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学校2


「そもそも!何で呪われた姿のヤツと一緒にいるんだよ!」



ジーンの進路を塞いだ少年が、腕を組んで憮然な態度で言う。

その間にも、周りの人間は、こちらをちらちらとみている。


早く帰りたいなあ……アキは強くそう思った。


ジーンはもう諦めたのか、無表情に少年を見ていた。アキはなにかがどうでもよくなってきた。



そう言えば、最近、坊ちゃんの正式な執事になったため、朝の皮むきが免除された。


あれはあれで手先の器用さが上がってた気がするし、二年以上の日課だったので、寂しいと言えば寂しい。


料理長とか、他の人らも優しいしなあ……



ちなみに料理長は、料理をするよりも、魚を素手でつかんで、生で食べそうなナイスガイだ。実は心の中で熊さんと呼んでいる。


坊ちゃんのお父様である大旦那様の親友らしい。二人揃うとたぶん、泣いた子供は失神する。何食べたらああなるんだろうか。


あの指から繊細な味の料理が出来ることは今でも信じがたい。

後、あの強面で面倒見がすごいい事も。



料理を教えてもらいたかったが、今の私にはちょっと難しい。一応もともと、料理は嫌いじゃないし、ある程度はできた。


けど、この世界でするのには弊害がある。


まず、食料の味が違うのだ。

見た目がキャベツにそっくり、ただ、味はひたすら辛い、とか。


見知った食材を頑張って集めて、人間の食べれる物が出来なかったのには絶望した。兄を思い出した。


味噌と醤油が欲しいです……



そして、みたことのない食品が多い。

これは、まあ、仕方のないことかもしれないが、見た目では味の想像がつかない。


一応二年間、いろんな食材を食べてきたが、そこら辺は調理されてるから、全然どの食材かわからない。


言い訳をさせてもらうと、他にも覚えることがありすぎて、そこまで意識がいかなかった。料理をする必要もなかったし……


そのうちこれには苦労するのかもしれない。

料理ができないって言うのは、本当に怖い。ていうか、やばい。まずい料理は兄の料理だけで十分だ。




そんなことを考えていたら、ジリリ、なんていう目覚ましのような音が響く。朝ですか?

……すいません、現実逃避万歳。


アキはそう思いながら思考を現実に戻す。鳴ったのは学校のチャイムだった。

音を聞いた少年が、踵を返す。



「フン!!まあ、仕方ないからここまでにしておいてやる。お前らはもっと身の程を知れよな!」




まだ喋ってたんだ。ごめん。君の声を最初と最後しか聞いてない。

さりげなくアキは酷かった。


まぁ、真正面から言ってくる分、全然嫌な感じがしない。なんか、絶対根はいい子だろうと思う。

遠くからこそこそこそこそという方が、何倍も性質が悪い。


あと、関係ないけど、あの少年、存在感がやばいくらいない。

存在感ないタイプじゃないと思うんだけど……なんでだ。



でもそのうち、この坊ちゃんとあの少年は仲良くなるんじゃないかと思う。実際、少年はひたすらジーンのこと気にしてたし。派長も合いそうだし。


坊ちゃんの学校での態度やも気になるけど、友達が出来ればきっと変わるはず。

そうやって、ジーンの大切な人がもっと増えればいい。


まあ坊ちゃんの事を悪く言うのは許さないけどね!



あの少年と、次は坊ちゃん抜きであってみたいなあ。

……何時になるかはわからないけど。






……なんて、言ってた時が懐かしい。

その日の学校終わり、少年と向かい合って睨まれている私がいました。




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