第47話 幕話③
「12時になりました。ニュースを申し上げます。先日、女性警官が重傷を負った事件について、警察は現場に残されていた血痕などから、連続殺人教唆犯として重要指名手配されている『明空麻友』が犯行に関わっている可能性があるとの見解を示しました。出血の痕などから、現場では容疑者と――」
ここ最近、何度も見たニュースだ。無理もない、新人の女性警官、それも美人が警察の追っている最中の凶悪犯により重症を負わされた事件だ。
マスコミが大々的に取り上げない訳がない。
しかし、報道には違和感を覚える。
この手の大事件には報道規制が引かれること、それ自体は珍しくはないが、余りに知っている情報と報道されている情報に乖離がある。
通常、この手の重大事件では、犯人が逃走中で潜伏先の目処も立っていない場合、情報を大々的に報道し圧力をかけるが、少なくとも私が知る限り明空麻友の潜伏先は以前不明なままであり、その生死すら疑問視されている状況だ。
更に言うならば、この事件には犯人を取り逃がした点に関して、警察にも重大な落ち度がある。普通であれば、職務質問を行う際、被疑者の逃亡を防止する目的で警官は2人以上で応対に応じなければならない。
(あの日、こんな美人さんが自分の下に配属されたと心のどこかで浮ついていたからだ……)
あの日、私は純甘香と2人で交番勤務をしていた。夜間パトロールに際して確かに私は後輩である純甘香から目を離してはいなかったと思う。
しかし、事実として私は目を離し、その間に事件は起こった。
こんなことが起きれば、懲戒も覚悟しなければならない状況であったが、どういう訳か1か月の謹慎の後に巡査長への昇進を案内された。
(考えても考えても陰謀論の様な回答しか浮かばないな……)
流石に気になり、捜査資料に目を通したことがある。
明空麻友の血痕と報道はされているが、現場に残されていたのは血溜まりだ。殺人現場も警察として見ているが、あの量は負傷した犯人の血痕ではなく、死亡した被害者の出血量そのものである。
(純甘香の拳銃は1発だけ発射されていたな)
勿論、純甘香の出血量も多く、今現在でも意識不明で入院中である。
通常、警官の拳銃は1発目に関しては警告用で空砲が詰め込まれており、2発目からが実弾となっている。
つまり、発砲は2回あったわけだ。
(警告射撃に対して明空麻友が反撃、それが首に刺さり、倒れ際に純甘香が発砲。どこかしらの臓器にヒットと考えるのが妥当だが……)
発砲数と合わない。
消えた明空麻友と合わせて考えるに何者か第三者が関わっていることは明らかである。それも明空麻友が命の危険がある負傷をしていると仮定すると死に体の人間をわざわざ現場から運び去っている。
(死体処理でヤクザ……?いや、それなら警官の死体も処理しないのは可笑しい。明空麻友だけとなると懇意にしている医者か?確か、潜伏先には医者が多かったな)
当然、潜伏先と見られている医師は特定され聞き込みは行っているが、成果は上がっていない。
「あの日、一体なにがあったんだ……」
病室で眠る純甘香は何も答えない。
ここまで読んでいただきありがとうございます☆彡
宜しければ
【★★★★★】評価&ブックマークお願い致します♥




