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末路

続きをご希望くださり、ありがとうございました。ただ、今回のお話は、残酷で救いのない展開に加え、食人(カニバリズム)描写や、赤子にとって不幸な内容が含まれます。これらの表現に抵抗や忌避感のある方は大変申し訳ありませんが、閲覧をお控えいただくことをお勧めします。また、今回は主人公の二人(エリスとガリアス)は登場せず、恋愛要素も皆無となっております。

【サワン視点】


私がこの地下牢の一室に入れられてから、いったい何日が過ぎたのだろうか。

薄暗く、光が差し込まないこの空間では、昼も夜も分からない。


時の流れを知る術もなく、ただ漠然と日々が過ぎていく。


いつしか、鼻も匂いを感じなくなっていた。


いや、正確には、感じなくなったのではない。

あまりにも強烈な腐敗臭に晒され続けたせいで、鼻がその悪臭に慣れてしまったのだ。


部屋の隅に転がる、三つの包み。


その中にあるのは、私の両親とリリーラの首だった。


せめて供養だけでも……と、看守に何度も頼み込んだが、その願いが聞き入れられることはなかった。

三つの包みは、今もなお、部屋の隅に放置されたままだ。


日を追うごとに腐敗は進み、かつて家族だったものから発せられる悪臭がこの狭い地下牢を満たしていた。


ーーもう、死んでしまいたい。


何度そう思ったことだろう。


鉄格子に衣服を巻き付け、首を吊ろうとしたこともあった。

息を止め、意識が遠のくまで耐えたこともあった。

食事の際に使う食器を、自らの身に突き立てようとしたことさえある。


けれど、そのたびに死への恐怖に駆られ、最後の一歩を踏み出すことができなかった。

そして、そんなとき決まって脳裏をよぎるのは、産まれたばかりの我が子の姿だった。


ーーあの子は、無事なのだろうか。


あの王家のことだ。私の子というだけで、すでに命を奪われていてもおかしくはない。

そう思いながらも、私はどうしても諦められなかった。


せめて、あの子が無事でいてくれたら………。

その安否さえ分からないまま、私は今日も、かすかな希望を捨てきれずにいる。


そもそも、王命を下したときに、その理由をはっきり説明してくれていれば、こんなことにはならなかったのだ。


私にエリスを娶れとの命令があったとき、私はてっきり、第三王子を助けた褒美として、貧民の娘を貴族の妻にしてやるという話だと思っていた。


そうであれば、肩書だけとはいえ、私の妻という地位を得られたエリスは、実に幸運な女だったはずだ。


それなのに………!


「貧民の分際で………!」

思わず、吐き捨てるように呟いた。


すべての始まりは王家の命令だったのだ。私だって、好き好んであの女を娶ったわけではない。


王家から多額の支援金が出るという話だったからこそ、結婚式までは優しく接し、機嫌を取って、気分よく過ごさせてやったのだ。


そこまでしてやったのだから、むしろ感謝されて然るべきだろう。


それなのに、あの女ときたら………!


王家の人間だって同じではないか。

結婚式のあと、エリスが姿を見せなくなったところで、誰一人として大して気にも留めていなかったではないか。


私が「体調を崩しているようで」と言えばそれ以上追及することもなく、「まだ礼儀作法に不安があるようで」と言えば、そうか、と納得して放置した。


王家にとってもあの女の存在などその程度のものだと思っても仕方がないではないか!


