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闇を斬る音は無し  作者: 織風 羊
63/63

65 遥か遠くより

よろしくお願いします。



 「遺跡発掘団から王に申し上げることがあるそうです」


 この王国では、この国の歴史を知るために遺跡調査が行われている。


「構わぬ、通せ」


 とこの国の王バイロンが言う。

王の間へ、巨大な石碑が運ばれる。


「石碑の解読が終わりました」


 と遺跡発掘団の古代文字解読担当の者が言う。


「聞かせろ」


「はい、ただ、少々不思議な記述があることを前もってお伝え致したく存じます」


「よかろう、申せ」


「時代が前後するような記述がございます」


「構わぬ、読んで聞かせろ」


 王は玉座の横に立て掛けてある剣、柄には金銀宝石などの装飾のある美しい剣を数年も前からの癖で撫でながら言う。


「では」


 と短い前置きをして担当のものが読み始める。


「この国の始まりに風が吹く、風は殿閣を守り、止まること無し。怪しき者既に去り、風が止まること有らば、再び現れる。後世に王となる者へ、妖の者、国を問わず現れる。その故は、妖は空と大地、海にあるのではなく、人の心にあり。ならば、民乱れる時、王都滅びの道を行く。新生カロッサ王国初代王ロルカ、同じく王妃パステルナーク。」


 暫くの間、沈黙の時間があった。


「この国の始まりは、カロッサという国であったのか」


古代文字解読係は床に平伏したままである。


「その国の王の名は、真にロルカという名であったのか」


 文字解読係は尚も平伏したまま微動だにしない。


「なんという偶然だ」


 そして解読係は平伏したまま言う、


「恐れながら、真の不思議は石板の裏に記されております」


「何んと」


 王に促され解読係がゆっくりと伝えようとする。


 既に王は信じ難い報告に立ち上がっており、身体は微妙に左右に揺れている。


 係の者が読み上げる。


「突然の失踪をお許しください。この国の繁栄を遠い過去より祈っております。ネルーダ王国、国王、バイロン王へ。ネルーダ王国元親衛隊隊長ロルカ。」


 その言葉を聞き、この国の王は玉座にいつも立て掛けてある美しい剣へとゆっくり振り返り、剣に問いかけるように言う。


「ロルカ、我が先祖であったのか?」


 剣は美しい装飾を光らせたまま、いつまでも沈黙を守り続けている。

今までお読みくださいまして感謝を申し上げます。

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