぶしに話しかけてみるか。


「……あ? そ、そんな……これは、俺?」


 そのまま少女の近くへ視線を向けていると、人間と見間違うほど、精巧に作られた石像があった。

 どうやら先程の少女は、それを目にして驚いているらしい。


 知り合いがモデルになっているのだろうか。

 仮にそうだったとしても、少女の表情は、悲しみというか、驚愕という表情にあふれている。

 知り合いがモデルなら、もっと歓喜したり関心したりするものだと思うけどな。


「ということは……この服といい、さっきからチラチラと視界に入る髪といい……まさか……そんなっ!」

「へぇ、これは実によくできているね」

「……っ! 魔王、てめぇ!」


 よく見ると、少女の他にも人がいたらしい。

 いや、あれは人、なのか……?

 見た目は少年だが、頭にツノはあるわ、背中に黒い羽は付いているわ、不気味な仮面はつけているわ。

 それだけならただの中二病という感じだが、何よりも……威圧感。というか、纏っているオーラが只者ではなさそうだ。

 なんというか、少女が呼んだように魔王そのものって感じだ。


「まずはこの石像を、僕の部屋に飾ろうかな」

「誰がそんなこと許すか! 喰らえ!」


 目の前にいる少女は、中二病を拗らせてるようなやつに落ちていた剣で斬りかかるが、それは俺の目から見ても悪手だ。

 なんというか、普段使い慣れていないけど、とりあえず振ってみました的な攻撃に思える。

 第一、剣の重さに耐えきれなくて、ふらついているじゃないか。


「おや、その攻撃は何だい? 先ほどとは違い、随分と弱くなったね」

「くっ……俺の剣が、こんな重いなんて」

「ちょうどいい、そこで倒れている人間のように、しばらく大人しくしているんだね」

「何を――ッ! うっ……ぁあ! あっ……あ……っ!」


 見た感じ、この中二病と目の前の少女は、今まで戦っていたらしいな。

 中二病のほうが何か囁くと、少女は身動きが取れなくなったようだ。同時に、無理をして手に持っていた剣がカランと落ちた。

 少女は抵抗しようにも身体が動かないらしく、苦悶の表情を浮かべている。

 しょうがない、俺の出番か。格好良く助けて、ヒーロー見参という感じでしょ!


 ……と思ったが、どうやら俺も動けなくなっているらしい。

 今はまだそのタイミングではない、ということか……誰にも気づかれていないみたいだから、ポジティブにいこう。


 俺がそんなことを考えたりしている間に、中二病を発症している少年は石像を運び終えたらしい。

 戻って来なくてもいいのに、こっちへ戻ってきた。


「君も一人では何もできないだろう? せっかくだし、僕の部屋へ招待しよう」

「っあ! ……あぁっ!」


 どうやら少女も奥の部屋へ連れて行くみたいだ。

 抵抗しようとしているが、まだ動けないらしい。

 その様子を助けたいが、俺もまた動けない。

 ここは動けるまで待機して、相手の虚をついて救出するか。


「そういえばもう一人仲間がいたね……ん? 男だっけ?」


 やばい! 気づかれた!

 動揺して、思わず目が開きそうになったが、薄目のまま動かなかった。

 これについては奴の麻痺魔法? に感謝だな。


「そこの鳥はもうすぐ消滅しそうだし……まあいいや。こいつも連れて行こう」

「っあ! ……っ!」

「……………………」


 動けない少女と、ついでに俺も奥の部屋に引きずられていく。

 そういや気にしてなかったけど、近くにグリフォンみたいな獣もいたんだな。

 もし動けたら、少しでもいいからモフりたかった。


 かくして、俺は奴の部屋に招待されてしまったのである。

 しかし、乱暴に引きずってくれるな。

 摩擦で痛いじゃないか……って、これ! 夢じゃないのかよ!







 ……………………着いたな。

 奴の部屋は、いかにも金持ちの部屋という感じだ。

 高そうな絵に、見たこともないような武器。それに趣味の悪い美術品やらが飾ってある。

 それでも、THE 中二病と呼べるような品物は飾ってないみたいだ。


 ……同時に、ここが俺の知る世界ではないことも伝わってくる。

 夢、じゃないんだろうな。

 今の状態を表すなら、異世界召喚といったところだろう。

 その場合、なにかスキルが発動するのが定番だが、俺には何ができるんだろうか。

 まさか……召喚の場合は何も出来ないってことはないよな。


「っあ! ……はなせ! おのれ魔王! よくも……っ」

「ああ、時間切れか。もう少し静かにしてくれないかな?」


 この世界についてや、俺に出来ることを考えている間に、どうやら麻痺状態は解除されたらしい。

 というか少年。麻痺が解除されたからって、その辺に俺を捨てるなよ。


「俺達を元に戻せ!」

「おかげで僕はさっきより強くなったよ。今のきみに倒せるかな?」

「ちっ……シーシアの短剣しかないが、やるしかない!」


 目の前ではゴスロリの少女が必死になって戦っている。

 じゃあ……俺は?