それを………それを、なぜ私たちだけがこんな目に遭わなければならないのだ………。


ほんの少し前までは、とても幸せだったのだ。


リリーラを日影の身に追いやってしまったことだけは、心苦しかった。

だが、おかげで多額の金が手に入り、愛するリリーラと何不自由のない暮らしができる。


これからも続いていくはずだった幸福な日々。


すべては、もう手の届かない過去のことだ。

薄暗い地下牢の中、私に残されていたのは、あの幸福だった日々を思い返すことだけだった。


そんなある日、私のもとに第三王子がやってきた。


「久しぶりだねぇ、サワン!しっかし、ここは本当にクッサイね!あははは!」


ずいぶんと深酒をしたのだろう。

顔は赤く染まり、足取りこそ怪しいものの、すこぶるご機嫌だった。


「で、殿下!!どうか、ここから出して下さい!私はまだ、エリスを連れ戻すことができます!」


私は藁にも縋る思いで、鉄格子に駆け寄った。

ここから出られ、ルーデウスと暮らせるのなら、私はどんなことでもする。


しかし、第三王子は酔いの回った顔に笑みを浮かべたまま、あっさりと言い放った。


「無理だよぉ。エリスはもう、サディアールで結婚しちゃったみたいだからねぇ」


「……は?」

思わず、間の抜けた声が漏れた。


「し、しかし………エリスは、私の妻です………よ?」

最後のほうは、ほとんど声にならなかった。


「うんうん。君の戸籍上の妻がエリスなのは確かだよぉ。でもね、サディアールにいるエリスは、クルーガン伯爵家のエリスとは無関係ってことだからねぇ」

第三王子は、さも愉快そうに指を振った。


「君がリリーラとかいう愛人の子を、エリスの子として登録しちゃったせいだよぉ。あっちのエリスは、施療院できちんと乙女だって証明しちゃったからねぇ。サディアールは、おたくの所のクルーガン伯爵家のエリスは行方不明でかわいそうですねぇ。うちのエリスは『よく似ている別人でしょうね』って言い張れるんだよ。だから、貧民街出身の無戸籍女が隣国で新しく戸籍を作って、そのまま結婚しました。めでたし、めでたし。ちゃんちゃん♪ってわけだよ」


「………そんな」


「いやぁ、まさかこんなことになるとはねぇ!父上も頑張って、君とリリーラの子の記録を抹消しようとしてたんだけどねぇ。貴族院(あっち)は穏健派が多いからさぁ、どうにも無理だったみたいなんだよねぇ。サディアールに喧嘩なんて売りたくないってさぁ」


第三王子は、まるで世間話でもするかのように、へらへらと笑いながら続けた。

「おかげで最近、父上はすっごくイライラしてるんだよ。困るよねぇ?」


「しっかし、君の間抜け面でも酒の肴にして、もう少し飲もうと思って来たんだけどなぁ。さすがに臭すぎて無理だわ~。かーえろっと!」

第三王子は鼻をつまみ、ひらひらと手を振りながら踵を返した。


「ま、待ってください、殿下!」

私は慌てて鉄格子に駆け寄り、必死に呼び止めた。


「ルーデウスは………私の子はどこにいるんですか!?」


せめて、それだけでも知りたかった。

生きているのか。それとも、もう………。


しかし、第三王子は足を止めると、酔いの回った頭で考え込むように首を傾げた。

「君の子………?うーん………どこだったかなぁ」


「殿下っ!お願いします!!」


「………あっ!そうだった、そうだった!」

何かを思い出したらしく、第三王子はぽんと手を打った。


「兄上が欲しいって言ってたから、あげたんだった!」

「………兄上?」


あまりにも唐突な言葉に、私は茫然と聞き返した。

いったい何の話をしているんだ………。


すると、第三王子はあっけらかんと答えた。

「そう!兄上!王太子だよ~」


「………え?」


なぜ………?


