突入
日曜か月曜に更新できなくてすみません!!
俺が甚大な精神的ショックから復活した後、俺たちは村長の家の前で装備を整えていた。
「おい。いつになく腰が引けてるぞ」
「ご、ごめん」
「おいおい、そこまで素直だと逆に怖いんだが」
「そ、そうだな。よし。」
やっと震えが収まった。だけど扉が開いてゾンビが出てきたら俺は逃げるぞ?
「お兄ちゃん。さっきはごめん」
「ああ。別にいいんだ。俺こそ悪かったな、あんなに怖がったりして」
俺たちが話している間にみんなは装備を整えたようだ。
ちなみに俺の場合は【始まりの町】でレイさんに強化してもらった初期装備一式しかないので装備を変える必要がない。というか他の装備が無い。
「すいません!どなたかいらっしゃいますか!」
ヒルドが村長の家の前で声を上げる。
しかし、いつまでたっても何の反応もない。
「怪しいな……」
「ああ、だとすれば不用意な手出しはやめたほうがい――――」
「お兄ちゃんどいて!」
ファルナの叫び声にあわてて振り向くと、そこには扉から少し距離をとり今まさに走り出さんとする妹の姿があった。
「ん?え、オイやめろ、ちょっと待てっ!直っ、避けろ!!」
「せっやあああぁぁぁぁぁ!!」
「え?なんd――ぐはぁっ!」
俺の警告もむなしく、扉に向かって駆けるファルナにぶつかって吹き飛ばされる直。
そしてミルシェはそのままの勢いで扉に蹴りをかまし――――ズカァァンという爽快な音とともに扉を吹き飛ばした。
「おい!なにやってんだこのバカ野郎!!」
「いや、ヒルデがなに言っても扉開いてくれなさそうなんだもん」
「ふざけんな!普通のNPCは生き返らないんだぞ!!今回は誰も巻き込まれていないから許すが、今度不用意な真似をしてみろ!絶対に、殺すぞ。」
凍てつく様な殺気を放ちつつ、冗談ではないことを示すために剣を突きつける。
今更だが、俺はNPCもひとつの人間として考えている。
前も行ったが騎士などといった特殊なNPCしか生き返らないのだ。無駄に殺すよう真似は決して許さない。
さらに言えば、俺は人を倒すとは言わない。殺さなければならないのなら、殺すと言う。
学校の教科書のように言葉をオブラートで包んだりはしない。
そして、有言実行でもある。殴るといえば、たとえ骨が折れようとも絶対に殴る。
俺が本気なのに気づいたのか、少し怯みながらも気丈に言葉を返すファルナ。
「だけど、モンスターも本質は同じものだよ?」
俺と同じような考え方をするようなプレイヤーが、浅い考えで言ったのならここで少し迷ったかもしれない。
しかし、俺はその問いの答えを用意していた。
「モンスターを相手にしてそういう考えをできる奴がいるのなら、モンスターもそいつにとって見ればこの世界の住人なんだよ。人の主観によって見方は変わってくるもんだ。俺は、モンスターは食物連鎖の中の生き物として考えてる。つまり、俺たちが現実世界で生き物を食べるのと同じものだとして捉えてるってことだ」
「だけどそんなの、きれいごとだよ!」
「分かってる。お前にとっての見方が俺の見方がどっちが正しいとかは言うつもりはない」
「……」
「ふう。
まあ、人によって変わるってことだ。お前のことを責めることはするが、お前に俺と同じように考えろとは言わない。うるさく言って悪かったな。」
「おいエデン!中に入るぞ!」
直の声で、自分で何が言いたいのかわからなくなってきた会話を、強引に終わらせようとする。
「ああ!わかった!ミルシェ、まあ、人は生きていく中で何らかの答えを出していくものだ。いつかお前なりの答えを見つければいい」
「うん…」
「おい!なにやってんだ!」
「悪い!おい、行くぞ。ミルシェ」
「う、うん!分かった!」
今の会話は正直に言ってかなり重すぎたと思う。後で謝っておこう。(もしくは痛い話。)
「これから扉を開く…必要はありませんね。中に突入します。各自散開して、家の中を調べて回ります。何かあったときは大声を出すか、メールを飛ばしてください。十五分後に何もなければ外で合流しましょう。フィーネは直さんについて行ってください」
「……エデン、もしもモンスターを見つけたら、うかつに攻撃しないように。トラップの可能性がある」
「分かった。気をつける」
「それでは、突入!!」
ヒルドの号令でいっせいに村長の家の玄関で散開し、別々の通路に向かう。
…よく考えれば、外から見たのと比べるとかなりでかいな。テントと同じ魔法でもかかってるのか?
もうそろそろ俺たちの冒険はこれからだ!的な終わり方をします。
自分のサイトができたらそこで続きを書こうと思ってますので、少し待っててください。




