第5話、俺?と初戦闘とオカマ
前回あらすじ!
魔法陣!ステータス!支援魔法!
「この世界で一番のバッファーになって皆さんのお役に立ちます!!」
「ちょ、ちょっと待って頂戴リンちゃん!さっきも言ったけど冒険者はとても危険な仕事なのよ?」
「それも承知の上です。でも、この力は誰かの役に立てるべきだと思うんです」
「た、確かにリンさんの支援魔法のステータスはかなり強力ですし、ギルド側としても助かりますが……」
「そう、リンちゃんはそうしたいのね」
「はい」
「うふっ♡意志の強い子は大好きよ♡そうね、そう言う事なら……」
フィーは俺に優しく手を差し伸べ言う
「私を貴女の最初のパーティーメンバーにしてくれないかしら?」
「も、もちろんです!こちらこそよろしくお願いします!」
慌ててフィーの手を取る。
こうして俺のパーティーに1人目の仲間が加わるのだった。
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「なんで自分から平和とは程遠い道を選ぶの?」
と思う人も居るだろう。
理由は2つ。
1つ目は転生時に話しかけて来た、神みたいなな奴がここまで「りんりん」に寄せているのには何か意味があると思ったから。
2つ目は……
『冒険者』ってなんかカッコいいから!!!!!
それに、確かに危険はあるだろうが自分たちの実力に見合ったクエストを選べば大丈夫だろう。長年のゲーマーの勘があれば余裕だな。えっへん。
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冒険者の登録を済ませた後、俺とフィーはレイラさんと別れ、弱い魔物が現れる草原に来ていた。
「いい?リンちゃん。弱い魔物とは言っても、攻撃が当たれば痛いし気を抜いちゃダメよ」
「はい!」
フィーと話しながら草原を少し歩くと草陰から大きなイモムシみたいのが出てきた。よく見ると目がクリクリしてて若干可愛い。
こちらに気付いたイモムシは臨戦態勢?を取っているのかウネウネと動いている。
いやこれ、戦うために距離を詰めようとしてるのか?全然進んでないが。なんだこのイモムシ可愛い。
「リンちゃん、行くわよ!」
イモムシのキモ可愛い行動に気が抜けていたがフィーの声でハッと我にかえる。
初めての戦闘だ!支援魔法だけど。
冒険者登録をしてから、自分の内側に意識を向けると使える魔法やスキルが感じられる。
大きく息を吸う。
「『ストレングス!』」
フィーに向かって魔法を唱える。
少し強めのパワーアップ魔法を使ったが……フィーの筋肉が脈打ってる。何これちょっと気持ち悪い。
「はあああぁぁぁ!!レディーの一撃を喰らいなさいっ!」
フィーがキモ可愛いイモムシに向かって拳を振るう。
拳とイモムシが当たる刹那、イモムシちゃんは消えた。
比喩とかではない。本当に消えた。消し飛んだ。イモムシちゃん可愛そう。
その後遅れて衝撃波が伝わってくる。
フィーは自分の拳を見つめ立ち尽くしている。
「あ、あの〜フィーさん…?」
もう支援魔法の効果時間は過ぎてると思うが……
フィーはこっちを向くと凄い勢いで近付いてくる。
え、なになになになに。こわいこわいこわいこわい!
肩をグッと掴みフィーは口を開く。
「リンちゃん、貴女……」
「とんでもない才能よ」
「へっ?」
フィーの勢いに圧倒されているとフィーはパァー!っと笑顔になり
「あぁんな凄い支援魔法を受けたのは生まれて初めてよ!!やっぱり貴女凄いわ!!」
よ、喜んでくれてる…?てっきり俺はフィーの元のステータスが高過ぎてあぁなったのかと思っていたが……どうやら俺の支援魔法のせいらしい。
「見て頂戴リンちゃん!私の筋肉が!筋肉が喜んでるわよ!!」
いやなんだ「筋肉が喜んでる」って。しかももう効果時間切れてるぞー。
ポージングを取っていたフィーがふと、口を開く。
「でもこれ、かなり強力だけど事前に練習しないと力の調節が難しいわね」
「今も勢い余って地面とキッスしちゃうところだったわ♡」
確かにそうだ。ゲームではこんなところまで考えなくていいが、普通に考えればいきなり自分のパワーが跳ね上がったら今まで通りの動きをするのは難しいだろう。要練習だな。
日が暮れるまでイモムシちゃんと戦った後、街に戻ることにした。その道中でフィーは嬉しそうに言う。
「私の筋肉と、貴女の魔法、良いパーティーになりそうね♡」
「あ、そうそう」
フィーは少し照れながら続ける
「貴女は私の大切なお友達だし…「リン」って呼んでも良いかしら?」
「はいっ!もちろんです!これからよろしくお願いしますね!」
そう言うとフィーは嬉しそうに笑うのだった。