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第77話 6日目 美容液作り開始

 6日目ログイン。



 ちょっと寝坊してすでに10時だ。やっぱ人と話すって楽しいけど疲れるんだな。



「さて、今日は美容液を完成させるとするか」

『ゆら♪』



 頭のネギ坊の存在を確かめてマジョリカさんのところに向かう。



「ん? なんか来てるな」


 視界の隅に点滅するお手紙マーク。なんだこれ?



 開いてみるとイベントの案内だった。薬屋に向かいがてらに確認してみる。



「ふうん、『プレイヤーの偏ったモンスター狩りによって生態系が乱れた』かあ。やっぱ生態系とか再現してたのか。確かにプレイヤーのいないところで鳥が餌食ってたんもんな。すげえことしてんな、FGSって」



 で、読んでいったら見覚えのある文字が現れる。



「星獣って言ったらあれだよな。マジョリカさんから貰った白金貨」



 ストレージから白金貨を取り出してみる。うん、なんにも起きない。



「で、そっか、南の平原の先が物資補給先だったか。じゃあ、始まりの街は孤立無援ってことだな。ゴブリン退治するまで不自由になるのか」



 物資不足ということでか、ここ最近は毎日やってた道端の露店が一軒も見当たらない。満腹度回復の為に買い食いしようと思ってたのにこれは予想外。後で一角亭に行くとするか。弁当もまだあるが、残りひとつ。できればこれはいざと言いう時の為に取っておきたい。



「ふうん、なるほどね、ゴブリンの群れを討伐したらスキルの書が得られると。で、討伐中に星獣が現れることもあってプレイヤーにいいことがあるかもってことか。もしかしたら星獣が仲間になるかもしれんと。ふむ」



 星獣かあ。確かマジョリカさんが獣の姿をしてるって言ってたっけな。わんコロとかにゃんことかそんな感じかな。


 まあ、うちにはすでにネギ坊と言う珍しいお方がいらっしゃるからな。わざわざ死に戻りの危険を冒してまでやる事じゃないよな。『失敗しても何度でも討伐可能』とか絶対にハードル高いじゃん。無理無理。



 イベント案内画面を閉じて薬屋に入る。



「こんにちはー」

「…」


「…スプラです」

「おや、スプラかい。そろそろ来るんじゃないかと思ってたよ」


 思ってたなら一発目で出てきてくださいよ、マジョリカさん。



「で、その顔は揃ったって事でいいんだね」

「はい、揃えてきました」



【ブルーゼリー】×116

【ブルーゼラチン】×5



「…スプラ、これ東の森のどこで手に入れた?」


 俺が取り出したゼリーとゼラチンをを見たマジョリカさんが怪訝そうに俺を見る。どこでって言われても東の森なんだが?



「東の森…ですけど?」

「東の森のどこまで行ってきた?」


「ちょっと奥?」

「…はあ」



 俺の言葉にマジョリカさんが盛大なため息。いや、なぜだ。あれだけ頑張ってきたのに。もしかしてこれではダメだったとか? いやいや、表記は確かに【ブルーゼリー】だし、【ブルーゼラチン】で間違いない。



「あんた、よく死なずに戻ってきたね」

「へ?」


「あんたにはまだわからないだろうがね。モンスターのドロップにも格ってもんがあるんだよ。同じ種類のモンスターでも強いのや弱いのがいるだろ? 当然ドロップにも違いがある。それを『格』と言うんだ」

「格…ですか」



 これは初耳だな。同じ種類のモンスターにも強いのや弱いのがいる。で、そのドロップは一見同じに見えても実は違う。それが格ってことか。あ、確かにスライムも連携上手な奴らがいたよな。あれがそうか。



「格が高ければ素材として用いた時の生成物の品質が高くなるからね。当然それだけ買い取りも高値が付く」


「っていうことは、このブルーゼリーとブルーゼラチンは?」


「このブルーゼラチン2個は格5で最高格だ。あと、このブルーゼラチン1個とブルーゼリー7個は格4、残りは格3だね。ブルーゼラチンの格5なんてわたしでさえ久々に見たよ。はあ、昔を思い出すねえ」



 マジョリカさんが遠い目をしているのはそっとしとくとして…。格5は間違いなくわがままボディーのあいつだろう。格4は数からして、俺を連携で嵌めた奴らとその仲間。残りが大量に降ってきた奴らって感じか。



「格5と格4は美容液なんかにはもったいないからね。格3でももったいないくらいだが今回は使うとしよう。で、毒出し草が品質8、それに聖水と潤沢な活性炭、うん、これは文句なしだ。じゃあ、さっさと作るよ。こっち入っといで」



 そう言ってマジョリカさんが俺をカウンターの奥に案内する。いよいよ、特殊上級薬師の薬房に入ることができるようだ。これはさすがにアガるな。



 マークス工房と同じような長い暖簾をくぐると、コトコトと何かが煮込まれてる音と共に草の匂いがツンと鼻の奥を刺激する。そんな薄暗い通路を進んだ先には20畳ほどの畳張りの薬房があった。室内には1畳ほどの作業台3つ。それぞれの台に椅子が付いていて、1つの作業台では中華鍋のようなもので何を煮込んでいる様子だ。



「こっちの作業台を使わせてあげるから、わたしが言うように作るんだよ」



 マジョリカさんが空いている作業台をバンバン叩く。なんとなく鼻息が荒い気がするのはなぜだ?



