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嫉妬? アジェッタ

今日も投稿~。

 龍夜の提案で、突然始まることとなった模擬戦。ランダムに決められた相手同士で戦うのだ。そんな中、三年生は比較的余裕そうな顔をしている。確かにこの集まりの中では、一番征儀を扱っている時間が長い。まぁ、危険視するべきは神童などと呼ばれる、二学年の朱雀龍夜一人だろうか。

「それじゃぁ、第一回戦。」

 龍夜が二枚の紙を抜き取る。それに誰かの名前が書いてあるのだ。

「椎名凪沙と玲奈。」

 呼ばれたのは従姉妹同士だった。それぞれ壁の隅から中央まで出てくる二人。凪沙はにこやかに、玲奈はお淑やかに。それぞれが向かい合った。

「お手柔らかにね、お姉ちゃん。」

「分かってるわよ。凪沙。」

【【エクスジェンシア】】

 凪沙は立派な角を持つ鹿、玲奈は鷹だった。魔獣と言うのは、一人につき一体が原則であり、どのような姿形を持つのかも個人で変わる。また、系統にも寄る場合がある。時たま、異なる系統同士の征儀伝が同じ種類の魔獣を召還する事例が見られる。だが、それは大半が兄弟の場合である。龍夜と慶斗の様に。

「ギリシア系同士か…。玲奈の属性が雷、椎名が確か氷だったな?」

 慶斗の隣に腰掛ける龍夜が話しかけてくる。慶斗はうなずいて肯定の返事を出した。基本的に属性間に優劣の差はない。征儀伝自身の魔力保持量や経験、スキルなどに関わるのだ。レポートを取る龍夜。新たな呪文研究の為だろうか?

【主の命令よ、氷の弾丸で相手を穿て、バレ・デ・イーロ!】

 凪沙の鹿型の魔獣が前足を上げ、一気に振り下ろす。角から無数の氷の弾丸が発生し、玲奈に襲い掛かる。

【主の命令よ。雷の盾で攻撃を防げ、エスクード・デ・ルエーノ!】

 幾分落ち着いている様子の玲奈。焦る事無く氷の弾丸を全て、雷の盾ではじいてしまった。これが経験の差なのだろうか。だが、凪沙も持ち前の明るさゆえか、ニコニコしている。

「やっぱりお姉ちゃんって面白いね。でも、あの時の格好してもらうと、もっと可愛くなれるよ♪」

「お願い…、あの記憶を掘り出さないで…。」

 なにやら二人にしか理解できない話をし始める。今だニコニコとする凪沙に、少々顔を引き攣らせた玲奈。慶斗が龍夜のレポートを覗き込むと、“玲奈の過去に何かあり。確認の必要あり”と書かれている。研究に必要だろうと思ったのか、慶斗は特に何も言わなかった。

【主の命令よ、脚を掬う氷の罠を仕掛けよ。トラーマ・デ・イーロ!】

 経験の違いから、通常の攻撃では不利と思ったらしい。凪沙の魔獣は角から冷気を発生させ、フィールド上を氷付けにするのだった。しかし、玲奈側の魔獣は鷹である。いくら今は地面に脚をつけてるとは言え、上空に上がってそこに留まってしまえば意味がないのだ。

「凪沙?どう言うつもり?」

「ふふぅん。お楽しみ♪」

「まぁいいわ。折角だけど、決着を付けさせてもらうわ。」

【主の命令よ。全てを燃やし尽くす天の雷を。フィナーレ・デ・ルエーノ!】

 以前龍夜が慶斗に対して使用した技。属性が闇から雷へ変化していることを除けば、必殺技級の上級征儀には変わりない。鷹型の魔獣の翼に電撃が迸り、凪沙のいる場所へいく千もの雷が落とされた。逃げ道を塞がんとばかりの落雷。通常では逃げ切れない。

「行くよ、用意はいい?」

 ただ技を受けるしか無いと思われた凪沙だったが、ここで予想外の動きに出た。何と、魔獣に飛び乗ったのだ。それだけではない。凍ったフィールドを勢いよく滑り出す。電撃を器用に避け、ついには上級征儀をかわしてしまった。

