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帝国新英雄物語  作者: あるでるの
第一章 門出
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誓えるか?

#日記:地球歴 残存記録 第189日

#場所:南部方面軍旗艦インペリアル・シールド 総司令執務室


ザビーダ少尉は既に執務室の前で待っていた。5分前に来たんだけどなぁ…


「総司令閣下。エドワード伍長を連れてまいりました。」


「入りなさい。」


「失礼致します!」「し…失礼致します!」


俺はザビーダ少尉に従って総司令閣下の執務室に入ると少尉に従って敬礼をして席についた。


「目が覚めたようで何よりだ。」


「いえ。こちらこそ何から何までご用意頂き、ありがとうございます。」


「何を言う。君には仲間達を救ってもらい、散っていった同胞達の仇を取ってもらった。儂はその恩に報いているだけだ。」


「それでも、私からすれば本当に感謝してもしきれません!」


「ふむ…では、1つ君に質問をしてもいいかね?」


「何でもお答えします!」


「君の夢はなんだ?」


「夢…でございますか?」


「そうだ。帝国の公爵である儂が言えたことではないが、元いた惑星から奴隷として帝国によってこの最前線に連れてこられた。そこで君は功績を得て、帝国の正規軍に入隊を果たした。そこで聞きたい。君は今後何をしたいのだ?」


「…」


俺は突然の質問に困惑した。

俺はどうなりたいのだろう?

地球に帰りたいのか?

でも、今帰っても向こうで酷使されるだけだろう?平民の俺に何ができる…


ならどうしたい?

子供の頃…俺は何になりたかった?


…ヒーロー。そうだ…

仮面ライダーや戦隊もの、ウルトラマン。

彼らのように悪いものを挫き、自分にとって大切なものを守ることのできるヒーローになりたい!


その上で英雄【ヒーロー】として、地球に胸を張って帰りたい…


俺がふと…そんな思いを持ったとき

『その思いに嘘偽りは無いか?』

ふと…そんな言葉が俺の脳内に響いた。


『力を弱き者のために使うと誓えるか?権力に屈することなく、利他的に使うと誓えるか?』


俺はその言葉に答えた。


「俺は誓う。仲間の為、助けを求める弱き者たちのために力を行使することを。」


『ならば貴様に力を授ける。その力無駄にするでないぞ。その思い…努々忘れるでないぞ…』


その言葉が俺の脳内に響いた瞬間…

俺は金色の輝きに包まれた…

「うわっ!」


「なんじゃ!!」


2人は俺から離れた。

どれくらいたっただろうか…?


輝きは収まり、俺は目を開けた。

視界が戻るにつれ、執務室の風景が変わっていた。金属製の壁や机は以前と同じだが、そこに流れる「何か」が異なる。


空気が震えている。微細な金色の粒子が、まだ俺の周りをゆらゆらと漂っていた。そして、俺自身も変わっていた。


手を見る。以前は戦闘で傷つき、奴隷労働で荒れた皮膚だった。今、そこには微かな光の紋様が浮かび上がっている。痛みはない。むしろ、体内に未知のエネルギーが満ちている感覚があった。静かな、しかし圧倒的な力。まるで、長年探し求めていた何かの核心に、突然触れたような。


総司令閣下とザビーダ少尉は、数歩離れた場所で固まっていた。総司令の顔には、驚愕と同時に、深い疑念の色が混ざっている。ザビーダ少尉は完全に警戒態勢に入り、腰の武器に手をかけていたが、動こうとはしない。


「エドワード…」

総司令の声は、低く、慎重だった。

「何が起こったのか?」


俺は言葉を窮した。説明できるだろうか?脳内に響いた声。誓い。そして、この力。


全てが、夢の中の出来事のように非現実的だが、今この手に感じるエネルギーは、確かに現実だった。


「分かりません、閣下」

俺は正直に答えることにした。

「ただ…頭のなかで声が聞こえました。その質問…そして誓いを立てました。それから…先程の光です」


ザビーダ少尉が口を開いた。

「未知のエネルギー反応です。艦内センサーが、この執務室から強い、しかし分類不能な波動を検知しています。生物学的にも…エドワード伍長のバイタルサインは、人間の標準範囲を超えています」


総司令はゆっくりと椅子に座り、俺をじっと見つめた。


「儂が君に夢を問うたのは、単なる雑談ではない。帝国は多くの…異なる星から人材を集める。その過程で、時に特別な資質を持つ者が現れる。君の戦歴と、奴隷出身からここまで上がってきたことに、注目していた」


彼は一息ついた。


「だが、これは予想外だ。金色の輝き…古代の記録に、類似の現象が記されている。『契約者の覚醒』。それは、個人の純粋な意志と、宇宙に散らばるある種の『原初の力』が結びついた時に起こるとされる」


原初の力?契約者?さっきの声の正体なのだろうか?


「その力は、使い手の誓いと意志によって形作られる」

総司令は続けた。

「君は仲間と弱き者たちのために力を誓った。ならば、その力は、守ることを目的とするだろう。しかし、力はそれ自体は中立だ。使い手の心が濁れば、その力も濁る」


金色の粒子が完全に消えた。しかし、体内の満ち足りた感覚は残っている。俺は立ち上がった。体が軽い。以前の戦傷の痛みも、まるで消えている。


「閣下…この力が何であるか、私には理解できません。ですが…誓ったことは変わりません。仲間を守ります。助けを求める者を守ります。それが、私がなりたかった英雄の…第一歩なのだと思います」

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