俺が…小隊長?
「ちょ…ちょっと待ってください。私が隊長!?まだ伍長ですよ?」
「階級はな。だが、実力を言うなら私など到底君には敵わない。南部方面軍が実力主義を掲げているとはいえ、階級には従わねばならない。そこで、総司令との協議の上でこの立場となった。因みに私はファントム飛行大隊の隊長を務める。伍長で小隊長を務めることも安心してくれ。ケルベロス中隊の中隊長は私の実弟であるルーク先任曹長が務めている。君の事情は既に話をしてある。第一航空団団長は私の実姉であるルーナ少佐。航空師団師団長はイルメシアス元男爵で私の父親であるゲラール=イルメシアス少将。」
「凄いですね。南部方面軍の空軍をご家族で統括されているんですね。…というか、男爵で師団長になれるんですね…」
「あぁ。総司令閣下も実力主義だからな。身分は関係ない。それに皆というか…イルメシアスの家訓として身分ではなく実力主義を掲げていてね。君のことは大歓迎なんだ。だから、伍長であることを気に病むことはない。君のことは我が一族で守る。それに、君の入隊は総司令閣下が、認められたこと。そして、私は閣下からのご命令で君の上官となった。これに逆らえば、反逆罪に問われる。軍事裁判レベルだ。」
「確かにそうでしょうが。身分の事は避けては通れないかと…身分によってイジメとか…」
「なら、懐にこれを忍ばせておけ。」
少尉は変わった形の電子機器を渡してきた。
「これは…?」
「これは、音声及び映像記録媒体だ。ここの赤いボタンを押せば、ポケットに入れていても音声と映像を一緒くたに記録できる優れもの。まだ試作段階だから、皇族と総司令閣下と製作責任者のいるイルメシアス男爵家しか所有していないから、バレる心配もない。」
「では、預かっておきます。」
「さて、話も済んだところだし、艦内を案内しよう。ぜひ、会ってもらいたい人もいるしな。」




