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メイちゃんが大魔王になるまで  作者: 畑田
2章 勇者パーティー結成編

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4話 ゴブリン抹茶ケーキ

 

「はぁ、はぁ。何とか逃げられたわね」


「そうですね!」


 私達は、突然現れた強敵のコボルトから逃げ、森の奥深くまでやって来ました。倒せない魔物から逃げるなんて久しぶりの事なので少し感慨深いです。


「ふぅ、結構奥まで来ちゃったわね。大丈夫かしら?まぁ、メイちゃんも居るし、何とかなるわよね」


「任せてください!先輩なので、どんどん頼ってくださいね!」


 ふふっ。いつもお世話になっているので、頼られるのは気分が良いですね。サクラさんは少し走ってお疲れの様ですし、また強敵が現れたら抱えて逃げてあげますよ。


 ガサガサッ!


 おっと、声を聞きつけてか、また何かが出てきそうです。


「ブルアァァ!!」


「きゃあ!オークよ!メイちゃん、デバフデバフ!早く!」


「はい!」


『攻撃力低下』『防御力低下』『速度低下』


「きゃっ…メ、メイちゃん…な…にやって…。ど、どうして…わた…し…に……」


「はっ!ご、ご、ご、ごめんなさい!間違えてしまいました」


 ヤバいですヤバいですヤバいです…!いつもの癖で、味方に。サクラさんにデバフを掛けてしまいました。なんて事をしているのですか、私は!


「サクラさん、本当にごめんなさい。オークにデバフを掛けました」


「もうっ!メイちゃんのバカ!死ぬかと思ったわよ!」


 あぁぁ。サクラさんを怒らせてしまいました。完全に私が悪いので、申し訳ない気持ちでいっぱいです。いや、8割くらいは、私にこんな癖を付けたカーラが悪いですね。


「…ちゃんと掛かってるわよね?」


「はい。ごめんなさい。大丈夫です」


 うぅぅ…サクラさんに疑われています。嫌われてしまったかもしれません。先ほどまでは楽しかったのに、カーラのせいで雰囲気が最悪です。


「じゃあ、やってみるわ」


 そしてサクラさんは、警戒しつつも素早くオークに近づき、剣を大きく振りました。すると、オークは真っ二つになり、お腹から上が地面に落ち、血飛沫が舞ってしまいました。いきなり一撃で倒すなんて凄すぎますよ。倒し方も大胆ですし。


「は?ちょ、ちょっとメイちゃん。オークが切れたんだけど…」


「そうですね。凄いです」


「…Cランクの魔物であるオークを私が切れるのが、おかしいって言っているのよ。凄いのはメイちゃんのスキルよ。あ、レベルが上がったわ」


 …サクラさんは何を言っているのでしょうね。確かに、私がデバフを最大出力で掛けたのでオークは殆ど動けなかったでしょうが、倒せたのはサクラさんの力です。剣を綺麗に振れたから、オークが倒せたのです。オークに立ち向かえる度胸がなくては、倒す事はできません。もし逆の立場だったら、私は間違いなく逃げるでしょうし。まだレベルが低いというのに、凄すぎる事です。


「そう言えば、サクラさんはレベルいくつなのですか?」


 キャルシィよりも高いとは言っていましたが、正確には聞いていませんでしたね。もしかしたら、結構高いのかもしれません。冒険者登録して、簡単にオークを倒してしまうくらいですからね。


「今日2つ上がって39レベルよ。メイちゃんは?」


 …思っていたより高くなかったですね。というか、この質問をした事が失敗でした。軽い気持ちで聞いてしまいましたが、聞いてしまった以上は私も答えない訳にはいきませんよね。


「…283レベルです。秘密にしてくださいね」


 はぁ。自分で言って悲しくなりますね。サクラさんは冒険者以外で考えると普通のレベルですし、その約7倍…。絶対に引かれますね。


「凄いわね!メイちゃんと居ると、怖いものなしじゃない。これからもよろしくね、メイちゃん先輩」


「サクラさん…!」


 まるで天使の様です。笑顔が眩しいです。先ほどは怒らせてしまったというのに。多少は引かれているかもしれませんが、それでも変わらずに私と接してくれるのですね。優しすぎますよ。


