宇宙海賊襲来
『コンディションレッド発令!コンディションレッド発令!各員配置につけ。戦闘員は出撃用意!』
ルーク先任曹長とザビーダ少尉とは毎日のようにシミュレーションをしている。
最近は、編隊飛行についての講習も受けている。中々に大変だけど充実していて楽しい!
そんな毎日がつづいていたある夜…戦闘準備を知らせるサイレンがけたたましく鳴り響いた。
俺は軍服のジャケットを羽織るとザビーダ少尉と共に隊員室を飛び出した。
「襲撃でしょうか?」
「恐らく宇宙海賊だろうな。」
「なんです?」
「説明してなかったな。ひとまず、格納庫に行くぞ!おそらくそこに他のメンバーも揃っているはずだ。」
俺と少尉が格納庫に着いたとき、ちょうどルーク先任曹長が他の中隊メンバーを伴って、格納庫に到着したところだった。
「何か聞いてるか?」
「知らん。とにかく、ここまで急いできたんだ。」
すると、格納庫内にある巨大なスクリーンに司令官と思われる老人が映し出された。
他のメンバー達がそちらを向いて「休め」の姿勢をとる。別にだらけてるわけではない。脚を肩幅に広げて、手を後ろで組んで立っている状態だ。
なら、あれがこの南部方面軍の司令官なのだろうか…
「ファントム大隊ケルベロス中隊、バジリスク中隊、グリフォン中隊、サテュロス中隊の諸君…。そして、エドワード伍長。」
「はいっ!」
やっべ…つい反応しちゃった…
「聞こえるので、反応しても問題ないぞ。さて、現在本艦及び本艦護衛艦進路上に宇宙海賊の艦隊が向かってきている。数は航空母艦が2隻、戦艦級1隻、巡洋艦2隻、駆逐艦6隻。大艦隊だ。間違いなくこちらを待ち伏せていたのだろう。」
「やばいな…」
「多すぎる…」
「そこでだ!エドワード伍長。」
「はいっ!」
「ルーク先任曹長とザビーダ少尉から話は聞いているぞ。君のシミュレーションでの圧倒的な戦闘記録の数々をな。君にそこで意気消沈してるファントム大隊の隊員達に見せてやってほしい。我々を救った君の実力がどれほどのものなのかを。」
「し…しかし、私には機体が…」
「整備は済んどるよ」
俺はその声に咄嗟に振り向いた。
そこには体中を真っ黒にしたエルド整備長がいた。
「だ…大丈夫ですか?」
「ん?あぁ、気にせんでいい!お前の機体は整備が完璧に完了しとる。お前さんがシミュレーションで暴れ回ったア・ヌー戦役の映像見せてもらったわ。儂は感動した!そこでな!おいっ!シートを外せ!」
エルド整備長の後ろに待機していた整備員達が機体からシートを外すと真っ赤にコーティングされた機体が。
「シミュレーションでの戦果を今こそ、儂らに見せてくれ。」
俺は整備長に敬礼した。
「ありがとうございます!ご期待に添えるよう全力で当たらせていただきます。」
「おっしゃ!それじゃ、乗っとくれ!ほら、お前ら何をもたもたしとるか。そこをどけ!機体を上げるんじゃから!」
俺が機体に乗り込むとコックピットが全く新しく綺麗になっていた。面倒な操作盤が電子制御となり、より簡略化されている。
これだけ高待遇で迎えてもらったんだ。ここで、結果出さなきゃ!
「緊張してないか?」
操作盤はスクリーン画面にもなっているようだ。ここは少しぐらい驕ってみようかな?
「全て落としてみせますよ。皆さんの仕事がなくなるくらいに…」
「ハッハッハ!それは面白い。見せてもらおうじゃないか。この戦闘で君の真価が問われるよ?1回の奇跡か?本当のエースなのか?頼むよ…"赤い彗星"くん?」
「はい!」
俺は操縦桿を握りしめた。
格納庫から段々とエレベーターのように宇宙空間へと向かった。
気づけば、宇宙空間につき、飛行甲板にライトが灯されている。
確かに前方に敵部隊が視認できる。
「能力を仲間を守るために使わせて頂きます。」
『肉体強化。精神統一。兵器支配。』
そう頭の中で唱えたことで、この機体のあらゆる性能が頭の中で数値化されていく…
凄い!これがスキルなんだ!
さぁ…行くぞ!
「エドワード伍長…発発進します!」




