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7話 大天使降臨

 

 私は、ギルドの闘技場が広いと思っていました。しかし、どうでしょう。今この場所には、6匹の 龍とポチ、そして私達と天使さんが居ます。あんなに広いと感じていたのに、今は少しだけ狭く感じます。


「…もう無理。降参よ」


 そして、完全に戦意の喪失した天使さんがそう言いました。黒龍を呼んだら、私が七聖龍を5匹も呼びましたからね。無理もありません。


「メイ!凄いよ!増えてる!どの龍から戦えば良いか迷うよ!」


「はい?戦わせませんよ?」


 はぁ。カーラは何を言っているのでしょうか。そんな事、二度とさせませんよ。


「そんなに戦いたいならば、もう一度天使さんと戦えば良いではありませんか」


「はあ⁈もう嫌よ!絶対に敵わないわ!」


 あら…。せっかく、カーラに丁度良い相手が出来たというのに。天使さんが、これからもカーラの相手をしてくれれば、私は嬉しいですけどね。負担が減りますし。


「マリヤよ、あの娘が堕天使ですか?」


「え?」


 何でしょうか、今の声。綺麗な声でしたが、内容が不穏です。


 シュン、シュシュン、シュン、シュン……!!!


 すると、天使さんの後ろに、いくつもの光が現れ、そこから人型が現れました。


「え…。レミコ様。どうして…」


「あなたが大きな傷を負ったのを感知したので、心配になって皆で来たのですよ」


 天使さんがレミコ様と呼ぶ人は、女の私から見ても、惚れてしまいそうになるほど美しく、神々しささえも感じます。それに、他にも20人ほど現れましたが、どのお姉さんも美人です。ですが、そんな事よりも、私は言いたい事があります。


「そんなに純白の翼を見せびらかさないでください!羨ましいです!!」


「…メイちゃん」


 おそらく、現れた人は皆さん天使です。全員が背中に純白の翼があり、とても可愛いです。私への当てつけですか?えぇ、えぇ。そうですよ。私の翼は黒くて可愛く無いですよ!せっかく忘れようとしていたのに、思い出させないでくださいよ!


「レミコ様、すみません。私では、どうする事も出来ません」


「良いのですよ。相手が悪かったのです。どれ、私の『神眼』で見てみましょう」


 天使さんがレミコ様と呼ぶ人物。おそらく、あの美人さんが一番偉いのでしょうね。凄く落ち着いていますし、強そうです。…もしかして、カーラより強かったりしませんよね?


「…はあぁぁぁ⁈何なのですか、あの者達は!勇者372レベル、大賢者331レベル。そして、大天使〈堕〉300レベル!どうなっているのですか!」


 ……急にうるさいですね。それに、美人が台無しです。


 驚くのは分かりますが、急に顔を崩されると残念極まりません。ですが、凄い能力ですね。見ただけで称号とレベルまで分かってしまうなんて、便利です。私を見るのは止めてほしかったですけどね。


「……あ。…ごほん。すみません、マリヤよ。あなた1人でどうにかなる相手ではありませんでしたね。それに、あの娘は堕天使では無く、大天使〈堕〉。堕天した天使では無く、下界で生まれ変わった聖女。それが進化した存在です。本来、その様な事は起こりえませんが、数々の奇跡が重なってしまったのでしょうね」


 …つまり、私は何なのでしょうね?一度死んだという事ですか?天界という所で天使になっていれば、私の翼も白かったという事ですか?


 …もう分かりません。私は普通に生きていますし、普通に生活しています。私が得た称号は、カーラに出会った事による必然で、奇跡なんて一度も起こっていません。


「…メイ。つまりボクは、あの強そうな天使達と戦えるって事で良いんだよね!」


「…えっと。…そうなのではないですか?」


 はい。私はどうすれば良いのでしょうね。カーラは一切動じず、平常運転です。取り敢えず、カーラが戦うつもりなので、見ていればいいのでしょうか?


 もう既にカーラは走り出していますし、後は天使さん達に任せましょう。


「な!ちょっと!止まりなさい、勇者!何をしようとしているのよ!」


「戦うんだよ!さあ!」


 …天使さん。戸惑う気持ちも分かります。ですが、少しだけカーラに付き合ってあげてください。


 キイィィン!!


「勇者よ、何故私に攻撃するのですか?」


「そんなの、強そうだからだよ!」


 おぉ!凄いです。あの美人の天使さん、カーラの剣を受け止めましたよ。それに、他の天使さんも加勢しようとしています。


 …あれ?これって、カーラ1人で勝てるのですか?


「…サクラさんは戦わないのですか?」


「んー。止めとくわ。相手が多すぎるもの」


 …ですよね。あんな場所に行きたく無いですよね。沢山の美人さんに囲まれてはいても、あれは地獄に近いですからね。直ぐに死んでしまいそうです。…カーラは死にませんよね?カーラは寿命以外で死にませんし、大丈夫ですよね?


「メイー!!サクラー!!手伝ってぇ!!ちょっと多いよ!!」


「…サクラさん、呼ばれてますよ?」


「…あら。メイちゃんだって」


 どうすれば良いのですかね?私は行きませんよ?七聖龍さん達に行ってもらうのも手ですが、レベルが違いますものね。カーラよりも先に死んでしまいそうです。


「メイー!!!!」


 …はぁ。もう少し、後先を考えてほしかったですね。


『攻撃力上昇』『防御力上昇』『速度上昇』


「カーラ。カーラに私の力を分け与えました。頑張ってください」


「え⁈ メイって、そんな事も出来るの?あ!本当だ!力が湧いてきたよ!ありがとう、メイ!!」


 多用出来ると知られたく無いので、敢えて誤魔化しましたが、カーラなら信じてくれるでしょう。


 さて。私は、とんでもない事をしてしまいましたね。世界に誕生させてはならないバケモノを生み出してしまいました。元からバケモノだったというのに、今のカーラは、その数倍。いくら天使さん達が強くても、相手になる訳がありません。天使さんにとっての、地獄の始まりです。


 …ごめんなさい。本当にごめんなさい。



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