ロマンを追求しよう
空中に描かれる魔法陣。
ロマン溢れる光景だ。実に良い。
だから、気付きたくはなかった。
わざわざ煩雑な陣を描く手間を省いたにも関わらず、この魔法陣には未だ致命的な欠陥がある。
それは、魔法で普通に光の玉を出した方が早いという事だ。
魔法陣いらない説、浮上。
いや、そもそも魔道具作りに必要なだけで、魔法が万能なのは分かってたことではある。
確かに光の玉を出すだけなら、魔法陣ではなく魔法で出すべきだろう。
でも別に光の玉が出したいわけじゃない。
私は、魔法陣から魔法を生み出したいのだ。
なので魔法陣は必要です。あって良かった、魔法陣!
しかしこの魔法陣って、想像以上に楽しいな。
魔石も魔法陣用のインクもないから全部自前の魔力で補ってる。だから厳密には魔法陣とは言えない気がしなくもない、でも楽しい。
なにより空中に魔法陣書くのがファンタジーしてる気分で超楽しい。完成と同時にイメージしなくても勝手に発動するのが新鮮で楽しい。実用的でないとか知ったことか。うわっほーい。
調子に乗ってでっかい魔方陣やちいさな魔法陣を作ったり、いくつも同時に描いてみたり天井一面に並べちゃったりなんかして遊んでたらメイドちゃんが部屋に来て「大丈夫ですか? 何事もありませんか?」って心配されてしまったよ。
庭から見た私の部屋がピカピカしてたらしい。かなり派手だったみたいだ。
多分、光の玉重ねてどれだけ光るか試してた時のだと思う。心配かけてごめんね。
メリーとマリーは体がぬいぐるみだし眩しいとかはないみたいだけど、フェルとエッテで眩しかったみたいで早々にヴァルキリー様の中に退避してた。
勿論、ヴァルキリー様は目を光らせるために出した。
威風堂々たる立ち姿だから、動き出す前に目がギュピーンと光ったら迫力ありそうと思ったから善は急げとね、試したくなるよね。
まあイマイチだったんだけど。
単眼ならかなりイケてたんだけど、それロボットじゃんね。
頑張って兜から金の長髪とか生やしたし、ヴァルキリー様は凛々しく堅物な、女の子が憧れる女騎士をイメージして作ったから単眼とか論外。
両目を光らせたらね、ギュピーンじゃなくて、なんていうかな。
目からビーム?
ともかく、理想のヴァルキリー様は一日にして成らず。地道に改良を重ねるこれまでの方針に変わりは無い。
それにあんまりはしゃぎ過ぎると周りの人が心配しちゃうからね。
今日はもう終わりっ。
残りの時間は二つの魔方陣の違いが何に影響を及ぼしているのかを調べることにした。
魔法陣に描かれているのは模様っぽいけど文字にも見える。だが、知らない文字だ。
あー、知らない文字みたら日本語が懐かしくなってきたなあ。日本語がって言うより日本が、さらに言えば日本食が、だけど。
卵かけご飯たべたい。
日本食=醤油。間違いない。