 あ!もしかしたら、サクラさんは普段からカーラに迷惑をかけられているので、少しの事は許してくださるのかもしれませんね。ちょっと間違えてデバフを掛けてしまっただけですし、カーラに比べたら小さなミスですからね。


 思い返してみれば、サクラさんは私にずっと優しいですし、堅苦しくもありません。一緒に居ると幸せな気持ちになります。私はサクラさんと冒険する為に、カーラにいじめられて強くなったのかもしれませんね。きっとそうです!


「サクラさん、今日はいっぱい冒険しましょうね!」


「そうね。でも、少しお腹空いちゃったわ。そろそろお昼にしましょうか」


「そうですね!そうしましょう」


 サクラさんに言われて気付きましたが、私も少しお腹が空いてきていました。お腹の状況まで、私とサクラさんは似ているのかもしれませんね!ただお昼が近いからなだけかもしれませんが。



 ♢♢♢



「うぅ…苦いです」


「…そうね。苦さでゴブリンを表現しているのかしら」


 私達は一度森を出て、お昼ご飯にやってきました。今日のお昼は、初めて来る魔物ケーキ屋さんです。スライムプリンケーキからドラゴンホールケーキなど、様々なケーキが売られています。


 その中で私達が選んだのは、ゴブリン抹茶ケーキ…。サクラさんが選んでいたので真似してみましたが、どうやらハズレ枠だったみたいです。ゴブリンの腰布風に抹茶チョコの飾りがあり、とても美味しそうに見えたのですがね。全然甘くなかったです。


「口直しに、コボルトチョコケーキいってみましょう」


「なら私は、角うさぎショートケーキにするわ」


 今度は可愛い魔物なので、きっと美味しいはずです。…というか、無難で美味しそうなケーキをチョイスしました。


「これは美味しいです!普通のチョコケーキですね」


「こっちも美味しいわ。角の形をしたホワイトチョコが刺さっているのも可愛いわね」


 やはり、冒険するのはほどほどが良いですね。行きすぎたら、良い結果にはなりません。ザラメおじさんのケーキ屋さんには味で劣りますが、意外性は良かったです。これはこれで楽しめたので、良い経験でした。たぶんもう来ませんけどね。


「はぁ、お腹いっぱい。じゃあ、食休みに少しぶらぶらしよっか」


「はい。そうしましょう」


 あぁ、良いですね。カーラだったら、食べ終わったら直ぐに次の戦いに行く事が普通ですからね。のんびりと食休みだなんて新鮮な気分です。


 うーん。こんな嬉しい気持ちにしてもらえたのですから、何かお礼がしたいですね。先ほどは迷惑もかけてしまいましたし。


「あ!サクラさんってアイテム袋持ってないですよね?買いに行きましょう!」


「え?持ってないけど、流石に無理よ。1000万くらいするじゃない」


 ふふっ、やはり持っていませんよね。ここは先輩として一肌脱ぐ時です!今日という日の記念に!


「私が買います!」


「…え?…そんなの悪いわよ。メイちゃんがいっぱいお金持ってるのは知ってるけど、それはメイちゃんの為に使うべきよ」


「私のお金なのですから、私が使いたいように使います。私は、サクラさんにアイテム袋をプレゼントしたいです!」


 お金を稼ぐのは、貯めるためではありません。使うためなのです!自分が使いたいと思った時に使わねばなりません。…まぁ、たまには使っていかないと、どんどん溜まっていくというのもありますが。カーラのおかげで、一緒に居れば増えていきますからね。それはもう。


「…メイちゃん。なら、お言葉に甘えちゃおうかしら」


「はい!いっぱい入るのを買いましょう!」


 そして私達はアイテム袋を購入し、それから少しぶらぶらした後に、森に戻りました。


 いざ、午後の部開始です。次は何が出ますかね。冒険がこんなに楽しみなのは、随分と久しぶりな気がします。



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