表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レジ袋戦争  作者: 泡沫夢、しゃーな
1/6

運命はレジ袋が繋いだ。


何もない日に、巫山戯ていたら思いついたものです。


熱が入ってしまったので、こういった形にさせていただきました。

世界からレジ袋が消えたなら____



僕達の出会いは、一枚のレジ袋から始まった。


あの日は大雨、強風という最悪のコンディションだった。


僕は傘を忘れてしまい、ずぶ濡れで街を歩いていた。


すると突然、ふわりと甘い香りがした。



「この香りはなんだろう…」



声に出てしまった。



立ち止まって振り返ると、その女性も同じように、こちらを見た。



「これは、あの…今晩のオカズなんです…」



そのレジ袋から、美味しそうに唐揚げが顔を出した。



僕は思わずそれを覗き込んでしまった。



すると、何故だかお腹が大きく鳴いた。



「あらっ?お腹空いてるんですか?」



彼女は優しく微笑する。



「えぇ、まぁ…これから何かを食べようかと考えていて。」



僕は頭を掻きながら控えめに言った。



「なら、好都合ですね。私一人暮らしなんですよ。」


____その一言が僕達の出会いになるとはまだ誰も知らない。





「では、お言葉に甘えて…」



控えめに微笑む彼女に、僕は惹かれた。



そう、僕達は恋に落ちたのだ。



それからは、この道ですれ違う度に、たわいもない話をするようになった。



オカズの話、天気の話、恰も主婦の話だが、僕は彼女と話すのが楽しみで心の支えだった。



でも、今日は違った。



僕がそこで見たのは、一枚のレジ袋と、プラスチックの容器から出て転がっている唐揚げだった。



「今日は唐揚げだけなの?」



「うん。そうかも…」



そう話す彼女は、どこか元気がなかった。



何か、あったのだろうか。



嫌な予感ばかりが頭の中をぐるぐると回る。



「あのね。エコバッグの普及に及んで…レジ袋が削減されるんだって…」



「そんな…」



僕等のたった一つの思い出の品が消えてきまうなんて。




「そんなの、僕が止める。例え僕が朽ち果てようと、世界が滅びようとも、君とレジ袋は僕が守る」



「治さん…」




彼女は、心配そうに僕のことを見た。




「大丈夫。命をかける覚悟はできてる…」




オレンジ色の空が僕らを包んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