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藤井先輩と私。  作者: 寿音
Ⅱ:私と白いベンチ。
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今日は土曜日。

世間は梅雨真っ盛り?だというのに、最近は晴れの日が続いてる。

そういえば、今朝のニュースで空梅雨ってお天気コーナーのお姉さん言ってっけ。

「今日の目的地は…っと」

私はカバンから手帳を取り出す。

「ベルのイチゴショートかぁ」


私の趣味は、スイーツ店めぐり。

ユカは甘いものがあんまり得意ではないから、誘ったら最強に嫌な顔されそうなのでいつも一人でまわってる。

高校に入学してから続けてる日課みたいなもので、毎週土曜日が楽しみでしかたない。

おこずかいの使い道は専らこのスイーツ店めぐりだ。


バスに乗り、今日の目的地ベルを目指す。

私の住んでいるところのスイーツ店は全て巡ってしまったので、今日は隣町。

この前買った雑誌にケーキ屋さん「ベル」のイチゴショートがでかでかと掲載されていて、これは絶対食べなくてはと思ってた。


ふわふわのスポンジに、真っ白い生クリーム。

生クリームのソファーの上にちょこんと座っている少し大きめの甘いいちご。

想像するだけで幸せな気分になる。

スイーツは最高だ。


いちごショートにあわせて、服も白いワンピースに赤いポシェットにした。

気合い入れすぎたかなぁ。

甘くてとろけるようないちごショートを想像しているうちに隣町についた。


「あれ?」

さっきまで太陽がさんさんに照らしてたのに、空は曇だらけ。

「うそ…雨ふるかな」

お天気お姉さんが今日は晴れるって言ってたから傘持ってきてない。

空梅雨って言っても、やっぱり梅雨は梅雨らしい。

青空が見えなくなった空を見上げた。

ベルに着くまで降ってこなければいいけど。

手帳に挟んでいた雑誌の切り抜きを見る。

このバス停からそう遠くはないみたい。

よかったぁ。

そんな安心もつかの間。


ぽつ…

ぽつぽつ…

ザァーーー


雨は無情にも降り始めた。

うそぉ。

サラリーマンみたいに頭にバッグをのそて、雨宿りできそうな場所をさがす。


あっ!

近くに大きなホームセンターが見えた。

あそこで傘買おう!

地獄に仏とはこのことだね!

ホームセンターの入り口まで走った。

久しぶりに走ったので息があがる。

この前も階段駆け上がって、息上がってたっけ。どれだけ運動不足なんだよ、私。

落ち着いて深呼吸して呼吸をととのえると、自動ドアをくぐった。


その瞬間。

ドスン。

何かにぶつかった。

そして私は尻餅。

思いっきりお尻をぶつけた。


「いたたた」

「大丈夫か、痛かったやろ?」


聞き覚えのある関西弁が頭上から聞こえてきた。

この声って…。

「藤井先輩!」

目の前に立っていたのは、藤井先輩だった。


先輩はぶつかったのが私だと分からなかったみたいで、自分の名前を呼ぶ私に驚いているみたいだった。


「うぉええ!」

変な声を出して先輩は、固まって動かなくなった。

そんなに驚くことなのかなぁ?

「ちょっと通してくれない!?」

自動ドアの入り口で突っ立っていた私たちは、やっぱり邪魔だったようで、ホームセンターでショッピングをすませたマダムが怒っている。

「とりあえず、先輩退きましょ」

微動だにしなくなった先輩の服の裾を引っ張り、外に展示してある商品たちの方へ移動する。


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