 瞼が自由に開くようになったので、こっちも動けるようにはなったらしい。

 しかし、俺も戦えるのか?

 こいつらの戦いが終わるまで傍観して、気づかれずに立ち去るのが賢い選択じゃないのか。

 まあ、この場から脱出できる保証はないが。


 しかし、立ち去ったあとはどうする? 扉を出たら、家に戻れましたーとなる確率は……ほとんどゼロだ。

 なら、雑に扱われた恨みもこめて、こいつに一発喰らわせるか。


 俺も戦う。

 そのためには……力だ。何かあるはずだ……何か、何か。

 身体の奥底からみなぎってくる感覚。それを掴み取るんだ。


「シ、シーシアさん。でも、ゆうしゃさまが……」

「俺も泣きたいが、泣くのはあとだ! この状況をなんとかしろ!」

「……はいっ!」


 すぐ目の前から、新たに可愛らしい声が聞こえてきた。

 気づかれないように視線を向けると、先程とは別の少女が奴と戦っている。

 仲間なのか? ゴスロリの少女はシーシアというらしい。

 見ると、彼女たちは押され気味だ。

 それも、素人な俺が見てわかるほどに。


 こんな娘たちが、目の前で戦っているというのに……俺は、何もできないのか?


 俺も――力が欲しい。

 それも、目の前の少女を助けられるような力が。


 目覚めろ、俺の力。

 呼ばれたからには、何かあるはずだ!

 しかし、身体中を探ってみても、何か力が湧いてくる感覚はない。

 くっ、チュートリアル的な説明はないのか!


 自分に力がないなら、誰でもいい……俺に――力を!





 その時、声が聞こえた。


『――汝、名は』

『誰だお前』


 周りを見渡すも、目の前で戦っている奴ら以外に人はいない。

 だとすると、この部屋の美術品に関する存在か?

 でもこいつ、俺の脳内に直接……っ!


『――名は何という』

『陽平だ。大宮陽平』

『――力を貸そう。契約だ』

『待て。お前はなんだ?』

『――いずれこの世を支配する存在だ』

『神か悪魔か、どっちだ?』

『――なんとでも呼ぶが良い』


 メリットだけの契約……というわけでもなさそうだな。

 ただ、今の俺は何の力もない存在だ。もし、この世界で生きて行くしか無いとすると…………なら、選択肢は一つだ。


 この状況を脱出し、生き残るためには……契約してやるよ。

 例え、それが悪魔の力だとしても!


『他には、契約内容とかデメリットとか詳しく聞きたいが……今は時間はない! さっさと寄越せ!』

『――後悔するぞ』

『今何もできなかったら、それこそ後悔するんだよ!』

『――気に入った……契約成立、だな』


『――この世界を攻略して、私のところまでこい』





 …………何者かと契約をした。

 だが何故だろう。

 力は手に入れたはずなのに、全く強くなった気がしない。

 ――力が欲しいか? と言ってくる奴に、碌な奴はいない気もするが……貰ったからには、有効活用してやるよ!


「さて、君は何秒持つかな?」

「……くも、……よくも、勇者様とシーシアさんを!」

「ふぅ、小細工をするまでもないか。これで終わりかな」

「――リフレクションガード!」

「悪いね! 今の僕には、防御さえ意味ないんだよ!」

「えっ、きゃぁぁぁ!!」


 見ると、ゴスロリの少女も倒され、参戦してきた少女もおされているようだ。

 防御が奴に……砕かれた?


 やばい!

 次の攻撃で終わる。俺の直感がそういっている。

 せっかく力を手に入れてもこれじゃ……いや、まだだ。


 間に合え! というか、間に合わせるッ!


 俺は二人に向かって突撃しながら、さっき手に入れた悪魔の力を顕現させる。

 詳しい能力まではわからないが、この力さえあれば状況を打破できる!

 俺は手にソレの感触を感じたと同時に、二人の間に割り込んだ!


「……待たせたな!」


 モノや見た目はともかくだ。

 覚醒させた力で、女の子のピンチに駆けつける……フッ、完璧だな。


「「……誰?」」


 はい、ごもっとな意見ですね。

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