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帝国新英雄物語  作者: あるでるの
第一章 門出
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報告

# 日付:地球歴 残存記録 第181日

# 場所:アルカディア帝国 最前線防衛基地「セクター1」、司令室


私は、彼を医務室に運び、部下達に治療を任せた後、司令室に軍曹を連れて向かった。


コンコン…


「ザビーダ少尉であります。入室してもよろしいでしょうか。」


「入れ。」


「失礼致します。」


私は司令室に入室すると、軍曹を部屋の隅に立たせ、なかの護衛兵達に監視を指示すると司令室のセンターテーブルへと向かった。


私達南部方面特別作戦部隊は奴隷部隊のパイロットに命を救われた。彼のおかげで敵国の首都を制圧することができた。この報告で何としても彼の身の安全と地位を確立せねば。今なお、昏睡状態の彼に私ができるのはそれぐらいなのだから。


「それでは報告を聞こうか。」


私は、彼の機体から得られた情報と、奴隷部隊の青年がどのようにして敵航空機を撃破し、我々を救いだしたかを淡々と報告した。公爵閣下は、銀色の髭を撫でながら、一言も漏らさずに聞き入っていた。


「そうか…121の奴隷部隊出身か。」


「はい。」


「総司令…確かに我々南部方面軍全体の恩人であることに間違いはございませんが…」


「軍曹の言い分もわかりますし…」


「流石に奴隷に我々が助けられたなどと報告するわけには…」


何だよ…日和見どもが。誰のおかげでそんな減らず口をたたけていられると思ってんだよ! 恩人を見捨てたら、帝国軍人の名が廃れるだろうが!


司令室の重い空気を一瞬で切り裂くように、ガルガンティア公爵の低く響く声が響いた。


「皇帝陛下への報告は儂がする。心配いらん。陛下は儂の甥だ。説得しておこう。ザビーダ少尉。」


「はっ!」


「彼は本日付で南部方面軍の航空部隊へと正式加入とする。奴隷の身分からも儂の名のもとに解放する。加えて、帝国臣民の権利を与える。さらに、今回の功績を称えて、3階級特進で帝国空軍伍長とする。当分は誰かの下につけるつもりはないが、少尉…そなたが軍について指導を行うように。」


「承知致しました。本人には私から伝えます。」


「それと、恐らく彼は名を無くし、奴隷としての認識番号しか無いはずだ。今後はエドワードと名乗るように伝えておけ。」


「畏まりました。」


「頼む。では、ザビーダ少尉。後は、こちらで対処する。君は下がり給え。」


「承知致しました。失礼致します。」


流石は帝国陸軍最強を誇るガルガンティア公爵閣下!身分差別も行わず、完全実力主義者なだけはある!実際、南部方面軍ではさっきの軍曹みたいなやつのほうが少ないしな。


あの青年はこれからもっと鍛えて我々の切り札として運用していかねば。


私は司令室を後にし、廊下を歩きながら、まだ昏睡状態の「エドワード」のことを考えた。彼が目を覚ました時、初めての「名前」と「自由」を、そして新たな戦いの日々を、どう受け止めるだろうか。


彼がどのような経緯で奴隷となったのかは私は知らないが。私の胸には、責任と、ほのかな期待が同時に膨らんでいた。彼は、単なる航空部隊のパイロットを超える何かになるかもしれない。この身分制度によって腐りかけた帝国に、新しい風を吹き込む存在に。


それに…あの機体も直さないとな…


あの爺さんなら直せるか?

軍の階級については、間違っている点も多くあるかと思いますが、あくまでも夢のお話です。そのくらいの感じでご覧ください。

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