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マーレと学院の話をしよう


 今日はマーレと遊ぶ約束をした日だ。


 マーレは幼い頃からの友人の一人で、明るいくせにインドア趣味で、恋には奥手な女の子だ。私と属性がかぶってる気がしなくもない。


 ただ好きな男の子がカイルという点で隔絶した差別化になっているので何も問題は無い。


「やっほーソフィア、遊びに来たよ」


「いらっしゃい。今日は一人なんだね」


 マーレは妹のノアちゃんを可愛がってるから、一緒に来ることが多い。

 一人で来る時は大抵ノアちゃんが外出禁止を言い渡されている時だったりする。あの子、素直すぎて他所の家で失礼なこと言っちゃうみたいなんだよね。親御さんが外に出したくない気持ちも分かる。私も被害者だし。


「学院の話なんてノアにはつまらないだろうから置いてきた。謹慎が解けてないのもあるけど」


「……まだ解けてないの?」


「……まだ解けていないの」


 二人して苦笑い。


 言葉遣いの指導が始まって結構経つと思うんだけど、まだお許しが出る水準には達してないらしい。

 ノアちゃん、がんば。


「そういえば知ってる? 王子様の話」


「あれ、あの王子様まだいるの?」


 学院で王子様と言えば比喩でもなんでもなく、王様のご子息さんのことだろう。


 確かお姉様が通ってた時に第一王子がいるって話は聞いてたけど、詳しいことは知らないんだよね。関わりなさそうだから興味もなかったし。まさか何年も留年してるわけでもないよね。


「違うよー、ヒース様だよ、ヒースクリフ様。私たちと同い年だから学院でも同級生になるんだって。同じクラスになれたらいいよねー」


 そんなお父様の会社の社長の息子みたいな人と同じクラスなんて嫌だよ。気を使いすぎて疲れそう。


 失礼を働いて一発打首とかはないみたいだけど不敬罪自体はありそうなんだよね。

 王子様って存在は気になりはするけどリスクが高すぎてお近付きになりたいとか思うわけない。


「マーレはヒース様に憧れてるの?」


「憧れてるの、普通だよね? 全然興味無いソフィアの方がおかしいと思う」


 そんなもん?


 ヒースクリフ様ねえ。

 思い返しても特別な印象はないなあ。


「パーティーでご挨拶したことくらいあるでしょ? 胸がときめかなかった?」


「マーレって人に挨拶する度にときめいてるの?」


「そうじゃないけど!」


 だよね、びっくりした。


 王子様だけあって顔は綺麗だけど、そんなの貴族みんな美形だし。

 内面は知らんし。


 ときめく要素ないよね。


 私が微塵もときめかなかったことを理解したマーレが、大きなため息を吐いた。


「ソフィアだったら王子様でも手玉に取っちゃいそう。カイルみたいに」


「手玉に取ったことないから」


 なに不名誉な実績を捏造してるの。


 この子、やっぱりノアちゃんの姉だわ。


ナチュラル失礼姉妹。

ノアちゃんの教育係はノアちゃんの暴言に心を抉られつつも頑張っているらしい。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヒースクリフか、嵐が丘を思い出すね。
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