「いやぁ、しかし、本当に臭いねぇ!もう無理、帰るね~。バイバーイ」

第三王子はひらひらと手を振ると、今度こそ帰ろうと背をむけた。


「まっ、待ってください!そんな………!!」

私は必死に鉄格子へと縋りついた。


待ってくれ!まだ何も聞けていない。

何のために王太子殿下が欲するのか。

生きているのか。


聞きたいことは山ほどあるのに、第三王子は振り返りもしない。

「殿下!お願いです!どうか、どうか教えて下さい!!!」


声を張り上げても、私の叫びは虚しく地下牢に響くだけだった。


第三王子が去ったあとも、私はずっと考え続けていた。

あの子は王太子殿下に何をされているのか………考えれば考えるほど、胸の奥が締め付けられた。


夢にまで出てくるのだ。

小さな身体を震わせ、泣きじゃくる我が子の姿が。


そんな光景が、何度も何度も脳裏をよぎる。

夢にすぎないと、そう思いたかった。


………けれど、あの王家のことだ。何をしていても不思議ではない。


そのとき、ふと、ずっと頭の片隅に追いやっていた考えが浮かんだ。


ーー魔力を大幅に増やす方法がある。

ただし、それは想像を絶する悍ましい方法だった。


だからこそ、今まで実行する決心がつかなかったのだ。

考えるだけでも恐ろしい。

できることなら、一生手を出したくなかった。


けれど………このまま何もせずにいれば私はこの地下牢で朽ち果てるだけだ。

ーーそして、それは私だけではない。



※※※



その方法は、エリスに与えた別邸に隠されていた。


子供の頃、リリーラと隠れんぼをしていたとき、偶然見つけたのだ。

すでに亡くなった妾が残した、一冊の手記を。


そこには、恐ろしい内容が記されていた。


ーー魔力を大幅に増やす方法。


それは、自分と血の繋がりが深い者の血や肉を食らうことだった。


手記を残した妾も、初めから確信があったわけではないらしい。

あくまで仮説として、その可能性を考えていたようだ。


だが、彼女に子が産まれたことで、状況が変わった。

いずれ、正妻に見つかれば、子は処分される。


どうせ、助からないのなら、せめて自らの仮説を証明してもらおう。

そんな考えに至ったようだ。


そして、彼女は実行した。


自らの子を食らい、その結果、仮説が正しかったことを知ったのだ。

手記には、実際に魔力が大幅に増加したことが記されていた。


手記によれば、妾は増大した魔力を使って正妻を殺めるでもなく、その生涯を魔術の研究に捧げたようだった。

自らの子を犠牲にしてまで手に入れた力で、彼女はいったい何を求めていたのだろうか。


あの、妾はどこか狂っていたのかもしれない。

そう思わずにはいられなかった。


私は恐ろしくなり、手記を燃やし、その後エリスの失踪が伝えられるまで、別館に立ち入ることはなかった。



※※※



私の魔力は、中級貴族としてごく一般的なもので、属性も風と水の二種類だ。

この地下牢から脱出し、王家の手の内にある、ルーデウスを救い出すなど、今の私には到底叶わぬ望みだった。


このままでは、何もできない。

ここで、朽ち果てるのを待つしかないのだ。


ーーならば!


私は、ゆっくりと部屋の隅へ視線を向けた。

そこに転がっている、三つの包み。


両親とリリーラ。

私にとって、かけがえのない大切だった者たち。


「………申し訳、ありません………父上………母上」

震える声で何度も謝った。


こんなことをするつもりなどなかった。

できることなら、きちんと弔ってやりたかった。


けれど、私にはもう、他に道がない。


泣きながら、私は包みへと手を伸ばした。

腐敗はすでに進み切っていた。


鼻をつく臭いに吐き気を催し、涙で視界を滲ませながら、それでも私は手を止めなかった。


ーールーデウスが、まだ生きていてくれるのなら。

もう一度、この腕に抱くことができるのなら………。


そう自分に言い聞かせながら、私は家族だったものを喰らった。


………その直後、身体の奥底から、凄まじい勢いで魔力が膨れ上がっていくのを感じた。

今までとは明らかに違う。

溢れる魔力はとどまるところを知らず、さらに増大していく。


ーーこれなら………!


