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藤井先輩と私。  作者: 寿音
Ⅴ:再会と3人。
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そうだ!

3人で行けばいいんだ!

「3人で行きませんか?デスティニーランド」

遊園地とかはやっぱり大人数の方が楽しいもん。

2人きりは気まずいけど3人なら!


「陽依がそう言うなら3人で行こか」

「橋宮の言うとおりにしよう」

2人も納得して、私と藤井先輩と梶瀬くん3人でデスティニーランドに行くことになりました!



『行くことになりました♪ってアンタねぇ!』

「……はい。すいませんユカ様」

夜9時30分。

私は携帯を持って正座してユカ様のお説教を聞いてます。

「何がどうなってこうなったのは十分分かったけど、3人で遊ぶって…っはは…笑っちゃうわよ」

ユカ様すごくご立腹みたい。

「ごめん、つい流れで…ちゃんと断ろうとしたんだけど」

今更何を言っても言い訳にしかならない。


うっ、足が痺れてきた。

正座しなれてないから、足つりそう。

そっと、足をくずし始めた。

「私も行くから」

「あでッ!」

ユカの声に驚いて、痺れてる足を思いっきり床にぶつけてしまった。

「えっとごめん、聞き取れなかった」

「私もデスティニーランド行くから!」

ユカが何故一緒に?

「あんたが優柔不断だから、私が変わりに決着つけさせる」

自信たっぷりな声色が受話器から聞こえる。

「どうやって…」

「まぁ、『ごめんなさい。お付き合いできません』って言うのは陽依だけど、それまでのお膳立てをしてあげるってことよ」

梶瀬くんへお返事する機会を手伝ってくれるってことかぁ。

「ユカありがとう」

「あんたがタラタラしてるからこんなことになるんだからね!次はないから!」

「ユカー」

「なに?」

「だいすきー!!」

ユカ様万歳!今度こそ絶対に断る!ユカがついてるんだもん。

私ならきっとできる。


「あぁ、そうそう。今日梶瀬くんと藤井先輩と3人で帰ったんでしょ?」

「うん。そうだけど?」

「藤井ファンクラブの存在忘れちゃダメよ。陽依。抜け駆けは厳禁。あんたが藤井先輩のことなんとも思っていなくっても気をつけなくちゃ」


藤井先輩のファンクラブ。

そういえば、そんな組織が。

「学校の大半の女子が入ってるファンクラブなんだから、もし抜け駆け行動と組織に認識されたら終わりよ」

組織ってユカ、ただの学校のファンクラブだよ。

そんなに気にしなくてもいいと思うのに。

「明日ぐらい、楠木さんが訪ねてくるんじゃない?」

「えーっ!」

またあの変なアンケートとか答えさせられるのかな。

「じゃ、また明日学校で」

「うん!おやすみ!ユカ」

携帯を閉じる。

「楠木さんかぁ…」

私はベットにダイブすると、すぐに睡魔におそわれ、眠りについた。



「おはよう。橋宮さん」

目の前には、満面の笑みで風になびく黒髪がとても印象的な楠木さん。

ここは朝の校門。

そして、今日に限ってユカが隣にいない。

BAD TIMING!

ユカが予言した通り、楠木さんは私を訪ねてきました。

「教室までご一緒していいかしら?」

「……」

「い・い・か・し・ら?」

「はいぃぃ!」

黒髪を怪しくはためかせてすごまないで楠木さん!

校門から教室まで、そんなに遠くはないはずなのに、なんだか校舎がエベレストに見えてきたよ。

あははは。


「………」

「………」

なぜ、無言なのでしょうか?

もうすぐ教室に着くっていうのに、楠木さんはなにも話しかけてこない。

なんでだろう。

私のクラスまであと数歩のところで、楠木さんはピタリと止まった。

「く、楠木さん?」

「………」

楠木さんは黙ったまま。

どうしたんだろう。

気分でも悪くなったのかな。

「私たちお友達ですわよね?」

楠木さんがポツリと言う。

「うん!友達だよ」

私がそう言うと、楠木さんは満面の笑みを浮かべてこちらを見た。

「それでは、友との間に嘘偽りはあってはなりませんわよね?」

「うん。そうだね」

「では…一つお聞きしていいかしら?」

楠木さんは改まった口調で私に言った。

「本当に藤井先輩に恋愛感情はないの?」

真剣な表情。

祈るように見つめてくる瞳。

楠木さんは、十分可愛いし魅力的なのに、ファンクラブとかの会長して女の子たちを統制して、どうして藤井先輩に正面からぶつかっていかないんだろう。

どうして、素直に想いを告げないのだろう。

「どうなの?」

もう一度そう聞かれ、我に返った。

「私、恋愛とかあんまりよく分からなくて」

「それでは答えになってません!」

「えっと、つまり私は藤井先輩のことは好きだけど、恋愛感情じゃないっていうか、いい先輩というか、面白い先輩というか」

これで答えになったかな。

楠木さんは、「そうですか。分かりましたわ。今回はその言葉信じます」とそう静かに言うと、自分の教室に去っていった。


なんだったんだろう。一体。

私、先輩と知り合ったばっかりなのに、好きとか嫌いとか本当にわかんないんだよ。

人間的には、面白くって楽しい先輩だなって思うけど、それはきっとたぶん「恋」じゃないから。

たぶん、「恋」ってもっとドキドキするものだと思うから。

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