第78話 エクストラ職業クエスト
今日のピンポンさんの勢いが止まらない。これが暴走でないことを祈るばかりだ。もう面倒事は要らないからな。いや、マジで。フリじゃないからな。
【火加減】
加熱時の火加減が可視化される。
チロチロ燃える火をじっと見ていてら急に覚えた【火加減】というスキル。これが意外と便利なスキルだった。
【火加減】は火の調整をしようとした時に、火の強さを表すゲージが現れて、丁度いい火に調整しやすくなるスキルだった。今回はゲージの左から2メモリの位置。これを覚えとけばいつでも再現できるってことだろう。一応、スクショしとこうか。タイトルは「ブルーゼリー火加減」っと。
「よしよし、そろそろいい頃合いだね」
マジョリカさんがやってきて大鍋の蓋を開ける。するとほのかに甘い香りが部屋を満たす。
「うーん、格3を使ったからね。流石にいい香りだ」
なんだかマジョリカさんの機嫌がアゲアゲだ。理由はわからんが隣人の機嫌は良いに越したことはない。
「じゃあ、次は活性炭の下処理だ。作業台に戻るよ」
俺が作業台に干してあった処理済みの毒出し草を回収してまとめると、空いた場所にマジョリカさんが大きなすり鉢をドスンと置く。
「活性炭はこの小匙1杯で美容液10本分だ。まずはこれですりきり10杯をすり鉢に入れるんだ」
言われるままに、丁寧に1杯ずつすりきりして計量していく。丁寧にやりすぎて何杯目か忘れてしまったが頭上のネギ坊がペチペチ頭を回数分叩いて教えてくれた。さすがネギ調合師。
「よし、できたね。じゃあ、次は聖水を加えながらすり込んでいくよ。聖水は少しずつ入れていくんだ。そうだね、1本を10回に分けて入れるくらいでいいだろう。20本の聖水を使い切るからね」
すり鉢に聖水をチョロチョロと注ぐ。活性炭だけなら青っぽい色なのに聖水を入れるとパッとピンク色に変わった。なんだこれ、面白い。
「ほらほら、見てないで手を動かす。よくすり合わせるんだよ。活性炭と聖水が馴染んだら色が赤くなるから、その時また次の聖水を入れる。そしたら色が元に戻るからまた赤くなるまですり合わせるんだ。地味だけど大切な作業だからね。聖水を入れ過ぎたら馴染ませるのに10倍の時間がかかるから量はしっかり見極めるんだよ」
ピンポーン
『特定行動により【調薬Lv8】のレベルが上がりました』
やっと聖水10本を消化したところで【調薬】のレベルが上がる。これでLv9だ。あと1レベルでカンストするんだが。これどうなるんだ?
【調薬】の著しい成長が気になりながらも、ここで一旦作業はストップ。満腹度の限界が来てしまった。マジョリカさんから貰った激マズ携帯食を少しづつかじって凌いでいたが、流石に限界だった。
しかし腹ペコで一角亭に行くほど今の俺は危機感を無くしていない。今行ったら絶対にネヒルザと会う自信がある。油断は昨日でもう懲り懲りだ。
作業台の椅子に座ってストレージから一角亭弁当を取り出す。取っておくつもりの弁当だったが背に腹は代えられない。
「あー、うんま」
特大肉と特大卵をかぶりつきながら舌鼓を打つ。
ピンポーン
『イベントアナウンス。ただいまイベント「ゴブリンを討伐せよ』のゴブリンの群れ討伐率が20%を超えました。残り80%の群れが討伐され次第イベント終了となります』
へえ、イベントって確か今朝6時からだったよな。まだ8時間くらいしか経ってないのにもう20%超えるとか、ずいぶん早いな。この調子なら物資不足も速く解決するかもな。良きかな良きかな。
「さあて、残りのゴリゴリもやっちゃいますか」
『ゆら~♪』
マジョリカさんが戻ってくるまでに終わらせときたいからな。とっとと始めよう。
ピンポーン
『特定行動により【調薬Lv9】のレベルが上がりました。【調薬Lv10】及び関連補助スキルにおいて【匙加減】【火加減】【下処理】の3スキルが確認されたため、【上級薬師】が解放されました』
ちょうど聖水があと1本となったところで、いろいろピンポンさんが報告してくれた。なんかいろいろあって【上級薬師】が解放されたらしい。
「おや、だいぶ進んでるじゃないか」
【上級薬師】が解放されたところにタイミングよく現れるマジョリカさん。
「ほうほう、腕を上げたようだね。そろそろ転職できそうかい?」
なんか、マジョリカさんが全部知った感じで話してくるんだが、これはもしかしてそういう事なのか?
