96・急用を思い出したと言って去るのは、大体が嘘!
最近・『転生したドララー』を更新してへん。文章が浮かばんのや…そこで、またブレイクタイムを書こうか考えてるんや! ヨハンとのイチャイチャにしようか考えたんやけど、シャロンとヒナタのイチャイチャしようか考えてるんや。
運河の柵に寄り掛かりながら、橋の上で戦うアストルと零華の戦いを見ているアーサー。その横に降り立つ姿があった。猛禽類の顔をした鳥人・八番隊隊長のレーウィンであった。
「レーウィンか…お前、アストルを止めなかったのか?」
気怠げな表情と横目でレーウィンを見ながら、アーサーが呟いた。
「止めた所で止められる奴か、アストルは?」
レーウィンがそう返した。
「まあ無理だよな…サストは?」
「部下の鍛錬があるからって、先に兵舎に帰ったぞ」
「アイツはアストルと対照的な様に見えて、結構似ている所があるからな…それより、あの異世界から来た奴…」
アストルと剣を交えながら、ほぼ互角に戦っている零華を見るアーサー。
「広橋 零華…見た目は人間の女の子の様だが、どうやら男の子らしい。今回来た子供達の中では、彼が一番の猛者の様だ。アーサーは二十年前に来た子供達の事は知っているのか?」
エグ・マリン王国の軍師であるアーサーは、過去に来た日本人達の事を把握していると考え、レーウィンは尋ねた。
「…アイツ等が来る前に先生から聞いたさ…二十年前に戦乱の時代だったエグ・マリン王国に突然現れた三十人の子供達…先生の話じゃ彼らは戦の行わなくなった国から来たらしい」
其処迄言うとアーサーは、ある事を思い出そうとした。
「確かその子供達のリーダー的な奴が居て、ソイツはかなり強かったって先生が言っていたな…確か名前は…広…」
バキィィィンンン!!!
「!?」
アーサーが名前を思い出そうとした時、金属が砕け散る様な音が響き、反射的にアーサーは橋の上を見上げた。
「…広橋 零華の剣が折れた様だ…」
ずっと見ていたレーウィンが、アーサーに告げた。アーサーは剣を失った零華がどうするのか気になり、その様子を見守る事にした。その際にアーサーは、思い出そうとしていた名前を忘れてしまった。
※ ※
金属音を立てながら、折れた剣は橋の上を滑っていく。
「……」
折れた剣の柄を握った零華は、後ろで見守っている修兵の方を向いた。
「…悪りぃ零華…それ一本しか持ってきてない…」
修兵の申し訳なさそうな答えに、零華は現状武器を失い、徒手空拳状態になったと理解した。
「どうやら、武器はもう無いみたいだな」
と、余裕のある笑みを見せ剣を担ぎながら、アストルが零華に言った。しかし零華は取り乱す様子も無く、冷静な表情をアストルに見せつけていた。
「…?」
冷静な零華の様子に、不審に思うアストル。すると零華は、右手を自分の顔の前に上げた。すると零華の右の掌に、透明な球体状の何かが現れた。零華はそれをアストルに向かって投げた。
「!!!」
アストルは反射的に剣で其れを弾こうとした。
バシャアアア…
剣の刃が触れた途端、『それ』は水飛沫となって飛散した。零華が投げたのは、先日会得した水魔法・『水の奇跡』であった。
「なっ!? 水の魔法…!? リノア・エルトリオンと…同じ魔法…」
アストルは、零華が嘗てエグ・マリン王国に存在した兵士、リノア・エルトリオンのみが使っていた水魔法を、零華が使える事に驚愕を隠せなかった。
「…実戦使用は初めてだけど…上手く行ったみたいだ…」
零華は自分の魔法が上手くいった事に安堵した。零華はアストルに怪我を負わすつもりは無かったが、流石に武器も無しで隊長と戦うのは不利と考えて、初めて魔法を使用したのだが、上手くいく保証は無かった。
『と言っても、僕が使えるのはコレだけだから、対抗策を練られたなら、万事休すだな…』
これで駄目なら、流石にヤバいと考える零華。するとアストルは何か考えていたが、突然剣を鞘にしまった。
「悪りぃが急用が出来た! 今日はこれで勘弁してやるよ!」
そう言うとアストルは、踵を反して去っていってしまった。
「……えっ?」
突然のアストルの行動に、零華は軽く戸惑う。
「いやあの…何あの人…自分から勝負仕掛けて逃げて…何処の弁慶を元にした人…?」
父親が昔やっていたゲームのキャラと似た様な事をしたアストルに、零華は呆れと戸惑いが入り混じった様子を見せた。後ろの修兵に振り向くが、修兵も何が何やら分からない様子であった。
水の奇跡
アストル、何で逃げた!?
アーサーが言っていた、二十年前に来た日本人の一人、『広』が付く名前みたいやな。
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