日記-第一章-
「日記」の第一章。物語の本当の始まり。
だから、私はここにこの世界の「世界観」を記している。誤解して欲しくないんだけど、この世界っていうのは「世界」の事じゃなくて「全世界」のこと。
つまりは、全ての「世界」に共通する考え方のことなんだ。まぁ、この世界の成立が紛らわしいのが悪いんだけどね。
もともとは一つの世界から生まれた「世界」だから、割と共通項も多いんだ。
まず挙げられるのは「共通語」の存在かな。世界の成立から考えると不自然なんだけど、一応あるんだ。確か、共通語「トンラペスエ」の由来は「国家間断絶会議」だったと思う。基本的に国家は断絶することになっているんだけど、国境付近で災害とかが起きた時には協力できるように作ったみたい。言葉がわかんなきゃ協力なんて出来ないもんね。
でも、今では国家……いや「世界」は完全に断絶しているから、共通語は意味を持たなくなったんだ。だからどの「世界」でも言語はその「世界」の言葉。つまりは母国語…じゃなくて「母世界語」なんだ。それでも一応形は残っているみたい。いわゆる「形骸化」ってやつかな。
私はトンラペスエ語がわかるから、「世界」を巡る時に苦労せずに済んでるんだ。かなり都合のいい話だけど、「世界観」は誰にも干渉できないものだし、私はあくまでそれに乗っかるだけ。ラッキーだったと思って、これからもありがたく利用させてもらおう。
あと、「生活水準」はどの世界でもそんなに変わらないかな。どの世界にも、宿、市場、病院があって、普通に暮らしていれば飢え死にすることはないんだ。
なんでそうなったのかは、よくわからない。一応、私の考えだとトンラペスエ語の存在が大きいんじゃないかなと思ってる。
何でかっていうと、人が「言語」を道具として操るんじゃなくて、「言語」によって「人」か創られているっていう考え方があるんだ。昔は、国家が違っても母国語が一緒なら仲良くやっていけたし、逆に国が一緒でも母国語が違うとギクシャクしてた。様々な母国語の人々を受け入れて破綻していった国、見たことがあるんじゃないかな?
つまりは、全ての「世界」で共通する言葉があるから「世界」同士が結構似ているんじゃないかな、ということ。
私にとっては、これもかなり都合のいいことなんだけど、これもただの「世界観」。乗っかるだけだよ。
基本的に私は「世界の違い」を楽しんでいるし、大切にしている。だからあんまり共通点が多いのは好ましくないんだけど、これぐらいはいいかなって思ってる。あまりに「世界」が違うと、「世界」を巡るどころじゃなくなってくるからね。
でも、「アレ」だけは気に入らない。そう、「太陽」だけは気に食わない。
日記第一章編。もうちょっと続きます。