私は、首元に手を伸ばした。


そこには、魔力を封じるための魔術具が取り付けられている。

私は、魔術具に魔力を叩きつけた。


次の瞬間。


「パァンッ!」


乾いた破裂音が地下牢に響き渡った。

首元の魔術具が、膨大な魔力を抑えきれず、容量を超えて弾け飛んだのだ。


床に転がった破片を見下ろし、私はゆっくりと顔を上げた。


ーー待っていてくれ………ルーデウス。


鉄格子には、魔術を防ぐための細工など何ひとつされていなかった。

風の魔術を放つと、あっさりと鉄格子は破壊することができ、そのまま地下牢を後にする。


第三王子が酔った様子でここへやってきた時点で、ある程度の予想はついていたが、外はやはり深夜のようだった。


深夜の王宮は静まり返っていた。


廊下を照らしているのは、魔術具が放つほのかな灯りだけ。

その淡い光の中を、私は足音を殺して進んでいく。


王城は、外からの侵入に対しては堅固な守りを誇っている。

幾重にも張り巡らされた結界に、厳重な警備、侵入者を阻むための仕掛けも決して少なくはない。


だがーー。

私は、すでに内側にいる。


私は王宮の中をゆっくりと歩いた。

途中で出くわした者は、誰一人として見逃さなかった。


風の魔術で首を落とす者もいれば、水の魔術で呼吸を奪い、窒息させる者もいた。


かつての私なら、これほどの魔術を行使するなど到底できなかっただろう。

魔力量だけではない。威力も、速度も、何もかもが以前とは比較にならないほど増していた。


そのまま廊下を歩き続けると、ひときわ豪華な扉が目に入った。

扉の前には、二人の騎士が警備に立っていた。


私は足を止めることなく、風の魔術を放ち、二人は声を上げる間もなく、その場に崩れ落ちた。

私は騎士の一人から剣を奪い、扉を開けて室内へと足を踏み入れた。


部屋の中央には、天蓋付きの豪奢な寝台が置かれており、その上で第二王子が何の警戒心もなく眠りこけている。


はっ!まったく、いいご身分だ。


寝台へと歩み寄り、奪った剣の切っ先を王子の喉元へ突きつけた。


「王子………第二王子。起きてください」

静かに声をかける。


「う……?なんだ………!?」

王子は寝ぼけた眼をこすりながら身を起こしたが、喉元に剣が突きつけられていることに気づいた途端、顔色が変わった。


「お、お前はっ!?」

「大きな声を上げたら、すぐに殺します」

私は冷ややかに告げ、王子の喉元に剣を突きつけた。


「ま、待て!お前はいったいーー」

「国王、王太子殿下、第三王子。それぞれの居室の場所を教えてください」

「外の騎士たちはどうした!?」


剣先をわずかに動かす。

喉元に当てた剣を滑らせ、薄く皮膚を切り裂いた。

「質問に答えて下さい。次はありませんよ」


「ひっ………!」


王子の喉から、引きつった声が漏れる。

首筋に赤い筋が浮かび、そこから一筋の血が流れ落ちた。


「どこですか?」


私が静かに問い直すと、王子はもはや抵抗する気力も失ったのか、三人の居室の場所をあっさりと答えた。


「なるほど。ありがとうございました」

礼を述べた直後、私はそのまま剣を振り下ろした。


第二王子の居室から近い順に第三王子、王太子、そして国王の居室があるらしい。


私はまず、第三王子の部屋へ向かった。


扉を開けると、酒の匂いが漂ってきた。寝台では、第三王子が大いびきをかいて眠っている。

先ほど地下牢までやってきたときと同じく、よほど深酒したのだろう。

起きる気配は微塵もなかった。


「………はぁ」

私は小さく息を吐き、寝台へと歩み寄った。

そして、眠り続ける王子に、二度と目覚めることのない永遠の眠りを与えた。


ーー第三王子。

あなたがあの日、ふらふらと街中で遊び歩き、魔獣にさえ襲われたりしなければ………。


私は王子の亡骸に背を向け、次の部屋へと向かった。


王太子の居室に足を踏み入れた瞬間、私は異様な光景に息を呑んだ。


部屋の広さは、先ほど訪れた第二王子や第三王子の居室の倍ほどもある。その空間の壁一面に、透明なガラスケースがずらりと並んでいた。


中に収められているのは、鷹や鹿、亀ーーそして、人間。


まるで珍しい動物でも集めるかのように、さまざまな姿の剥製が所狭しと陳列されていた。


その異様な光景に、吐き気が込み上げる。

けれど、そんなものはどうでもよかった。


私は、見つけてしまったのだ。

ガラスケースの中に収められた、小さな我が子の姿を。


「あ、あ………。あああああ!」


喉の奥から、悲鳴にもならない声が溢れ出した。

涙が頬を伝い、次から次へと零れ落ちる。


目の前が滲み、息がうまく吸えない。


どうして。

どうして、こんなことに。


まだ、産まれたばかりだったのだ。

何も知らず、何も悪いことなどしていない、私の子供がーー。


「なんだ!お前は!」

