少女、世界を巡る
「相変わらずクセェ口してんな!おい!」
「テメェの腐った魚みたいな顔よりはマシだけどな!」
「やっぱり凄い世界だ。ここも。」
街中、罵詈雑言が飛び交っているけれど、誰一人悲しい顔をしている人はいない。
みんなニコニコ笑っている。口からは衣の弾け飛んだ言葉が飛び出す。すごい。
そういえば、どこかの誰かがこんな事を言っていた気がする。
「本音は決して口から出ない。本音は行動に現れる。」
確かにその通りかもしれない。黙る事は出来ても、涙を止めることはできない。
この世界は、いわば「本音と建前が逆な世界」なのかもしれない。
思ったことは口にすぐ出せるし、表向きな事は行動に現れてくる。
知らない人が見たら「すごい口が悪いけど優しい人」に見えるんだろうな。
だとしても、腐った魚みたいな顔っていうのはひどいんじゃないのかなぁ。
でもいいんだ。それがこの世界の姿なんだから。
町の人の服装は割と普通だ。町の様子も割と普通。食事も割と普通だ。
変わっていることは町の人の口調だけ。
いいなぁ、こういう世界。本音が言えて、後は普通。
世界に善悪はないけれど、私にも好き嫌いぐらいはある。
ここは割と好きな世界だ。いや、かなり好きかもしれない。
そんな風に考えながら町……いや「世界」を歩いていると、ふと割れた窓ガラスが目に入った。それがただの窓ガラスだったら、私は見向きもしなかっただろう。
でも「オレンジ色」だった。その窓はオレンジ色だったんだ。
すごい嫌な予感、そして淡い期待。あるはずのないことを祈る、淡い期待。
ガラスの破片を合わせていくと、オレンジ色は円の形になっていった。
脳裏をよぎる嫌な予感。そして、あふれんばかりの期待。
ついに見れるかもしれないんだ、こんな「世界」が。
ガラス片は「太陽」を形作った。それは本当に「太陽だった」
「こんな世界、あったんだ。あってもよかったんだ。」
あまりにも衝撃的だったから、私はすぐに宿に戻って、そして「日記を開いた」
「今回は物語りどころじゃないかもしれない。すごい不安だけど、わくわくしてる。初めての世界。今まで見たことのない世界。まるで、決して知られてはいけない秘密を知ったときのような。秘密の暗号を見つけた時のような。殺人現場を目撃してしまったような。そんなわくわく。」
少女はそう言うと、また「日記を開いた。」
小説書くの楽しいですね。