「まず、毒出し草の下処理だ。沢山一気にやると品質が下がるから一度に5本までだよ」



 そうなのか。一気にやると品質低下の原因っと。覚えとこ。



「まずは美容液100本分作るからね。幸い品質が高いから毒出し草1本で美容液2本分になる。毒出し草50本の下処理を済ませるよ」



 それからマジョリカさんの言う通りに毒出し草5本ずつを備え付きの浄水で綺麗に洗いフワフワの布巾で水気を吸い取る。


 それから浄水を沸かしたお湯にサッと通すと毒出し草の色が薄い紫色に変化する。マジョリカさんからはこの色をしっかり覚えとくように言われたから、スクショに撮っておく。


 そして熱が取れたら自然乾燥。ここで直射日光に当ててはいけない。陰干しで乾かす。時間を計っていたら30分ほどで乾いた。



ピンポーン

『特定行動により【下処理】のスキルを習得しました』



ピンポーン

『特定行動により【調薬Lv4】のレベルが上がりました』



【下処理】

 素材の下処理による品質低下を緩和する。




 毒出し草を半分下処理したところで立て続けにピンポンさんが訪れる。【調薬】は結構上がりづらかった気がするが、下処理だけで上がるとは意外だ。



ピンポーン

『特定行動により【調薬Lv5】のレベルが上がりました』



 残り半分の下処理を終えたところで再び【調薬】のレベルが上がる。



「ほう、真面目にやったようだね。いいこった。じゃ、次行くよ」



 作業台に薄紫の毒出し草を並べたまま今度は壁際の大きな窯の前に移動する。



「この大釜にブルーゼリーを100個入れるんだ。美容液1本に1つ必要だからね」



 言われた通りにブルーゼリーを大釜に入れていく。《《一つ一つ丁寧に》》。これはクソ上司に仕込まれた俺の癖だ。どんなことでも乱雑にすると怒るんだよな、パワハラ気質って。



ピンポーン

『特定行動により【調薬Lv6】のレベルが上がりました』



 なんだか今日のピンポンさん激しいな。



「ほお、やり直しさせようかと思ってたのに、しっかりやってあるじゃないか」



 マジョリカさんが俺が大鍋に敷き詰めていったブルーゼリーを見て褒めてくれる。普段褒めない人が褒めてくれるとなんか嬉しいな。



「ブルーゼリーは空気に触れさせないように溶かすんだ。だから、こうやって隙間なく並べるのが必須なんだよ」



 ちょっと優しげに説明してくれるマジョリカさん、今度は大鍋のコンロに火を付ける。火加減を見る目が真剣そのものだ。



「この火加減だよ。これも覚えておきな。熱し過ぎれば沸騰しちまう。沸騰したら失敗だよ。沸騰しないギリギリを狙うんだ」



 そう言うマジョリカさんに頷きながら火加減のスクショを撮る。いや、スクショって便利だな。



ピンポーン

『特定行動により【火加減】のスキルを習得しました』



ピンポーン

『特定行動により【調薬Lv7】のレベルが上がりました』



 ちょ、今日はなんか激しすぎやしないかい、ピンポンさん。

 逆に心配になるレベルだぞ。




❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


おうおう、やっとるな。これよこれ。

年季の入った薬房で丁寧に仕込んでいく。

小僧、やるじゃねえか。しっかり撮っておくからな。


ん? レベル上がるのが心配だってか?


そんなもん、お前、どこにこんな序盤で品質8とか格3とか大量に集める奴がいるよ。


自分の行動のせいだっつーの。


それが嫌ならもっと自重しろ!



――――――――――――――

◇達成したこと◇

・寝坊する。

・モンスタードロップの格について知る。

・マジョリカの薬房に入る。

・美容液調合開始

・習得【下処理】【火加減】【調薬Lv8】



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 職業:中級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+14)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :聖魔のナイフ【ドロップ増加】

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+14】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv6】【調薬Lv8】new!【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】【自動照準】【下処理】new!【火加減】new!

 所持金:約730万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:

●進行中特殊クエスト

<シークレットクエスト:万事屋の悩み事>

<エクストラ職業クエスト~マジョリカの愛弟子>



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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― 新着の感想 ―
ずっと気になってるけどPKとかっていないよね?見逃してるのかなぁ
主人公の元上司について。 パワハラパワハラ言ってるけど、これパワハラではない様に思うのですが。 相性良くはなかったのだろうし、口調も強いものだったのでしょう。けど、どれも内容は間違ってない。 これまで…
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