第三節 学園ロマンス——蕾
「嬉しそうね、何かあったの?」
「ええそうね、素敵な殿方が見つかりましたの」
「最近貴女がよく話題に出すあの方かしら?」
「ふふっ、どうかしらねぇ〜」
「貴女に素晴らしい出逢いがあったなら友人として祝福しますわ。でも、物語の男の子って最初に出会った女の子に惚れるものよ。たとえハーレムものでもね。だからきっと.......——」
「彼はよくありがちな鈍感系主人公でもやれやれ系主人公でもありませんのよ。そんなべタな展開なりませんわ。というかさせませんわ」
「廊下でぶつかっただけで恋を悟るチョロインがそんなこと言っても何にもならないと思うわ。王道展開に逆張りたいならもっと攻めたことしないといけなくってよ」
「う、うるさいわね。別に良いじゃない。恋はロマンティックで美しいものであって然るべきなのよ。それにあれはきっと宿命なのよ」
「恋は甘酸っぱいロマンスであるべきって本当貴女はお嬢様キャラの王道をいってますわね。まるで漫画やラノベみたい」
「わたしはそんな単純な奴じゃないわよ。というか、そういうヒカリはどうなのよ?いい加減男を食い漁るのはやめにしたら?」
「あら?風紀委員にそれをいってよくって?」
「風紀委員だからこそよ。風紀委員は我が学園の秩序を司る存在……その長がところ構わず色んなところでドロッドロッでグッチャグチャな情事をするのはの問題というか……端的に言うとはしたなくってよ。しかも、まぁた貴族の男の子誑かして!彼、彼女持ちなのよ。NTRよ!NTR!その浮気バレした彼ったら噂を聞く限りとんでもない折檻喰らったらしいわよ。性癖とか人生とかいろいろねじ曲がっちゃったらどうするのよ!まったく……」
「あれはわたしのせいじゃないわ。本当にただ相談に乗っただけなのよ。それがどうしてか……あんなことに……」
「ハンッ!わざとらしいわ。どーせ『このさい味見しちゃおうかしら?パックンッ』でしょ?」
「……」
「どうなのよ」
「……わたしたち年頃なのよ?”密室に年盛りの男女が二人きり、何も起きないわけがなく……”よ。そうなってしまうのよ。ほんのちょっぴり『テクが上手い』とか『彼女とヤリまくってる』とか一時噂されてたその事実を確かめようとしたわけでは……ないわ」
「嘘はやめなさい。どうみてもあたりじゃない。親友のこのわたしに隠し事なんて無駄なのよ」
「でもこれだけは言いたいわ」
「いちおう聞いてあげるわ。何よ?」
「どうして風紀委員の女の子はいつもオラオラ系な不良にアへ顔さらして快楽堕ちさせられたり、陰キャやオタサーに開発されたり調教させられたりするのかしら?純潔と秩序を象徴するからといって、それを汚す背徳感が素晴らしいだなんて様式、流石に擦りすぎよ」
「知らないわよ……というか全然弁解にもなってないし。関係ないし。それにあなた、”純真無垢なフリをした清楚系ビッチな風紀委員キャラ”そのものじゃない。テンプレなのはむしろそっちじゃないかしら?」
「……」
「ほぉら!何も言い返せないじゃないの!ハイ論破、論破、QED」
「……この姿あなたの意中のカレにぜひご覧になってほしいものね」




