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純白のギャンブラー~王都カジノの少女賭博録~  作者: レブラン
3章

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39話 ギャンブル基礎講座と、四人で行う模擬戦

 あたしとユエルは隣同士に、ムエルニは対面するように座る。

 テーブルにはトランプやルーレットなどそれぞれに必要な教材が置かれていた。

 コホンと咳を払いムエルニは講義を始める。


「ギャンブルとは、お金や財産、あるいは価値のあるものを“偶然の結果”に賭けて勝負する行為のこと。勝てば利益を得られ、負ければ失うというのが根本的な部分ですの」

「確かに勝てばいいけど、負けたことで失うのは辛い……」

「そしてギャンブルのゲームは複数あって、ルーレット、スロット、ブラックジャック、ポーカー、バカラ、競馬にetc。これらが基本的でギルドの多くが採用しています。王都に限らず剣闘士競技や、持ち運び可能なボードゲーム、魔法を使った射的や普通の弓を使った射的。中には魔物を使ったギャンブルなんてのもありますの」


 こんなにたくさん……村にいたときは、あんまり知らなかったけど。

 ギャンブルってそんなに複雑なんだ……。


「選定戦では相手が得意なゲームを選んでくることもある。一つしか知らないと、それだけで不利になってしまうの」

「そうか……だから幅広く覚えないといけないんだ」

「お金と人が二人いれば成立するもの。とまあ、基礎的な部分はここまでとして、次に実際のゲームを教えます」


 ムエルニはテーブルにトランプを表向きに弧の字で広げ置いた。


「基本的に一般的なトランプを使用します。これは説明しなくてもわかるわね」

「うん、54枚のカードのうち2枚はジョーカー」

「正解。ただしカジノでジョーカーは基本的に使わないの。ただし、中には使うギャンブルもあるから。それはオリジナルルールやらローカルルールもあるの」


 サーティーンズ・デスもジョーカーを使うことを前提としたゲームだったけかな。


「そしてまずは王道のゲーム【ブラックジャック】。プレイヤー対ディーラーともに、手札の合計を21に近づけることを目指す。21を超えると負け。ディーラーと勝負し、ディーラーより21に近づければ勝ちですの」


 裏返したトランプをムエルニとユエルは1枚ずつ広げ、カード合計がユエルは19で止まり、ムエルニは23になり叩きつけた。

 ユエルは口角を上げ自慢するかの如く、嬉しそうにニヤけていた。


「して! 次は【バカラ】。バカラは“プレイヤー”と“バンカー”と“引き分け”のどれかを選び、合計9に近いかを当てるゲーム。自分はカード操作せず、どちらかに賭けるかを選ぶだけですの。ただし、カード数値はA、2~9はそのまま、10~Kは0としてカウントします」

「9になるまでって、下手したら長引いて10枚以上とかありそう」

「そうね。ただし違うわよ。合計数値が10を超えると0に戻るのだけど、配られるカードは最大3枚ずつまでなの」


 テーブルにはプレイヤー、バンカー、引き分けと書かれたマットが置かれ、あたしは引き分け、ユエルはバンカー、ムエルニはプレイヤーにそれぞれコインを置いた。カードが引かれ、プレイヤーは2枚で9、バンカーは3枚で4でムエルニの勝利。

 ムエルニはお返しとばかりに「ふふん」と嬉しそうにした。


「そして次は【ルーレット】。ディーラーが回す円盤の上に玉を投げ入れ、その玉がどの数字に止まるかを当てるゲーム。赤か黒、偶数か奇数などに賭けることもできますの」


 テーブルには組み立て式ルーレットが置かれた。

 ただ書かれている数字はカジノで見たのと一緒だけど、それぞれ外側には棒が一本突き立てられ、その上には止める用の針がついていた。普段使われるルーレットとは違って、支える台がついていて立てて置ける。


「それもルーレットなんすか?」

「ええ、立派なルーレットですの。ただし、あのルーレットを持ってくるわけにはいかないし、簡易的なのを用意しただけ。そこのあなたはどうですの?」


 後ろに気配がして振り返るとミランが立っていた。


「……てっきりフェルと遊ぶ物かと」

「ミラン! 来てくれたんだ!」

「……ここに泊まっていると聞いて……来た」

「会えてうれしい。今ねムエルニにギャンブルを教えてもらっていたの」

「どうして?」

「このままだと知識ないと迷惑かけちゃうと思って。それに選定戦に出るとき、知識はあったほうがいいなって」

「出るのか……私が教える」


 ミランの発言にムエルニはテーブルを思いっきり叩いた。


「ちょっと! この二人に教えるのは私なのだから、急に来たあなたは引っ込んでなさい!」

「……私が教えたほうがフェルには良い」


 二人は一触即発のような雰囲気を醸し出す。


「ミランって人、なんだかすごい人ですね。あれだけ喧嘩腰なんてビビりますよ」

「うん、ミランはとってもかっこ良くて頼もしい人だよ。あたしにポーカーを教えてくれた人だし」

「そうなんですか。そうじゃない気がするんですが……って、今はそんな喧嘩してる場合じゃないでしょ! 続きを話しましょうよ。あ、自分ユエルって言います、よろしくっす!」

