日常の帰り道 その2
久々すぎて(^-^;
遅くなり申し訳ありません。
それでは、続きをどうぞ‼️
彼女を交番まで送り届け、俺は再び家に小走りで帰宅する。
(さすがに不味いよなぁ?)
交番までの距離はたいして離れていなかったのだが、行く先々で彼女がこちらの世界のあれこれに興味を示したみたいで、時折聞いてきたりで足を止めていたりしたため遅くなってしまった。
本来ならば話し半分で切り上げてもいいのだが、せっかくこっちの世界のことを知ってもらいたいし、なにより先程までのぎこちなさというか距離感が縮まった気がしたのでついつい話し込んでしまった。
・・・・・・あのおっぱいと離れるのが惜しかったとか、そんなことは思ってはいないからな?
・・・・・・ほんの少しだけ。
「っていうか、もう流石にホームステイの子が来てるかもな」
交番に彼女を無事に送り届けたころには空も夕焼け色から夕闇色に変わりつつある。
家の前で待ちぼうけを喰わせるのは流石に失礼に当たるだろうし、速度を少し上げ――――――
「ん?」
ようとして、足を止めた。
俺の視線の先には片手に地図を持っている金髪をポニーテールのようにまとめているの女の子がキョロキョロと辺りを見回していた。
黄色のパーカーにジーパンと見た目動きやすそうな服装に身を包んでおり活発な印象があるのだが、今目の前にいる女の子は涙目で主人がいなくなって心細くなっている犬のようにオドオドしていた。
(まぁ、実際犬だけどさ)
と、俺は一人自分の考えにツッコミをいれる。頭から生えている犬耳と尻尾がしょぼぼんと垂れているのだから。
「みんなぁ、どこだよぅ? ケールを一人ぼっちにしないでおくれよぅ」
こっちも用事があるのだし、一瞬放置していこうかとも思ったのだが、流石にあそこまでくーんくーんと泣いている子を捨て置くほど非常にはなれず、俺は女の子の方に近づいていく。
「あのー、どうかしました?」
「を?」
振り返る彼女と目が合う。
「いや、なんか困ってるみたいだったので」
「・・・・・・」
知らない人に声をかけられて警戒しているのか、キラリと光る髪の色と同じ黄金色の瞳が俺を捉えて動かない。
顔の形が整っている彼女にじっと見られると気恥ずかしくなり、俺は顔が赤くなるのを感じて顔を背けてしまう。
「べ、別に怪しいもんじゃねえよ。ただ、なんか悩んでるみたい------」
しどろもどろになりつつ話しかける俺の声が最後まで言い終わる前に彼女は俺の方に近寄りスンスンと鼻を動かす。
「・・・・・・えっと?」
しばらく彼女は俺の身体中の臭いを嗅うでくる。
「あのー、もしもし? なにか困ってたんじゃ。って、ちょ!?」
いたたまれない俺は彼女に話しかけようとすると、彼女はしゃがみこみ顔を俺の下半身に向けた。
流石にそこを嗅がれるのは恥ずかしいを通り越して変態的な感じだ。人の往来はないとはいえ、こんなところを誰かに見られた日には俺は国家権力に社会的に消されかねない。
「おいコラ待て待て待て。そこは許容できないって!! 離れろよって、力つよっ!?」
俺の言葉は耳に届いていないのか彼女は俺の匂いを嗅ごうと下半身に顔を近づける。
俺は力を込めて彼女の頭を持ち引き剥がそうとするが、亜人種特有の怪力には人間の腕力はあまりにも無力だ。
「ママー、あの人たち何してるの~?」
「あなたが知るにはまだ早いのよ。ほら、お邪魔してはいけないから行きましょうね」
偶然通りかかった母子に見られた。テンプレなやり取りをしていたが、母親が俺と目が合った瞬間「人の性癖も、それぞれですよね」みたいな憐れみと理解が入り交じった生暖かい笑みを浮かべられて離れていった。
「お願いします。もう、止めてください」
もう俺は彼女の頭から手を離し、自分の顔を覆ってさめざめと泣くしかなかった。
(もう、いっそ殺してくれ・・・・・・)
「きみ、タケル?」
しばらく遠い景色を死んだ魚の目で見ていると、彼女は顔をガバッと上げて俺の目を見て質問する。
キラキラと光る同じ金色の目に見とれてしまう。
「ねぇ。君はタケルなのかい?」
「あ、えっと。そ、そうだけど?」
ハッと意識を取り戻した俺はさらに近くなった彼女の顔にビックリし、のけ反るようにして頷く。
すると彼女はパアッと顔を輝かせ、耳をピンと立たせ尻尾をブンブン振った。
「良かったぁ。やっと見つけたぁ♪」
そう言って俺の下半身にガバッと抱きつく。
「あの、まずはそこに抱きつくのを止めていただけますか? そして、誰か教えていただけますでしょうか?」
「うゆ?」
とりあえず離れてもらおう。首をかしげる彼女は可愛いのだが、そこに抱きつかれるのはあまりよろしくない。俺の社会的名誉のために。
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