報告
私は、彼を医務室に運び、部下達に治療を任せた後、司令室に軍曹を連れて向かった。
コンコン…
「ザビーダ少尉であります。入室してもよろしいでしょうか。」
「入れ。」
「失礼致します。」
私は司令室に入室すると、軍曹を部屋の隅に跪かせ、なかの護衛兵達に監視を指示すると司令室のセンターテーブルへと向かった。
「それでは報告を聞こうか。」
「そうか…奴隷部隊出身か。」
「はい。」
「総司令…確かに恩人であることに間違いはございませんが…」
「軍曹の言い分もわかりますし…」
「流石に奴隷に我々が助けられたなどと報告するわけには…」
何だよ…日和見どもが。誰のおかげでそんな減らず口をたたけていられると思ってんだよ!
恩人を見捨てたら、帝国軍人の名が廃れるだろうが!
「皇帝陛下への報告は儂がする。心配いらん。陛下は儂の甥だ。説得しておこう。ザビーダ少尉。」
「はっ!」
「彼は本日付で南部方面軍の航空部隊へと正式加入とする。奴隷の身分からも儂の名のもとに解放する。加えて、帝国臣民の権利を与える。さらに、今回の功績を称えて、3階級特進で帝国空軍伍長とする。今後は、少尉…そなたが軍について指導を行うように。」
「承知致しました。本人には私から伝えます。」
「それと、恐らく彼は名を無くし、奴隷としての認識番号しか無いはずだ。今後はエドワードと名乗るように伝えておけ。」
「畏まりました。」
「頼む。では、ザビーダ少尉。後は、こちらで対処する。君は下がり給え。」
「承知致しました。失礼致します。」
流石は帝国陸軍最強を誇るガルガンティア公爵閣下!身分差別も行わず、完全実力主義者なだけはある!実際、南部方面軍ではさっきの軍曹みたいなやつのほうが少ないしな。
あの青年はこれからもっと鍛えて我々の切り札として運用していかねば。
それに…あの機体も直さないとな…
あの爺さんなら直せるか?
軍の階級については、間違っている点も多くあるかと思いますが、あくまでも夢のお話です。そのくらいの感じでご覧ください。