10.5 椿くんとお土産、の小話。
椿家にて。
「ただいま戻りました」
「あら、今日は遅かったね。翔くん」
「はい。ちょっと……知り合い、と勉強会を」
「えぇー、友達できたんだ!」
「いえ、まだ、そんな、友達だなんて……」
「ふぅーん。ま、何にせよ良いこと良いこと。翔くん、誤解されやすいからね」
「あ、それでこれ、お土産です」
「あらー、ドーナツ! ちょうど今日のデザート何にしようか困ってたのよ」
「……そういえば静かですけど、姉ちゃんたちは?」
「みんな、まだ。ま、お夕飯前には帰ってくるでしょ。……ふふーん、それにしても翔くんに友達かぁ」
「いえ、ですから」
「はいはい、分かった分かった。だけど翔くん、今すっごい嬉しそうな顔してるよ」
「そう、ですか?」
「普通の人には分からないだろうけどね、私には分かるのよ。伊達に何年もここで家政婦やってないんだから」
「そう、ですか。自分ではちょっとよく分からないですね。……あ、そういえば谷屋さん」
「ん、なにー?」
「知ってました? 勉強会って、別に講師の方とか呼ばないって」
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