寝台から跳ね起きた王太子が、怒声を上げた。


「おい!誰かいないのか!騎士を呼べ!!」

王太子は声を張り上げた。しかし、いくら待っても騎士が駆けつける気配はない。


「なぜだ………?おい、誰かいないのか!」

苛立たし気に叫ぶ王太子を前に、私はゆっくりと口を開いた。


「殿下………なぜ、この子はこんなことに?」

「あ………?よくできているだろう?」

王太子は、私の問いかけの意味が分からないとでもいうように首を傾げた。


「ああ………そうか。お前、サワンか。今までここに赤子はいなかったからな。………助かったよ!!」

その言葉とともに王太子がこちらへ攻撃を仕掛けようと動く。


だが、その攻撃が届くよりも早く、私の放った魔術が王太子の首と胴体を切り離した。

私は倒れ伏した王太子には目もくれず、ガラスケースの前に膝をついた。


「………ああ、かわいそうに」

震える手で、透明な壁に触れる。

「もうすぐ、父上もそちらに行くからな。だから………もう少しだけ、待っててくれ」


国王の居室は、ここから少し離れた場所にあった。


遠目にも、扉の周囲には大勢の騎士が配置されているのが分かる。

だが、その様子からは緊張感よりも、どこか気の緩んだ空気が感じられた。


これまで何事もなく過ごしてきたせいで、まさか王宮の内部から襲撃されるなどとは考えもしなかったのだろう。


もっとも、今さら何人いようと関係はない。


私はこれまでと同じように、騎士たちを魔術で排除し、国王の居室へと足を踏み入れた。

部屋の中では、国王が宰相と酒を酌み交わしていた。


扉が開いたことに気づいた二人は、揃って立ち上がる。

「なんだ!そなたは!」

「騎士たちは………」


二人は私の姿を見て、驚愕に目を見開いた。

私はそんな二人に向かって、静かに微笑んだ。


「私ですよ。サワンです。………忘れてしまいましたか?」


「サワン………?ああ、あの役立たずですか」

「それより、騎士はどうした!」

「騎士たちには、永眠してもらいました」


「なに………?お前に、そんな力があるはずがない!」

国王は信じられないといった様子で、私を睨みつけた。


「それが、あるんですよ。禁忌の方法を使って………」


「なにっ!それを教えろ!」

それまで驚愕に染まっていた国王の顔が、途端に欲にまみれたものへと変わる。


「それさえあれば、サディアールを………!」

宰相もまた、興奮を隠そうともせずに声を上げた。


………まったく。


この期に及んでも、まだそんなことを考えているのか。

「教えても構いませんよ。ですが、それを使う機会は、あなたたちにはありません。………あなたたちに、生きる価値などありませんから」


「なんだと………!?お前、身分を弁えよ!」

国王が顔を真っ赤にして怒鳴りつける。


その声を聞いた瞬間、私はもう、これ以上この者たちと言葉を交わすことさえ億劫になった。


ーーもう、いい。


私は目を閉じ、身の内に満ちる膨大な魔力を解き放つ準備を始めた。

抑え込まれていた魔力が、身体の奥底で激しく渦巻く。


ーーこれで、父上と母上、リリーラ、そしてルーデウスに会える。


「それでは………さようなら」


その日、王城は謎の大爆発により半壊し、多くの犠牲者をだした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。また、感想やブックマーク登録、★でのご評価、誤字報告など、どれも大変嬉しく思っております。誤字報告につきましては、誤った意味や使い方で覚えていた言葉もあり、お恥ずかしい限りです。「浮き足立つ」と「浮き立つ」、「賭ける」と「懸ける」の違いなど、「そうだったんだ!」と驚くことも多く、とてもありがたく思っております。今回のお話は、私の中では以前から妄想として出来上がってはいたものの、読んでいてあまり気持ちのよい話ではないかもしれない………と思い、執筆をためらっていたものでした。こうして形にしてみましたが、果たして皆様に蛇足だったと思われていないか……。そうでないことを祈るばかりです。

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― 新着の感想 ―
「その後」までならよくある展開のお話だなーという感想でした。 今回サワンが父としての愛を貫いたのは良かったと思います。 その情のひとかけらでもエリスに…と思っても、お話しが成立しなくなっちゃいますもん…
おー、凄いざまぁだ。 主人公たちは何もしてないのに、凄いことに。 まあ、因果応報気味だったかな。 王家も説明しろは、そうだよなーとか。 逆にそれで正義感ある貴族だと、反乱起こしそうでもあるから。まあ、…
愚王にトドメ刺さずに自爆したってことは、億が一愚王生きてたりして?
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