「はい、ついさっき上級薬師が解放されました」
それを聞いたマジョリカさん、「よしよし」と2度頷く。
「本来なら何週間も薬房にこもって腕を磨くもんなんだがね。こんな簡単に上級職の資格を満たせるなんてねえ。じゃ、さっさと転職しちまいな。美容液の完成には上級薬師の技が必要だからね」
そう言ってマジョリカさんは手をヒラヒラ。さっさとやれって事らしい。じゃあ、お言葉に甘えて。
ピンポーン
『【上級薬師】に転職しました。次回転職まで47:59:52』
ピンポーン
『【上級薬師】に転職したことにより【創薬Lv1】を習得しました』
【創薬Lv1】
薬師の上級調合技術。あらゆるポーションを調合し、品質9以上のポーション調合が可能。レベルが上がることで新たな薬剤の開発が可能となる。
素材識別補正大。
「よし、上級薬師になったね。これでスプラはこの特殊上級薬師マジョリカの愛弟子と認められたってことだ」
ピンポーン
『エクストラ職業クエスト<マジョリカの愛弟子>を達成しました。EX肩書<マジョリカの愛弟子>を獲得しました』
ピンポーン
『ワールドアナウンス。FGS内で初めて肩書を獲得したプレイヤーが現れました。これより肩書機能が解放されます。初めて肩書を獲得したプレイヤーには【肩で風を切る】の称号が与えられます』
ピンポーン
『ワールドアナウンス。FGS内で初めてEX肩書を獲得したプレイヤーが現れました。初めてEX肩書を獲得したプレイヤーには【肩で疾風を巻き起こす】の称号が与えられます』
ピンポーン
『プレイヤースプラ様はFGS内において初めて肩書を獲得されたため、【肩で風を切る】の称号が与えられました』
ピンポーン
『プレイヤースプラ様はFGS内において初めてEX肩書を獲得されたため、【肩で疾風を巻き起こす】の称号が与えられました』
【肩で風を切る】
肩書の効果が1割増しとなる。
【肩で疾風を巻き起こす】
肩書の効果が3割増しとなる。
<マジョリカの愛弟子>
肩書に設定することで、マジョリカの薬房の使用が許可される。ポーション類のNPCショップ売却価格200%アップ。全世界の薬師関連NPCの信頼度が1段階上昇する。
…ごめんなさい。キャパオーバーです。ギブアップ。
❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖
肩書か。
…だよな。知ってた。知ってたさ。
だってエクストラ職業クエスト受けてたもんな。
特殊職業クエストをアップグレードしてたもんな。
こうなることは知ってたさ。
知ってたけど、知ってたけど… 流石にEXは早すぎるだろーーー!!
MJがやったんだから。MJが勝手に作ったクエストだから。
そう、俺は知らない。知ってたけど知らない。
俺はなーんに見ていないぞー。
――――――――――――――
◇達成したこと◇
・上級薬師に転職
・習得【調薬Lv10】【創薬Lv1】
・肩書システム解放
・EX肩書<マジョリカの愛弟子>獲得
・称号【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】
・完了<エクストラ職業クエスト~マジョリカの愛弟子>
◆ステータス◆
名前:スプラ
種族:小人族
肩書:マジョリカの愛弟子(EX)new!
職業:上級薬師 new!
属性:なし
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1(+3)
敏捷:1(+14)
器用:1
知力:1
装備:ただのネックレス
:聖魔のナイフ【ドロップ増加】
:仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】
:飛蛇の道下靴【敏捷+14】
:破れシルクハット
固有スキル:【マジ本気】
スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv6】【調薬Lv10】new!【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】【自動照準】【下処理】【火加減】【創薬Lv1】new!
所持金:約730万G
称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】new!【肩で疾風を巻き起こす】new!
従魔:ネギ坊[癒楽草]
◎進行中常設クエスト:
<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>
〇進行中クエスト:
●進行中特殊クエスト
<シークレットクエスト:万事屋の悩み事>
◆契約◆
名前:ネギ坊
種族:瘉楽草[★☆☆☆☆]
属性:植物
契約:スプラ(小人族)
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1
敏捷:0
器用:1
知力:5
装備:【毒毒毒草】
:【爆炎草】
固有スキル:【超再生】【分蘖】
スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】
《不動産》
畑(中規模)
農屋(EX)
≪雇用≫
エリゼ
ゼン
ミクリ
 




