第2話、俺?とシチューとオカマ
前回までのあらすじ!
目が覚めたら異世界!隣にはゴリゴリマッチョのオカマ!俺、女になる!
取り敢えずこの世界で生きるにしても金は必要不可欠だ。さっき話に出てきた『冒険者』も憧れはするが……危険性や福利厚生はどうなっているのだろう。
などと唸っているとコンコンとドアのノックが鳴る。
「うふっ、待った?♡フィーおねぇさん特製シチューよぉ〜!」
待った?♡というセリフをこんなところでこんなオカマに言われるとは……。えっ、てかおねぇさん???………深く考えないようにしよう。
「どうぞ召し上がれ♡」
そう言って目の前に出されたシチューは日本で食べたシチューと同じ色合いでいい匂いがする……!
「い、いただきます!」
そう言って木製のスプーンを使って口に運ぶ。
「!!!」
美味しい!日本で食べたシチューと変わらず……いや、それ以上だ!ジャガイモ?は口に入れた瞬間にその形を崩し、キノコは噛めば噛むほど味が出る。
「どぉ〜お?お口に合ったかしら?」
「は、はい!すっごく美味しいです!」
「そう、良かったわぁ。おかわりもあるから遠慮せずに言ってね♡」
そう言うとフィーはシチューを食べる俺を嬉しそうに眺めていた。
「ご馳走様でした!」
「はぁいお粗末様でした♡」
美味かった。結局3杯も食べてしまった。
お皿をさげてくれたフィーが戻り、口を開く。
「リンちゃん、何か記憶は戻りそう?」
「いえ…残念ながら何も……」
「そう…でも大丈夫よ!フィーおねぇさんもお手伝いしてあげるから、心配しないで♡」
そう言い、フィーは俺を安心させようと笑顔を作る。こんなに良くしてくれるフィーに対して『記憶喪失』という嘘をついている罪悪感は拭えないが、その言葉に甘えることにした。
「となると……お仕事と寝床が必要ね」
「でも寝床に関しては貴女さえ良ければこの宿に住めるように手続きしてあげるわよ?♡」
「そんな事……出来るんですか?」
「えぇ!元々この宿は寝床に困る人に格安で寝床を提供することをコンセプトにしているのよ」
「それに、この宿を営んでる店主さんとはとっても仲が良いのよ。だから私からお願いしてみるわ♡だから安心して♡」
「あ、ありがとうございます!!」
「でも、どうして私にそんなに優しくしてくれるんですか?」
「そ・れ・は……」
そう言うとフィーは脚を組み、胸?を強調するように前屈みになる。
「貴女が可愛いからよ♡」
ややややややっぱり俺の貞操が狙いだったのか!!!
「なーんて冗談よ♡貴女が可愛いのは本当だけど、困ってる時はお互い様よ♡もっとカッコよく言うなら『誰かを助けるのに理由はいらない』ってやつねぇ〜!いやぁ〜ん♡」
な、なんなんだこのオカマ。1人で身をよじらせてる。
「それはそうと、問題はお仕事よね。最初の数ヶ月分の家賃くらいは私が負担してあげられるけど……」
「そんな!私も何かお仕事します!」
流石にこれ以上優しさに甘えるわけにはいかない。俺は間髪入れずに答えた。
「フィーさんのしている『冒険者』という職業はどんな事をするのですか?」
「ん〜そうねぇ〜。冒険者だなんて言えば聞こえは良いけど、要は何でも屋みたいなものよ。」
フィーは脚を組み直して続ける。
「基本的には街の人や国からお願いされたクエストをこなすのよ。魔物討伐や採集、あとは警護なんてものもあるわね。」
おぉ…!ゲームっぽい!!
「や、やっぱりギルドとかパーティーとかあるんですか??」
「あら、随分と詳しいのね。その通りよ。もしかしたら貴女が住んでいた街にもギルドがあったのかもしれないわね♡」
しまった。ついはしゃいで口に出してしまった。記憶喪失設定を忘れていた。
「フィ、フィーさんはパーティーなどに入っているのですか??」
「特定のパーティーには所属してないのよ。誘ってくれたパーティーに一時的に入ったり、1人でも出来る簡単なクエストでお小遣い稼ぎをしてるのよ。これが結構稼げるのよぉ〜!」
しかしフィーは少し困ったように指を顎につけながら言う
「確かに冒険者って誰でもなれるし、報酬もそれなりに良いのも多いけど……ん〜でも正直、危ない仕事も多いから貴女にオススメはしたくないのよねぇ〜」
「このままフィーさんにお世話になる訳にもいきません!少しでも恩返しがしたいので!」
これは本心だった。こんだけ助けてもらったのだ、恩を返さねばネカマの恥というもの。
「そう、じゃあ一緒にギルドに行ってみましょうか!」
こうしてフィーと俺はギルドに向かった。
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