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第74話 出会いがあれば別れもある

「はい?」


「だから、わたしがモンスター倒してもわたしにはドロップがでないの」


「え、そうなの? パーティー組んでたら?」


「わたし以外はドロップが出るわね。でもわたしの分だけ出ない」


「…?」


「だからだから、パーティー戦のドロップは喧嘩にならないように同じドロップが人数分出るの。まあ、ソロ戦との確率調整で渋くはなってるけどね。で、わたしがパーティーに入ってるとわたしの分だけ少なくなるってこと」



 ああ、なるほどな。パーティー戦のドロップってそういう仕組みなのか。みんなで一緒に喜ぶって感じか。で、一度に人数分出る代わりに確率は低くなってると。


 で、ウェイブだけはドロップが出ないと。ん?


 じゃあ、さっきの巨大スライムに聖魔のナイフ使うの忘れなくてマジ良かったな。



「そうよ、スプラの思ってる通り。わたしはお荷物でしかないの」


「は?」


 いや、なんでそうなる。あれだけすごい魔法をぶっ放せれば… あ、そうか。燃費悪すぎるもんな。オーバーキルな上に燃費も最悪。ってことはパーティーメンバーにおんぶにだっこって感じか。



「ま、これまでは数を数えられないほどの数を殲滅してごまかしてきたけどね。いつまでもごまかせないから。特にボス戦なんて絶対無理。でもあいつらはボス戦でわたしに頼ろうとしてる。だから逃げてるのよ」


 ああ、そういう事か。なるほどな。



「で、逃げるついでに俺に付きまとってきた訳か」


「ついでじゃなわよ」


「いやどう考えてもついでだろ」


「違うって。ちょっと気になって…」


「気になって?」


 気になる? 何がだ。ピエロ服か? それともネギ坊か?



「ちょっと昔にね、大好きだった人に雰囲気が似てて」


「え?」


「あ、違うからね。大好きってそう意味じゃないから。お兄ちゃん的なやつ?」



 あ、そうだよな。ちょっとびっくりした自分が恥ずかしい。8歳以上年下の学生相手に何ドキッとしてるんだ俺は。妹より年下だぞ。勘弁してくれほんと。



「もちろん、わかってるけど。あ、ああ、そうだ。一角亭の弁当残ってるが食うか?」


「え、いいの? でも満腹度まだあるしもったいないかな」


「じゃあ、これやるよ。ぶっ倒れることわかってて魔法使ってくれたお礼」


 死に戻り覚悟だったんだよな、あれ。それにあの魔法使ったら自分の弱さも晒すことになる。それも覚悟したうえでの行動か。俺にはそんな真似できないし。ま、これは俺の後ろめたい気持ちの現われって感じでもあるな。



「え、でも、大金に値するもの使わせちゃったし…」


「あの魔法なかったら俺確実に死に戻ってたし。で、あとドロップも、はい」


「え、なんで? スプラは要らないの?」


「実は二つある。ほら」


 ドロップを二つ。紫紺色のバスケットボールを二つ取り出す。ゼラチンは…ま、余計だろう。



「たぶんあの巨大スライムのレアドロップだからかなり高額で売れるはずだから」


「うわ、なにこれ。二属性付加とか書いてあるじゃん。レアモンスターのレアドロップをさらに二段階レアにしたってSSSRって感じ?」


「高く売れそうだろ? 使い道はわからんけど」


「なんでこんなのが二つも出たのかな?」


「ああ、たぶん東門の門番さんのおかげじゃないか?」


「え? 門番さん?」


「門番さんにやさしくしたらいいことあるってことだ」


 門番さん、擦り付けてごめん。でも悪い事じゃないからここは我慢してくれ。



「よくわかんないけど、ほんとにいいの?」


「モチのロン」


「もちのろん?」


「いや、どうそ貰ってやってください」


 照れ隠しだからさらっと流してくれ。こういうところで俺のオヤジ感が際立つから調子に乗るのはよし子さんだな。いや、これ父親の影響だから。



 遠慮しながらもすごく嬉しそうに紫紺バスケットボールと一角亭弁当をストレージしまうウェイブ。なんか弁当食べてる時の顔だな。あ、また米粒見えた。


 今度は口に出さずに心の中だけで笑っとく。



「さて、んじゃ今度こそ街に戻るか」


「うん」



 話している間に、銀色だった森も元に戻り、転がってた【魔好香】も姿を現した。



 一応貰っとくか。なんとなくあのスライムの理由もわかったしな。



 おそらく巨大スライムの元凶になった欲深プレイヤーたちは自分たちが作り出した巨大スライムに噴水送りにされたんだろう。いったいいくつ使ったらあんなバケモンが出てくるんだよ。まったく。



 その後もウェイブとたわいもない話をしながら出口に向かう。だんだんとプレイヤーも多くなり、ウェイブも銀仮面をかぶってのロールプレイに入っている。


 円卓の騎士クランマスターウェイブの後を3歩下がって歩く付き人ピエロ。まあ、今だとなんかこんなのも受け入れられる…かな。




「ウェイブ様、よくご無事で」


「ああ、このわたしがスライムごときにどうにかなるわけがないだろ」


「あ、いや、そうですけど」


「な、なにか変わったこととか?」


「いや、何もないぞ。それより、ブルーゼラチンは確保できたのか?」


「いや、それがちょっといろいろありまして…」


「わたしを探しに来る暇があったら…、あ、門番さんお疲れ様」


「え? 門番がなにか?」


「いちいち反応するな。そんなことよりゼラチンを…」


「はい、申し訳…」



ピンポーン

『プレイヤー「ウェイブ」がパーティーから抜けました。一人になりましたのでパーティーが解散されました』




 ウェイブがウェイブしながら取り巻きたちと戻って行った。



「なんか疲れたな」

『ゆら~』


「ん? いや、久々に人と話したっていうか」

『ゆらゆら~』


「そうだな。なんかパーティーっていいもんだな」

『ゆらら~』


「またウェイブとパーティー組んだりするのかな」

『ゆ~ら?』


「いや、寂しいとかじゃないんだけど。あ、でもなんかウェイブがパーティーから抜けた時にはちょっと…」

『ゆらゆら』


「はは、そうだな。俺にはいつもネギ坊がいるよな。こんな近すぎる場所に」

『ゆら~♪』



 5日目はまだ明るかったがそのまま畑に戻ってログアウト。


 みんなにジュースを振る舞うこともできたからよかった。みんなの顔を見たらなんかホッとしてしまって、眠くなってきたしまった。


 明日からは美容液作りだな。



――――――――――――――

◇達成したこと◇

・【氷青の毒心(劇)】をウェイブと分け合う

・始まりの街に帰還

・ウェイブとパーティー解消



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 職業:中級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+14)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :聖魔のナイフ【ドロップ増加】

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+14】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv6】【調薬Lv4】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】【自動照準】

 所持金:約730万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:

●進行中特殊クエスト

<シークレットクエスト:万事屋の悩み事>

<エクストラ職業クエスト~マジョリカの愛弟子>



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ


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