能力
「大丈夫…か?何があったんだ?」
眩しさの消えた俺に近づいたザビーダ少尉はそう俺を心配してくれた。
ほんとにこの人は優しいな。
俺は今あったことを何も省くことなく説明した。頭が可笑しいと笑われるかもしれないと思いつつも話してみた。
「それは、帝国において信仰されておる創造神である主神、漆黒神竜デミウルゴス様じゃな。」
「でも、どうして主神様が俺なんかを…」
「それはわからんが、何を授かったかわかるか?」
「なんとなくですが…」
なんとなくわかっている能力は、
①肉体強化
②精神統一
③兵器支配
「…まさに軍人にぴったりな能力じゃな。」
「特に君にはぴったりだよ。あの曲芸飛行を身体への負担を減らせるのならば、あれは間違いなく君の武器になるし、我々にとってもありがたい。」
「このような能力を持つ方って多いんですか?」
「まさかっ!儂の知る限りでは、皇帝陛下だけじゃ。他国にいるかもしれんがな。この事はここにいる3人だけの極秘とする。誰にも喋るでないぞ?」
「畏まりました。」「承知致しました。」
「エドワード伍長。この件もあるが、ザビーダ少尉には君の後ろ盾となるように伝えてある。そして、もし他の隊員から悪質な嫌がらせなどを受けたときには迷うことなく儂へ報告せよ。君にはここへの入室許可をくだそう。」
「普通は入れないんですか?」
「普通はそもそもここには来ないんだよ。誰にも上官がいるからね。私も特例で許されているけど。普通は佐官以上からかな?」
「理解しました。ご配慮ありがとうございます!」
「話は以上じゃな?では、退室しなさい。それと君の部屋だがな。今回の件があるからな。特例中の特例ではあるが。ザビーダ少尉と同室としたいのだが…構わんか?ザビーダ少尉。」
「構いませんよ。元々、弟と同室の予定でしたが、あの子にも部屋を割り当ててくださったので、1人分空いておりますので。」
「では、今後のスケジュール等など諸々についても彼から聞いてくれ。ルーク先任曹長にも会わせてやってくれ?」
「はい。この後、会わせます。ご安心ください。彼の事はイルメシアス一族で保護いたします。」
「頼む。」
「それでは、これで失礼致します。行こう、エドワード伍長。」
「はい!総司令閣下。」
「ん?どうしたのかね。」
「総司令閣下は恩を報いてくださったとおっしゃいましたが、私も命を救って頂いた恩を感じております。私の命が続く限り、総司令閣下に尽くしてまいりますので、何でもお申し付けください!」
俺はそう言って敬礼をして退室した。
「彼は…平和への鍵になるかもしれんな。」




