俺の気持ちは溢れて止めどなく流れていく。 心臓を動かす血液のごとく。 どんどんそれは流れ、行きつく。 愛に。
「お待たせ、光」
「……」
光は言葉を失っていた。
「どうしたの?なんか変だった?」
「いや!逆だ!可愛い!!」
光は見惚れていた。
いつにもまして可愛い彼女に。
「そ、そう?」
彼女は照れて少し顔を隠す。
それが一段と可愛い。
「写真撮っていいか?」
「え?大げさじゃない?」
「そんなことあるか!可愛いんだから」
「な、ならいいけど……」
そうして複数枚写真を撮る。
そうして満足した。
「うん!いい写真だ」
「そ、そうかな?」
「ああ、これで忘れない」
光は写真を愛おしそうに眺める。
それを見て桃花は胸が締め付けられる。
(光は今の自分に真剣だ……)
彼女にも伝わる。
光の本気が。
「じゃあ、行こう」
「うん……」
その姿に彼女はただ答えたいと思う。
数十分後。
「ついたな」
「ええ」
つい最近も来たのに彼女んいはずいぶん懐かしく思えた。
「なんか……最近来たかもしれない」
「え?」
「いや、なんか思ったよりも懐かしくなくて……」
(そうか……光の心には残っているんだ。ここでの記憶が。痕跡が。)
「うん……最近来たから……」
「そうか……だめ、だったかな?」
桃花は静かに首を横に振る。
「いいの。私は何度でも光と来たいから」
太陽が彼の体を温かく照らす。
「ありがとう……」
「うん……」
そうして二人で静かに水族館の中に行く。
まず、彼の足は自然とある場所に行く。
「チンアナゴー」
「ふふ」
俺の変な声としぐさに笑ってくれる彼女。
「ここに来たらまずはこいつだよな」
彼の記憶はない。
だが、その心と体は覚えている。
刻まれている。
奥深くに。
「うん。そうだね」
彼女は楽しそうに笑う。
その笑顔は確かに見覚えがあって……
「どうしたの?」
「いや、なんか……」
(既視感がいつも以上にすごかったような……)
「まあ、なんでもない」
「そう?じゃあ、次行きましょ?」
「ああ」
そうして次はペンギンコーナーだった。
「ふ、可愛いな桃花は」
「え?私?ペンギンは?」
「桃花以上にに可愛いのは存在しない!」
「そ、そう?」
(なんだろう……今日の彼はなにか……前みたいだ)
「で、でも光も可愛いよ?」
「ふ……へ?」
彼は予想していない言葉に動揺する。
「そ、そうか……」
「うん!」
(ふふ、やっぱり光は光だ……可愛い……記憶なんて……)
関係ない。
彼女は徐々にそう思いだしていた。
そうして二人で満足して水族館を帰っていた。
「はあ、今日はイルカショーやってなかったな……」
「仕方ないね。イルカさんにも休みがいるものね?」
「ふふ、そうだな?」
可愛い言い方につい笑みが漏れる。
「ねえ、光」
「うん?」
彼女は笑っていた。
「愛してます。結婚してください」
「!」
俺の気持ちは溢れて止めどなく流れていく。
心臓を動かす血液のごとく。
どんどんそれは流れ、行きつく。
愛に。
「桃花……」
「私決めたから」
彼女は前と同じように告げる。
「もらった愛を返すって」
「……ああ、知ってる。待ってた」
「光?」
俺のおかしな様子に気づく桃花。
俺はそっを無視して続ける。
「はい、結婚してください」
「!」
これは一途に思いを貫いた男の物語だ。
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