命令違反
#日記:地球歴 残存記録 第195日
#場所:独立星系連合 主要拠点惑星 『エレーナ』ガデール共和国首都近郊航空基地
格納庫
「ルーク!エドワード!」
「大尉。早く姫様を連れてきてください。航空軍は撤退用意できました。整備班も輸送機に乗ってます。」
「早くしろよ。」
「2人とも陸軍とここで奴らを迎え撃とう。姫様を連れて帰るのはそれからでも…」
はぁ…ザビーダ大尉の気持ちはわからないでもないけど。航空軍の意見は満場一致で撤退なんだよ。俺もルークさんも同意した。大尉だけのために残るつもりはない。
「ルーク上級曹長。」
「あぁ。おい…兄貴」
「ん?ぐはぁ…」
ルークさんはザビーダ大尉を思いっきり殴り飛ばした。因みに姫様には事前にお伝えして、ルークさんの機体で待機してもらっている。
「兄貴よ。気持ちは分からんでもないけど、今のあんたの気持ちに応えるパイロットはここに一人もいねぇよ。」
「な…なに?」
「大尉。現実を見てください。申し訳ありませんが、俺達は早く帰りたいんです。敵が攻めてくるなら尚更のこと。敵が予想よりも多いなら総司令閣下と皇帝陛下に指示を仰ぐのが当然の流れ。先程の大尉のお言葉は、姫様を餌に敵をここにおびき寄せるように聞こえました。」
「それは…」
「そのつもりだったんだろ?守るとか言ってるが、あんたの頭のなかには姫様よりも仇討ちが優先されてる。悪ぃが、そんな奴に従って死ぬのは真っ平なんだわ。おい…お前ら搭乗しろ。この阿呆は置いて、さっさと帰投するぞ!」
「はっ!!」
「おい!待て。この部隊の司令官は俺だぞ!」
「いや?違うな。この部隊の司令官はエドワードだ。陸軍にツテがないから兄貴に委譲してただけだ。」
「大尉。申し訳ありませんが、司令官として『スカイタロン』は旗艦インペリアル・シールドへの撤退を命令します。残りたいならどうぞ。総司令閣下には軍規違反として報告いたします。」
「俺はお前の上官だぞ!!」
「恐れ入りますが、現実から目を背けた邪上官と共に心中はまっぴら御免ですので。では、失礼致します。」
俺達はザビーダ大尉を格納庫に放置すると、それ以外の航空軍全機で離陸した。
俺が先導し、大気圏を突破し、帰投した。




