第7話 なんの変哲もない『ドア』
現在、俺はダンジョンの中にいるらしい。
魔王との賭けに勝利し、ようやく安全な場所へ来れたと思ったのに。
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『星画天蓋』(☆2ダンジョン)
第6階層・セーフエリア
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唯一の救いは、ここがセーフエリアであること。
モンスターがいる気配はまったくない。
十分な食料と、水もある。
転移した瞬間にモンスターに襲われたり、空腹で死なないよう、魔王が転移先を配慮してくれたのだろう。
ここなら寝ても大丈夫そうだ。
太陽が出て明るくなってから、探索を始める。
朝が来るまでに、体力を回復しておきたい。
俺は目を閉じて眠りについたが、
どんなに待っても、
朝は来なかった。
「そろそろ太陽が昇ってきてもいいはずなんだが」
スマホの時計を確認すると、すでに昼の10時を過ぎている。
現実世界であれば、もうとっくに太陽が昇っていてもおかしくない時間だ。
「可能性としては3つ、か。
1つは、この星の自転速度が地球と違う可能性。
もしくは、時計がテキトーである可能性」
1日が24時間でない場合、もしくは、この世界の時間とスマホの時計が連動していない場合、いくら時計が昼の10時を指し示していても、それはまったく意味のない情報になってしまう。
果たして、神はそんな無駄な機能を残すだろうか?
甚だ疑問である。
「そして、最後3つ目の可能性。
それは、ここがダンジョンだから」
ダンジョンの中なら、どんなに異常なことが起こってもなんらおかしくはない。
俺はもう一度、『i map』を開く。
『星画天蓋』
星画……星の絵。
天蓋……寝具のカーテン。
「……この夜空は、ぜんぶ絵なのか?」
頭上に広がる、息を呑むほど幻想的な夜空。
星々はキラキラと光り輝いているし、少しずつだが動いてもいる。
とても絵には見えない。
見えないが、きっとこれは絵なんだろう。
俺はそう判断した。
「そうなら、朝が来なくてもなんらおかしくはない。
んで、朝が来ないなら、今すぐ行動すべきだ」
もう十分、体を休められた。
次は、このダンジョンから出る方法を見つける。
俺はさっそく準備にとりかかる。
準備といっても、やれることは少ないが。
まずは、食料と水の確保。
林の中にあったマロネの実を20個ほどアイテムポーチに保存しつつ、水もポーチに送れないか試行錯誤した。
結果、川の中に手を入れたまま「keep」と唱えることで、最大10Lの水をポーチの中に収納できることが分かった。
アイテムポーチ、めっちゃ便利。
ついでに、食料として保存しておく以外のマロネの実のうち半分を換金することで、15300G手に入れることができた。
食料と水が確保できたので、つぎは出口を探す。
とはいっても、このエリアはそれほど広くないのですぐに探索は終わった。
終わったが、ここで再び異常発生。
出入り口らしき扉が、1つしか見つからなかった。
ここはダンジョンの第6階層、セーフエリア。
であるならば、ダンジョンの出口へ続く『帰る用の扉』と、より深くへ潜る『進む用の扉』があるはず。
けれど、
どんなに探しても扉は1つしか見つからない。
それも、なんの変哲もない木製のドアが1つだけ。
白いペンキで塗られたドアノブ付きの扉が、草原の中にポツンと立っている。
見るからに怪しい。
「怪しいが、ここしか進む道がないなら行くしかない」
セーフエリアは安全だが、ずっとはいられない。
こんなところに一生囚われるなんて苦痛でしかないし、そんな人生は不自由だ。
俺は絶対に、自由な人生を送る。
たとえその先に破滅が待っていったとしても。
「よし、いくか!」
俺は勢いよく扉を開けた。
―――ガチャリ!
扉を開くとそこは、
『ゲール、フー!
《よそ者だ!》』
『ポ、フーハバッド、シェルァヌ
《ここは我らのキャンバス》』
『ゲール、タガルシュ!
《よそ者は排除せよ!》』
妖精たちの楽園だった。
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