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メイちゃんが大魔王になるまで  作者: 畑田
1章 勇者討伐編
41/155

41話 強制イベント

 

 …どうしたのでしょうか。ギルドに到着するなり、サクラさんが抱きついてきました。新しく獲得したスキル『闇魔法』を使って帰ってきたので、驚かれることは想定していましたが、まさか抱きつかれるとは思いませんでした。私たちが居なくて、そんなに寂しかったのですかね?もしそうなら、凄く嬉しいですね。


 …ですが、そうでは無い可能性もあります。


「あれ?神官様にソフィーも居る。どうかしたの?」


 そうなのです。何故か、神官様にソフィー様。それに、ギルマスまでもが、目の前に居るのです。明らかに、普通の状態ではありません。


「…あんたねぇ。私達がどれだけ心配したと思っているのよ。バカカーラ!」


「ぇええ⁈ …えっと。ごめんね、ソフィー?」


 …ソフィー様の表情を見て、確信しました。あのソフィー様が涙を流して、カーラに向かって『心配した』と言っているのです。絶対に普通ではありません。


「あらあら!メイちゃん、生きていたのね!」


「…へ?」


 …何を言っているのでしょうか、神官様は。まるで、私が死んでいたのかもしれないという発言をなさいます。確かに、今までカーラに殺されそうになった事は何度かありますが、死にはしませんよ?


「まぁまぁ、良かったわ。これからみんなで王城に行くのよ。メイちゃんとカーラちゃんも一緒よ。あ、サクラちゃんも一緒に来るわよねぇ?」


「はい、行きます!」


「「……え?」」


 …全く理解が追いつきません。私達の同行が確定しているようです。帰ってきて早々に王城だなんて、心の準備が間に合いませんよ。


「その前に確認だけど、あんたたち魔王は倒してきたのよね?」


 そして、ソフィー様からきてしまいました。あの質問が。これは慎重に答えなくてはなりません。この答え次第で、今後の状況が大きく変わってしまう可能性がありますからね。


 ですが、もちろん、カーラがそんな事を考えてくれる訳がありません。


「負けちゃったよ!手も足も出なかったよ!」


「…は?」


 …最悪です。私が発言するよりも早く、カーラが余計な情報を与えます。


「カーラ、少し黙っていてください」


「え?」


 私はカーラに釘をさし、発言をします。


「魔王は和平を望んでいます。倒す必要はありません」


「はぁ?何言ってんのよ!勝てなかったから適当な事言ってんじゃないわよね?」


「あらあら、メイちゃん。魔王がそんな事、本当に言うのかしら?」


 まぁ、予想はしていましたが、素直に納得してくれる訳がありませんよね。仕方ありません。予定とは違いますが、切り札の投入です。


「キャルシィ、出てきてください」


「はい、お姉ちゃん」


 そうです。物凄く可愛いけど、どこからどう見ても魔族。そんなキャルシィの登場です。


「はぁ⁈ ちょっと、何あんた魔族連れてきてんのよ!馬鹿なの?」


 …あれ?反応がおかしいです。私の予想では、キャルシィのあまりの可愛さに『魔族との争いを止めよう!』となると思ったのですが。…ソフィー様の感性がおかしいのですかね?


「…可愛いですよね?」


「「…………」」


 …どうしたら良いのでしょうか。


「あらあら…。どうしましょうか」


 神官様が、私の心を読んだかのように、そう発言しました。やはり、無理なんでしょうか。


 …もう、仕方ありませんね。なる様になれです。


「私が魔王に選ばれました。キャルシィは私の配下で妹です」


「…はぁ⁈」


「…あらあら」



 ♢♢♢



 それから私は、昨日起きたことを話しました。もちろん、私が知られたくない個人的な情報は隠していますけど。私の嘘のような情報に皆驚きますが、カーラが全て肯定するので、一応は信じてもらえたと思います。それに、私がお土産としてサクラさんに渡した『魔剣』ディスティリオンの効果が大きかったと思います。実際に魔王城に行かないと、手に入れる事は出来ないでしょうからね。


 ですが、だからといって、私達が王城に向かう事は変わらないみたいです。しかも、王城には王都のギルマスなどの強い人が集まっているそうです。凄く行きたくないですね。


 まぁ、私が何を言っても変わらないみたいなので、付いていきますけどね。難しいかもしれませんが、私がメインにならない事を祈ります。


 そして、私達は王城に歩いて向かいます。神官様とソフィー様、ギルマスにサクラさん、そこに私達3人。今更ながら、凄い組み合わせですね。この集団を見た人は、朝から何事かと心配してしまいますよ。キャルシィの耳と尻尾は隠しているので、魔族だと騒がれる事は無いでしょうが。


 王城までは歩いて20分ほど。意外と近いですが、ただただ歩いて時間が過ぎるのはもったいないので、私はサクラさんに話しかけます。


「サクラさん、キャルシィは可愛いですよね?」


 そうです。私は納得していないのです。だれもキャルシィの事を可愛いと言っていない事に。


「…可愛いわよ。…でも、魔族よ。強いのよね?」


 良かったです。可愛いとは思っていてくれているようです。私の感性がおかしいのかと疑ってしまいましたよ。…ですが、どうなのでしょう。


「…キャルシィ、強いのですか?レベルはどれくらいですか?」


「え、全然強くありません。今、34レベルです」


 おぉ、カーラの10分の1以下ですね。子供にしては強い方でしょうかね。魔族だからでしょうか。


「え⁈ 私より低いじゃない! …頭撫でていいかしら?」


「どうぞ!」


「にゃ⁈」


 ふふっ、そういうことですか。サクラさんは、ただ警戒していただけなのですね。やはり、キャルシィの可愛さは最強のようです。これならきっと、直ぐに他の皆とも仲良くなれるでしょうね。


 そして、そうこうしているうちに着いてしまいました。王城です。入った事は無いので、緊張してしまいますね。無事に帰れると良いのですけど。




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