「……よろしく」


 ミランはあたしの横に陣取るように座る。


「あんたは私の補佐をしなさい!」

「……わかった」


 ミランは少し頬を膨らませてるように見えた。

 話すこと自体初対面同士なのに仲が良くなってよかった。


「それで続きなのだけど、各プレイヤーは先にどこに止まるかを予想してコインを賭ける。ルーレットが回り玉を転がす……、まあこれの場合は針だけど、止まった所にコインがあれば勝ち」


 テーブルの上にはルーレット用マットが敷かれ、その上には各数字の書かれた赤と黒文字、赤と黒のみ、奇数と偶数、1~18と19~36のそれぞれ枠に書かれていた。

 あたしは赤、ユエルは1、ムエルニは19~36、ミランは黒へとコインを置いた。

 ルーレットを回し始め、次第に回転は緩くなり止まる。

 結果、黒の10。


「……当然」


 見た目は変わらなさそうに見えるも、あたしには少し嬉しそうに見えた。


「ポーカーと言っても色々あるけど、先に簡単に説明するの。手札と場のカードで強い役を作り、一番強い役を持つ人、または最後まで降りずに残った人が勝ち」


 束のカードからそれぞれ抜いて、各種役を揃え始めた。


「あ、役に関しては前にミランに教えてもらったよ」

「……ああ、あれで間違いない」

「自分も役は一通り知っているので問題ないっす」

「全員知っているなら役は言わなくていいわね。なら次はポーカーの種類について」


 五本指を立てた。


「1【テキサス・ホールデム】、2【オマハ】、3【セブンカード・スタッド】、4【ファイブカード・ドロー】、5はまあ……あんまり採用されないから今は覚えなくてもいい」

「どれが一番人気なの?」

「そうね、一番人気の場所はそれぞれによるのだけど、二つ。テキサス・ホールデムとファイブカード・ドローが採用されやすいわね」

「テキサス・ホールデムはこの前やったのは覚えてる」

「そう、なら役とか宣言とかは言わなくていいかしら。【テキサス・ホールデム】は特にメジャーであり、プレイヤーに2枚の手札が配られ、場に5枚の共通カードが置かれるの。自分の手札2枚と場のカードを組み合わせて最強の5枚の役を作る。一番強い役を持つか、最後まで降りずに残れば勝ち」


 だからあの人達はあたしの事を馬鹿にしてたんだ。

 この前は負けたけど、次は絶対勝つんだから!


「次に【オマハ】。これは【テキサス・ホールデム】とちょっと違って、手札は4枚となるの。つまり手札4枚から2枚+場のカード3枚で最強の5枚の役を作るゲーム。あとは流れは同じ」

「役が揃えやすいんだ」

「……テキサス・ホールデムが弱くてもオマハで強いなんてこともある」

「その通り。あたしもこっちよりオマハの方が好きよ。それで次は【セブンカード・スタッド】。プレイヤーに7枚の手札が配られ、その中から最強の5枚の役を作る。一番強い役を持つ人が勝ちだけど、役は一緒だけど流れは違うの」


 カードをシャッフルして、3枚ずつ取り出してムエルニ側とあたし達に置いた。

 手札2枚は裏向き、残り1枚は表向きになっていた。


「これが最初の手順。そして順に1枚ずつ表側で配っていき、最後の7枚目は裏側で配り、相手のカードを予想する。レイズ、コール、フォールドなどは同じでできるの」


 そうして7枚配られたカードを一斉に表に開くとあたしも真似して開いた。

 あたしはワンペア、ムエルニはツーペア。


「私の勝ちね。そしてラストに【ファイブカード・ドロー】。手札5枚を使ったポーカー。不要なカードを交換して最強の5枚の役を作る。役は他と変わらないし、一番強い役を持つ人が勝ち」


 これは昔、マヤ姉とやったような記憶がある。

 あの時はわからなかったけど、ファイブカード・ドローって言うんだ。

 マヤ姉は今なにしてるんだろう……。


「自分お腹が空いたし、そろそろ昼だから。四人もいるし、どうせならこれで勝ったら全員の驕りってやらないっすか?」

「もうそんな時間になっていたの。お昼ご飯を賭けた勝負、いいわね」

「あの……あたしお金ないの」

「フェル、どうしてですか?」

「この前のギャンブルで負けて全部無くなったの」

「まさかフェルが負けるなんて」

「……いやあの時、あいつらがイカサマしてなければ負けていない」


 イカサマしてたとしても負けてたのは事実。

 お金もなくなって動くこともできないけど、事前に宿の支払いは済ませているので、しばらく宿の確保と朝食と晩飯は問題ないはず。

 お昼は我慢生活かな……はははっ……。


「そいつらなら私がやっつけたわよ。それから、はい」


 ムエルニが1枚のカードを投げ渡してきた。


「これは?」

「予備のカードよ。中にはあんたの全財産が入っているはずよ」

「え? どうして?」

「あんたが負けたってのが納得いかなかったの。あんなイカサマ程度、見破れないなんて、まだまだね。お昼食べ終わったら、徹底的にしごいてあげるから覚悟しなさい」

「ムエルニ……ありがとう!」


 ふんっとそっぽを向くも、どこか嬉し気な表情をする。

 そんなムエルニのほっぺをユエルはニヤニヤしながら軽くつねった。


「全く、ムエルニも素直じゃないっすね。準備する前から渡そうか迷ってたくせに。それにそーんな顔しててもフェルの心配しているんですから」

「ふっ……全くだ」

「ハアァ! あんたたち今すぐ勝負しなさい! 明日から路頭に迷うぐらいお金を無くさせてあげるわよ!」


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