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第6話 異世界は『ゲーム感覚で』

==========

〜アプリ〜


i health(アイ・ヘルス)


i data(アイ・データ)


i bank(アイ・バンク)


i tube(アイ・チューブ)


i board(アイ・ボード)


i ranking(アイ・ランキング)


i map(アイ・マップ)

==========


「知らないアプリだ。

 いや、それよりも!」


 これまで使っていたアプリを必死に探すが、まったく見当たらない。

 大切に保存しておいた母の写真も消えてしまった。


「 ……なんとなく、神の行動原理が分かってきたな」


 神は、無慈悲だ。

 人間のことを道具としてしか見ていない。

 だから、自身の目的達成のために不必要な弱者を簡単に切り捨てられるし、個人が大切にしていた思い出もすべて捨て去ることができる。

 有益な人間と有益なシステムだけ残して。


 馬鹿にしやがって。

 魔王の方が、まだ人間味がある。


「よし、決めた。

 試練なんて知るか。

 俺は俺の生きたいように生きる」


 母との思い出を消去され、俺はしっかりと神のことが嫌いになった。

 もう、神の言うことなんて聞くつもりは一切ない。


 そう胸に刻み込んだあと、

 俺は適当にアプリを起動した。


==========

i health(アイ・ヘルス)

〜説明〜

ユーザーの詳細なステータスが分かる。

また、取得したスキルの一覧・詳細を確認できる。

==========


 まんま、ゲームのステータスウィンドウである。

 試しに、自分のステータスを確認してみる。


==========

佐藤太一(20・男)


体力: 17/17

強度: 8

速度: 10

魔力: 11/11

闘気: 9/9


恒常パッシブスキル〜

羅纏冥加らてんみょうが(壱)

……בְ△너●qΣ×д怨T。


攻撃アタックスキル〜

・ミニ・フレイム(C(コモン)

……半径1メートル以内の任意の空間に、

  手のひらサイズの炎を生み出す。

  消費魔力1。


防御ガードスキル〜


==========


「うわ、なんか全体的にステが低い。

 ポケモ○だったら、御三家の初期ステータスだな。


 ―――て、なんだこれ?

 知らないスキルだし、

 めっちゃ文字化けしてるんだが」


 恒常パッシブスキルに、知らないスキルが追加されている。


 『ミニ・フレイム』を貰ったことは知っていたが、『羅纏冥加らてんみょうが』は初耳だ。

 説明欄も文字化けして、詳しいことは分からない。


「もしかすると、神によって刻まれた記憶の中に何か答えがあるかもしれない」


 そう思い、さっそく記憶の中を探ってみる。

 しかし、何も情報は出てこなかった。


「人類全体に付与された基礎的なスキル(バックエンド)

 もしくは、魔王が付与したスキルのどちらかだな。

 まぁ、分からないもんは無いのと同じだ」


 俺は気にしないことにした。


 とりあえず、『i health(アイ・ヘルス)』については理解した。

 この調子で、他のアプリも確認していく。


==========

i data(アイ・データ)

〜説明〜

未知のモンスターやアイテムの写真を撮ると、それに関する情報を教えてくれる。

また、倒したモンスターの数もカウントしてくれる。

==========


「これ、めっちゃ便利だな。

 ……そういえば」


 俺は林の中で見つけた謎の実を思い出した。

 このアプリを使えば、あれの正体が分かるはず。


 さっそく、林から謎の実を取ってきて写真を撮る。


―――カシャ!


==========

『マロネの実(C(コモン))』

〜説明〜

食用果実。

わずかに魔力が回復する。

シュミル地方の竜人族ドラゴノイドが好んで食べる。

==========


「食用なのは嬉しいけど、龍人って。

 なんか、ネタバレくらった気分だな」


 竜人という響きに好奇心をそそられるが、存在を知ってしまった以上、将来、彼らと出会ってもそこまで感動できなくなってしまった。


 複雑な気分になりながらマロネの実を少しかじる。


「……うま」


 バニラアイスのようなまろやかな甘み。

 食感はバナナに似ている。

 市販で売ってたら、入店早々、速攻でカゴに入れるレベルの美味しさ。


 好きだ。


 気に入ったので、2個追加で収穫した。

 握り拳2つ分くらい大きいので、これだけあれば十分だろう。


 マロネの実を楽しみながら次のアプリを起動する。


==========

i bank(アイ・バンク)

〜説明〜

金(G(ゴールド))やアイテムを保管できる。

また、アイテムをG(ゴールド)に変換できる。

〜補足〜

アイテムに触った状態で「keep(キープ)」と唱える。

→アイテムポーチに転送。

モンスターの素材は、討伐後に自動で転送。

==========


 『i bank(アイ・バンク)』は、アイテムポーチ兼換金所の役割を担ってくれるらしい。

 それが分かったら、さっそく実践だ。


keep(キープ)


 まだ食べていないマロネの実を手に持って、言われた通りの呪文を唱える。


―――シュッ!


 すると、マロネの実が一瞬で姿を消した。

 そこでスマホを確認すると、


==========

『アイテムポーチ』

・マロネの実 ×1

 (保存期間:5日)

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 ポーチ欄に、マロネの実が追加されていた。


「じゃあ、次はこれを売却して……」


 マロネの実を選択、売却ボタンを押す。


==========

所持金:100G(+100)

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 100Gで売れた。

 それがどれほどの価値なのか分からないが、ひとまず金を稼ぐ方法は分かった。


 あとで、林になっているマロネの実を半分ほど金に変えよう。

 全部採るのは卑しいので、半分は残す。


 この調子でアプリを全部確認する。


 しかし、


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i tube(アイ・チューブ)

〜説明〜

動画を撮影、投稿できる。

再生数に応じて、G(ゴールド)が手に入る。


※現在、利用不可。

 特定ダンジョン内では利用できません。

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==========

i board(アイ・ボード)

〜説明〜

ネット掲示板。

ユーザー同士で自由にチャットができる。


※現在、利用不可。

 特定ダンジョン内では利用できません。

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==========

i ranking(アイ・ランキング)

〜説明〜

ランキングを確認することができる。

総合ランキング、討伐数ランキングなど様々なランキングが存在する。

毎月、ランキングに応じた報酬が手に入る。


※現在、利用不可。

 特定ダンジョン内では利用できません。

==========


「特定ダンジョンでは利用不可……。

 ということは、俺って今……」


 嫌な予感がする。


 そこで、最後に残ったアプリを起動する。


==========

i map(アイ・マップ)

〜説明〜

現在地や転移装置トランスポーター、アイテム交換所の位置が分かる。


〜現在地〜

星画天蓋プラネタリア』(☆2ダンジョン)

 第6階層・セーフエリア

※ダンジョン内はマップ表示できません。

==========


 どうやら俺は、ダンジョンに囚われているらしい。

※補足

このダンジョン内は通信圏外です。

そのため、中にいる人のランキングは変化しません。

外に出れば、ステータスの変化が反映され、ランキングの変動が起こります。

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