73・水の都の安らぎ
少し開いてもうたが、投稿再開や♪
今回はインスパイアされた作品の影響が、少しだけ出てます。
桜花学園2ーAの三十名は、四番隊の兵士に付き添われて、街中に買い物に訪れていた。
生徒達は様々な雑貨屋等に行き、必要最低限の物を購入したりした。ただ街中はイタリアのベネチアにそっくりである為、何人かは道に迷いかけるが、付き添いの兵士のサポートのおかげで、何とか表通りの運河沿いに戻ってくる事が出来た。
「そこの右目に布を巻いたお嬢さん♪ 重そうな荷物だね? 俺とお茶しない?」
「……」
紙袋に入った荷物を持った零華に話しかけるナンパ男。零華は溜息交じりで返した。
「僕はお嬢さんではありません。男の子です」
「えっ…」
茫然とするナンパ男を置いて、零華はその場から去ってしまう。零華は街に買い出しに来てから、既に四回もナンパされており、少々嫌気が差していた。
そんな状況から逃れる様に、零華は脇道に入った。表通りから離れてしまい、理奈や修兵とも離れてしまうが、零華はそれよりも人の多い表沿いに居るのが嫌になってしまった。
一応、昨日直樹に入れて貰ったアプリがある為、理奈や修兵のスマホで、他の皆の位置は分かるという事も頭に入れておいた。
※ ※
脇道を入って少し歩くと、先程の場所より少し人気の少ない運河沿いに出た。周りを見てみると、幾つかの店舗が軒ら並んでいた。
「ねえ、そこの可愛いお嬢さん♪」
「!」
またナンパか…そう考えたが、聞こえてきた声は女性であった為、一応振り向いてみた。するとカフェらしき店舗の前に、一人の若い女性が立っていた。カフェの店員なのか、何らかのロゴが入ったエプロンを身に着けていた。
「何ですか?」
確実に勘違いしている女性に、零華が答える。
「貴方可愛い顔しているわね…もし仕事を探しているなら、うちで働かない?」
「……」
突然のヘッドハンティングに、零華は怪訝そうな顔をする。何故ならそれは、色々と危険な店な可能性があったからだ。
「…あっ! 別に如何わしいお店じゃないよ! この店だよ!」
そう言って女性が示したのは、女性が立っている後ろにあるカフェらしき店舗。
「…内容は?」
「主に接客ね! 貴方にはウェイトレスとして働いてほしいの! 貴方の様な可愛い子なら、凄く人気が出ると思うわ!」
女性は零華の容姿から、其れ目当てに客が来て人気が出ると考えた。
「…折角ですけど、僕は無理ですね。何故なら僕は男の子。ウェイターなら兎も角、ウェイトレスは出来ないです」
「…えっ?」
零華の返答に、女性は茫然とした。
「じゃあ僕は行くので。女の子じゃなくて、男の子募集なら、働いた経験があるので、考えたかも知れませんが…」
零華はそう言ったが、今は騎士団の庇護下に置かれている為、勝手に働く事は出来ないだろうが…それだけ伝えると零華は、元の場所に戻ろうと踵を反して歩き出し…
「あっ待って!」
…そうとしたが、女性に再び呼び止められる。
「貴方本当に男の子…? とてもそうには見え…いえ、何でも無いわ…それより接客の就業経験があるって言ってたわね? 別に求めているのは女の子限定じゃないの。一応話だけ聞いてくれない?」
「……」
零華は女性に頼まれて少し悩んだが、休憩も兼ねて話を聞く事にした。
※ ※
零華が案内されたカフェの中は、レトロな雰囲気が漂う店であった。その雰囲気は日本でバイトをしていた喫茶店と、何処となく似ている気がした。店はまだ開店前なのか、零華と女性以外誰も居なかった。
『そういえば、僕は行方不明になっているから、バイトはどうなるんだろう…マスターや政光おじさんに悪い事したな…』
働かせてくれたマスターや、紹介してくれた政光に、申し訳ない気持ちになった。
女性は零華をカウンターの丸椅子に座らせると、カウンターを挟んで前に立った。
「自己紹介がまだだったわね。私はレスト。このお店・『水の都の安らぎ』のマスターよ。貴方の名前は?」
「…ルクレツィアです」
レストと名乗った女性に、零華は本名ではなく、ルクレツィアと名乗った。流石に出会ったばかりの相手に本名を名乗るのは、流石に危険だと考えて、嘗ての源氏名‐今は投稿動画の女装した際の名前‐で名乗った。幸いにも零華は母親似の為、外国人でも通す事が出来る。
「…ルクレツィアちゃんね。女の子みたいな名前だけど、本当に男の子?」
「そうですよ。それより仕事の事は?」
これ以上女の子扱いされるのは嫌な為、やや強引に話を戻した。
「そうそう。実は私、別の所からこの街にやって来て、このカフェを開いたんだけど、予想以上に人気が出て、人手が欲しかったの。其処に貴方が通って、顔立ちが可愛らしかったから、声をかけたんだけど、まさか男の子な上に経験者だったとはね…それでルクレツィアちゃん。もし良かったら働いてくれないかしら? 勿論お給金は出すわ」
レストに熱心に頼まれたが、零華には問題があった。
「お気持ちにお答えしたいんですが、僕はとある事情で騎士団に身を置いているんです…あっ、正規の兵士ではありませんけど…だからまず、騎士団に許可を得ないと、どうともいえません…」
零華がそう説明すると、レストは驚いた表情を浮かべた。
「貴方騎士団の関係者…? なら少し難しいかしら…でもこのまま手放すのは惜しいわ…」
レストはどうしても、零華に働いてもらいたいらしい。
「…とりあえず、騎士団の人に尋ねてみます」
そう零華はレストに伝え、レストもとりあえず騎士団からの許可を待つ事にし、許可が出ても出なくても、『水の都の安らぎ』に伝えに来る事を決めた。
その後理奈からLINEが来て、零華はレストに謝罪して、店を出たのであった。
ちょっと出だしが強引なのは、睡魔と戦って書いた物なんや…。
今回のカフェの行は、後の展開に必要な為の話なんですわぁ。
感想・ブックマーク登録・レビュー・ポイント評価・質問等ありましたら、皆さんどうぞ♪




