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帝国新英雄物語  作者: 黒騎士
第二章 英雄
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実戦訓練

「ゲイン上等兵!動きに無駄が多い!」


「す…すいません!」


「アレックス上等兵!フラフラするな!エドワード二等軍曹のケツをみて飛べ!」


「は…はい!」


選抜試験が終わり、2か月がたった。

陸軍と空軍は南部方面軍としては初めてとなる共同訓練を続けている。


ただ…予想されていたことではあったが、陸軍のほうが洗練され、統制がとれている。


これは…苦労しそうだ。


ん?前方から未確認機が来ている?

俺は教官役として訓練に参加してくれていたザビーダ少尉とルーク先任曹長に通信を取る。


「お二人共…前方から大規模な未確認機体が接近中。注意してください。」


「了解した。各隊編隊軌道をとれ!陸軍は一時帰投しろ。各小隊は中隊長へ各中隊長達はルーク先任曹長へ報告しろ。」


「はっ!」


「何かわかるか?」


「いえ…でも、嫌な予感がします。とてつもないことが起きる予感が…」


その時…前方に十数を超える艦隊が出現した。その上、すべての砲門なこちらを向いている!?


「全機散開!距離を取れ!旗艦の総司令閣下に報告!戦闘許可を仰げ!」


俺の言葉とほぼ同時に敵?と思われる艦隊からの砲撃が始まった!



「エドワード!総司令閣下から指令!相手は自由貿易機構!既に帝国に対して宣戦布告を告げている。聞いたか!全部隊編隊で各個撃破せよ!エドワード二等軍曹は暴れてくれ!」


「了解しました!」


俺はまず、敵戦闘機部隊を振り切り、敵旗艦と思われる母艦のスラスターに真後ろからミサイルをぶち込む。それも回避不可能な位置から。


これでこの艦は宇宙空間を漂う要塞だ!


「敵母艦を停止させた!総司令閣下にお伝えしろ!陸軍を突入させろと!各部隊は敵戦闘機の撃破に努めよ!ザビーダ少尉とルーク先任曹長は敵艦の行動不能を手伝ってくださいます?」


「やってやろう」


「了解。俺は駆逐艦と巡洋艦をやる。ルークお前は戦艦をやれ。エドワードは母艦の防空施設の破壊と俺の手伝いをしてくれ。」


「了解!始めましょう!」






「ひよっこ共!離れるな!撃ち落とされるぞ!?これは訓練じゃない!実戦だ!」


う…嘘だろ?実戦ってこんなに苦しいのかよ…攻撃する余裕がない…逃げるので精一杯だ。


「お前たち余裕があれば上官達をみてみろ!ザビーダ少尉、ルーク先任曹長、エドワード二等軍曹は、戦闘機と闘いながら敵艦を次々に行動不能に追い込んでいる!ぺちゃくちゃ無駄口叩く余裕があるなら動け!」


「嘘だろ…あの3人化け物かよ…。」


「それについて行ってるアレックスとゲインもやばいけどな。」


「でも、自分の事守るのに精一杯だろ!?俺らと一緒さ。」




1時間後…

敵航空部隊は全滅し、敵旗艦に陸軍が突入したことで戦闘は終了した。


帝国全域で同じように襲撃があったようだ。どの戦域でも勝利を収めたようだが、被害が出なかったのは南部だけのようだった。


そして、俺達は総司令閣下の部屋に集められた。俺達と言っても、俺とゲラール指令とガルガンティア総司令閣下の3人だけだけど。

「第三皇女殿下が誘拐?」


「あぁ。」


「殿下の護衛には精鋭部隊が数チームついていたのでは?」


「あぁ。それでも突破された。だからこそ、緊急事態なのだ。既に宣戦布告が発布され、帝国全域で戦闘が始まっている。まぁ、こちら側が断然有利に進んでいるが。」


「それで…どうして私が呼ばれたのでしょう?」


「我々に極秘作戦が下された。」


「それに彼が必要なのですか?」


「全方面軍で一気呵成に攻勢に出る。それによって敵を各方面に集中させる。」


「まさか…敵の宇宙センターを攻めるおつもりですか?」


「そうだ。南部方面軍は宇宙センターを攻撃する。その間に選抜部隊が宇宙センターの衛星軌道上にある星に侵入し、姫様救出。敵の攻撃から逃げながらこの艦に戻ってくる。」


「戻るだけでこの戦争が終わるんですか?」


「奴らの目的は、帝国を自分達の経済圏に取り込むこと。そうすることで彼らにとって負担となっている関税を取り除くことができる。彼らの目的はそれだけだ。その交渉材料として姫様の存在が欠かせない。奪われたと知れば、降伏するだろう。そもそも、長期戦になったらやつらは勝てないのだからな。」


「そう簡単に行くでしょうか?」


「簡単ではないだろう。相当な被害が出る。だが、やらねばならん。やらなければならないなら、成功させねばならん。」


「空軍は特殊部隊を投入しましょう。」


「陸軍は特殊部隊と選抜部隊を集めるとしよう。本日中に選抜は済ませる。明朝ブリーフィングを行なう。準備しておけ。」


「「承知致しました。」」


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