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メイちゃんが大魔王になるまで  作者: 畑田
2章

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5話 死んだら生き返らせなさいよ!

 

 午後になり、再び森に入った私達は、どんどん奥へと進んでいきます。定期的に現れるスライムは全て倒し、角うさぎやコボルトからは逃げまくりです。


 経験値を考えると普通は逆ですが、サクラさんは相手の見た目で倒すかどうか判断しています。


 ある意味、自分勝手な戦い方ですが、私も全く異論は無いので問題ありません。


 ガサガサッ!


「メイちゃん!またオークが来たわ。デバフデバフ」


「はい!」


 そして、ちょっと強い敵が出れば、私の出番です。これが本来の私の正しい戦い方ですからね。


 自分では戦わず、デバフを掛けて後ろから見るだけ…。最高ですね。


「ふぅ、結構倒したし、かなり奥まで来ちゃったわね。そろそろ私じゃ倒せない魔物が出そうね」


「大丈夫ですよ。いざとなったら、私がサクラさんを抱えて逃げますから!」


 まぁ、そんな敵は現れないでしょうけどね。最低でもドラゴンくらいが現れないと、私のデバフには抗えないですからね。


「あら、頼もしいわね。じゃあ、もう少し近くに居ようかしらね」


 そう言って、サクラさんは私のすぐ隣に来ました。もうどっちが前衛か分からない状態ですが、まあ問題ないでしょう。


「そうだ!サクラさん、バフ掛けましょう!」


「…え?メイちゃん、バフも使えるの?」


 まぁ、言ってませんからね。サクラさんは驚き、今日一番引いている気がします。流石に予想外だったみたいです。


「はい。使えるようになったのです。カーラには言わないでくださいね」


「…絶対に言わないわよ」


 やはり、サクラさんは分かっていますね。カーラがバフの存在を知った時の可能性を。私や敵を強化して戦いたがるに違いありませんからね。それは災害レベルで危険です。


「じゃあ、掛けてみてもらえるかしら」


「はい、掛けますね」


 そして私はサクラさんにバフを掛けます。威力は最大です!サクラさんの体が薄く光り、激強サクラさんの誕生です。これでドラゴンが現れても大丈夫ですね。私は、出来れば戦いたくありませんし。


「…一応確認だけど、本気のカーラを一撃で倒したのって、これ?」


「これですね」


「ふふっ、納得ね。謎が解けたわ」


 サクラさんは手のひらを閉じたり広げたりし、微笑みました。


「さあ行くわよ、メイちゃん!どんな魔物でもドンと来いよ!」


 …どうやら、少し強く掛けすぎてしまったのかもしれませんね。変なスイッチが入ってしまったみたいです。私よりもよっぽど好戦的ですね。…もしくは、日ごろのストレスが爆発したのかもしれません。そんな気がしてきました。


「「「グラアァァ!!」」」


 すると、急に大声を上げたサクラさんに反応するかの様に、複数の魔物の声が聞こえてきました。


「ちょっと待って!何匹居るのよ!一匹ずつ来なさいよ!メイちゃん、デバフデバフ!」


 …やはり、サクラさんはサクラさんですね。好戦的とは言っても、カーラみたいな戦闘狂とは全然違います。相手はオーガ5匹。普通は怖いですもんね。私は今でも怖いです。


「すみません、サクラさん。デバフは同時に複数掛けれません」


「えぇ⁈ 聞いてないわよ!」


 う…。確かに、これは言っておくべきでしたね。言わないと分からないですもんね。ですが、私にも失敗はあるのです。寧ろ、日々失敗だらけですけどね。ですが、今回は大丈夫です。


「サクラさん、デバフを使わなくても余裕で勝てるはずですよ。頑張ってください!」


「…言ったわね。信じるから。死んだら生き返らせなさいよ!」


 サクラさんはそう言い、オーガに向かって行きます。私でも生き返らせる事は無理なので、私は黙って見届けます。まぁ、死ぬ要素が無いので問題ありません。


 そしてサクラさんは、一番近くのオーガに近付くと、勢い良くオーガの首を目がけて跳びます。


「え⁈ 嘘⁈」


 ザシュッツ


 サクラさんの剣は見事にオーガを捉え、首が胴体とお別れしました。サクラさんはそのままオーガの頭上を越え、次のオーガに向かいます。


「ちょっとメイちゃん!限度!限度があるわよ!!」


「あはは…」


 そう言いつつも、サクラさんは次々と倒していき、最後のオーガにも一撃で勝利しました。この姿をカーラが見れば、間違いなく勝負を挑みそうですね。それくらいに可憐で圧倒的な勝利でした。


「お疲れ様です、サクラさん」


「本当よ!レベルが7つも上がったわよ!」


 オーガはBランクの魔物ですからね。私がバフを掛けたとはいえ、倒したのはサクラさんですからね。そこそこの経験値を得られたのでしょう。しかし、これはサクラさんを怒らせてしまったのかもしれませんね。


「…すみません、サクラさん。怒っていますよね?」


「え?怒ってないわよ。疲れたけど、少し楽しかったわ」


 良かったです。こんな事で関係が悪くなるのは嫌ですからね。それにしても、サクラさんは見た目によらず気が強いですよ。初めての冒険で、オーガまで倒すとは驚きです。


「じゃあ、そろそろ帰ろっか。メイちゃん、明日も大丈夫?」


「…え?大丈夫ですけど、お仕事は平気なのですか?」


 いくらカーラ(仕事を増やす人)が居ないからって、2日連続で大丈夫なのでしょうか?それが可能なほどに、カーラがサクラさんの仕事量に影響を及ぼしているのでしょうか?


「あら、私言ったじゃない。受付嬢の仕事を終わらせてくるって」


「……へ?」


 …どういう事でしょうか。…え?まさか、受付嬢を辞めたって事でしょうか?そんな訳ありませんよね。きっと聞き間違いでしょう。


「今朝、ギルマスに辞めるって言ってきたわ」


「…………」


 …私の頭のスペックでは、状況が理解できません。辞めるとは、退職するという意味ですよね?



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