「残念だね、お姉ちゃん。別にお姉ちゃんを罠に掛ける為の呪文じゃなかったんだよ。」

 フィールドを滑り切り、玲奈に接近する凪沙。最初からコレが目的だったのだ。フィールド上に一見無駄に見える罠を仕掛ける。だが、それは自分の高速移動手段としての物だったのだ。しかも、契約者さえ倒せば問答無用で勝つことができる。

【主の命令よ、対象を跳ね飛ばす突進攻撃を。アジェッタ・デ・イーロ!】

 氷をアイスリンクの様に滑る魔獣と、それにまたがる凪沙。一度円を描くようにフィールドを一周し、そして一直線に玲奈へと向う。いくら玲奈がバリアを張った所で、この突進攻撃は免れないだろう。

「私の勝ちぃ♪」

 しかし、突然異変が起こった。玲奈の頭上に滞空する魔獣が忽然として消えたのだ。前だけを見る凪沙は気付こうとしない。当の玲奈は後ろ手を組んで、目を閉じている。次の瞬間だった。

【アルマライズ!】

 龍夜の新呪文、装甲征儀。それを使用した玲奈の背中には、彼女の魔獣の翼が装着された。それを用いて飛び上がる玲奈。角での攻撃を仕掛ける凪沙の魔獣だが、対象が小さすぎた為不可能だった。突進する対象を失った為、急停止する鹿型の魔獣。凪沙は玲奈の姿を探した。

「どこ!?」

「こ~こ。」

 カチッと、凪沙の頭に銃が当てられる。魔獣の翼を持った玲奈だった。

「え~!私の負け!?」

「そういう事。だからいつも凪沙は詰めが甘いって言われるの。」

「勝者、橋本玲奈。」

 龍夜の声がフィールドに流れる。凪沙と玲奈の二人が戻ってきた。

「龍夜ぁ~。勝ったよ、褒めて褒めて~!」

 戻ってくるや否や、一目もはばからずに龍夜に抱きつく玲奈。

「あ、あのさ、それは二人きりの時にって…。」

 小声で龍夜が呟くが、玲奈は言う事を聴こうとしない。周囲の人間は、“まぁ朱雀龍夜だから”と言う理由で何も言わないし、冷やかしもしない。全てにおいて完璧な朱雀龍夜なら、これ位はおかしくないだろうと言いたげだった。

【アルマライズ…】

 次の瞬間聞こえた呪文。龍夜が何かを感じ取ったのか、玲奈を突き飛ばした。離れた二人の間に、白い斬撃が走る。横を向いてみれば、白銀に輝く刀を持った慶斗が立っていた。もちろん、女子の制服を着ているが。

「兄ぃにそうやってベタベタくっ付くなんて、僕が許さない。…あれ?どうして僕はいつの間に刀を持っているのでしょうか?あ、しかも兄ぃ達に向けてます…。ご、ごめんなさいです!」

 スゴスゴと下がる慶斗。フィールドにいるほぼ全員が硬直した。白い魔石を持つギリシア系の慶斗のはずなのに、黒いオーラを纏っている様に見えたのだ。実の兄の龍夜でさえ、戦慄が走ったほど。普段の敬語も忘れるほどの慶斗だったが、口調が元に戻るとオーラも消えるのだった。

「うわぁ、ブラコンの妹キャラだ~。やっぱり可愛い!」

 呑気に笑う凪沙であった。やはりメイド服を着た可憐は無口無表情だったが。

・一見、慶斗がチート立場に見えますが、彼はそうではありません。基本的に彼は魔力が多いだけで、呪文だって基本的に龍夜に頼りきりです。龍夜がチートなのです。だって、本来魔力量で押せば勝てる慶斗ですが、龍夜は呪文の多様さで慶斗を倒すんですから。しかも自分で呪文を作ってるとか、かなりチートです。魔力量任せの慶斗と、技の龍夜ですね。

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