27話 故意か過失か
「え? ごめん……えっ?」
正直頭が追いつかない。ちょっと因果関係がわからない。場合分けをしよう。
セイレーンが悪人 → 宴席で毒を盛る戦国武将なみの畜生
セイレーンが善人(?) → 苦しんでいるのに笑顔でいつづけるサイコパス
……やばいよセイレーン! 悪意があってもなくてもアウトだよ!
「なんでセイレーンはそんなことしたの?……ってわからないよね」
死ぬ間際まで笑顔を向けられていた記憶しかないならわかるはずない。
「多分善意ではあったと思うわ。私が食べた何かも、意識を失うものだとわかって出したんだとおもう。ただ、死んだことも含めて結果は意図的ではなかったでしょうけど」
ケイコは困ったような顔をしながら首をかしげた。
「結果……ってなに?」
「せっかくだから考えてみてちょうだい」
できの悪い生徒を前にした家庭教師のように組んだ手に顎を乗せてニコニコとうながしてくる。
死んだこと以外で?
うーんとうなって答えを出せないでいるとヒントをくれた。
「仕方がない娘ね、私が証明しているのは?」
「魔物じゃない亡霊がいること?」
無言で首を振られた。
「ちがうでしょう? 私はなにを百周してきたんだったかしら?」
ああ、怖かったから記憶から消去しかけてた。そういえばそうだったね。だから、さっきの人外じみた雰囲気出さないで?
「ゲームです。だからセイレーンに殺された結果生き返る力を手に入れた! です」
ケイコはよくできましたとティーカップを掲げた。人外もひっこんでくれた。良し。
「そう。正確にはこの世界に来たときのように、それまで生きていた人の人生の続きを引き継ぐ憑依転生をする異能ね。ちなみにこういうゲームの常識は何度目かの転生で仲良くなったヒロイン枠の女の子におしえてもらったのよ?」
一瞬驚きかけたけど、この世界は乙女ゲームの世界だった。
令嬢のシータに対してヒロインのタミラという憑依転生者がいたんだから、異世界から来た人はケイコ以外にヒロインと悪役令嬢あわせて、二百人近くいたはずだよね。
「それで、セイレーンに笑顔で見送られて死んだ後、20年後覚醒したの」
「なるほど。今度はどんな人生に?」
願わくば次の結末はハッピーな天寿でありますように。
「やっぱりそこでも悪役令嬢役だったから逃げ出したわ。その次も、その次も、その次も、その次も。人生の始まりはいつも悪役令嬢。私はこの世界のバグなのよ……」
やっぱりか! だんだんとケイコの雰囲気があやしくなっていく。もうやめて! それ以上過去にとらわれないで! その黒く染まっていくまがまがしい黒髪もう一度ブリーチして!
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