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第37話:7日目、9:00 制圧

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 みんなに無事指輪を渡し終えて眠りについた修羅道三夜目は、折原(おりはら)沙弥(さや)先輩のほかに三条(さんじょう)長治(ちょうじ)がスタンバイした状態で迎えた。


 ……えっ、ちょっとまって。なんで三条長治?

 おれこいつ眷属にしてない。なんで?


「お前と肩を並べて戦うのは業腹(ごうはら)だが、ここで倒しきれなかった魔物どもは(かなめ)市に涌き出てくると言われたなら、やむを得まい」


 誰に言われたんだよそれ?


「なんかごめんね後輩クン。自称神様が嬉々として語ってたよ」


 おい。神様おい。


「そこのオニ()ーさんは自称神様の眷属((カッコかり))なんだってさ。角は引っ込めてるけど、鬼モードで強くなれるみたいよ?」


 え、三条長治の角、出したり引っ込めたりできるの?

 てことは、業鬼化したまんま?


「スキル《鬼人化》によって、理性を対価にさらなる力を得られるようになった俺に隙はない」


 理性て。それ対価にしたらダメなやつだろ。

 まあいいや。巨人みたいな大型はともかく、餓鬼とか幽霊船みたいな手数が欲しくなるときは助かるだろうし。


「早く終わったらよしよししてあげるね。だから、がんばろう」


 ダルそうな表情で自身の膝をぽんぽんする折原先輩に視線を向けて、すぐそらす。


 ああ、ほんと、スカート短いよ。目のやり場に困る。


「お前、なんだそのスカートの丈は? そんなに足を出して、はしたないぞ」


「うわなんか急に説教始めたよこの人ウザ」


「未婚の娘だろうに、貞淑たれと習わなかったのか?」


 やれやれと両手を挙げて肩をすくめる三条長治。

 …………そういえば、一条(いちじょう)(さくら)さんや二条(にじょう)(あおい)さんたち要第二の女子たちはスカート長めだったな。

 でも折原先輩は要第一の人たちよりスカートの丈短いけど。


 ……これ、あのヤロウの趣味か?


「…………あの、折原先輩。スカートの丈、調整できます?」


「えっ? 今?」


「……あ、ごめん……」


 おれだけなら、折原先輩の好きにしてもらって構わないけれども、三条長治に先輩の足見せるの、なんか嫌だ。

 そう思ったら、三条長治の目の前でスカート直せって言われたと捉えたみたいで、折原先輩は嫌そうに三条長治を見ていた。


「俺は一条桜にしか興味ないから、見ないぞ。さっさと直せ。はしたない」


「それはそれでムカつくんだけど」


 興味ないとそっぽ向く三条長治にイラつく折原先輩。

 こいつ本当に誰とも相性悪いな。


「んー、ごめん後輩クン。次には直しとくから、今は気にしないでちょうだい」


「う、うん」



『準備はよいか? では、今宵の修羅道を開幕する』


 選択した幻影は思井(おもい)佳奈美(かなみ)

 前回選んだのが御剣(みつるぎ)三樹(みき)だったので、選んだ。

 中学生組は、世界改変初日に戦い続けた高校生組よりレベルが低い傾向にある。

 低レベルの人は修羅道で得られる経験値で一気にレベルが上がる。

 スキルで分配される分もあるが、レベル上げには修羅道で幻影を呼ぶのが手っ取り早い。

 僧侶の出番はないかもしれないが、回復魔法を使える僧侶のレベルを上げておくことで、より上位の回復魔法や状態異常回復を取得するかもしれない。


「《死霊召喚》」


 今回の最初の敵は、視界を埋め尽くすほどのゴブリンだった。

 数に対抗するには、数だ。

 召喚したのは、レギオンという軍勢を意味する死霊の集合体。

 心臓のように蠢く歪な球体に、人の顔が無数に浮かんでいるおぞましい姿をしている。

 ただ、名にふさわしい力を持っている。

 5000もの死霊が凝縮されているとも言われるレギオンの攻撃は、一度に数百から数千に及ぶ肉の触手の雨あられ。

 一度の攻撃で数百のゴブリンが薙ぎ払われ、吹き飛ばされ、叩き潰される。

 鎧を着込み盾を構えるゴブリンナイトも、大柄なゴブリンガーダーも、2メートルを超す筋肉質な巨体のゴブリンジェネラルも、まとめて撃破できていた。


「ふむ。負けていられないな」


 レギオンの攻撃とおれの吶喊(とっかん)を見た三条長治は、自身も雪崩のような勢いのゴブリンの群れに突撃する。

 一匹ずつ突くのではなく、槍を振り回す回転の力を利用して、周囲をまとめて薙ぎ払っていた。



 第二波はオークの群れ10000匹。

 おれのやり方は変わらないが、レギオンの攻撃で弱ったところを、一匹ずつ確実に突き殺す方に変えた三条長治。

 佳奈美の幻影には、疲労を回復する《バイタル》を適宜使用して支援させる。

 折原先輩は、呪術の広範囲版の呪詛(じゅそ)で片足の動きを鈍くしたり、毒や混乱といった状態異常魔法で妨害を担当してくれている。

 ほかの眷属たちも奮闘し、耐久力が厄介だったオークジェネラルやオークキングも倒しきる。



 第三波は二足歩行の魚人サハギン。

 ゴブリンよりは全体的に強いが、オークよりは防御力が若干高めでHPが少ない。盾持ちも少なく鎧は上位のものでも胸当て程度。陸上ということで動きも遅い。

 水球や杖持ちの毒液魔法、三叉(みつまた)(もり)の投擲を一斉にやられると面倒だったが、そこはレギオンが壁になって難を逃れた。

 結局、上位になるほど遠距離攻撃ができる分他の魔物より物理面が弱めというなんとも残念な敵だった。



・修羅道:三夜 終幕

 ・討滅報告 (各種、キング・ジェネラル等上位種含む)

  :ゴブリン 10000体

  :オーク 10000体

  :サハギン 10000体

 ・入手ポイント:30000

 ・米1kg×10000 

 ・レトルトごはん200g×10000

 ・レトルトおかゆ200g×10000

 ・レトルトカレー200g×10000

 ・豚肉1kg×10000

 ・ハム1kg×10000

 ・ベーコン1kg×10000

 ・チャーシュー1kg×10000

 ・インスタントラーメン(とんこつ味)×10000

 ・とんかつ200g×10000

 ・豚肉生姜焼き200g×10000

 ・サラダ油1L×10000

 ・鯖水煮缶×10000

 ・鯖味噌煮缶×10000

 ・鯖フライバーガー×10000

 ・鯖の押し寿司×10000

 ・水2Lペットボトル×10000

 ・魔導書:水

 ・魔導書:毒

 ・召喚契約書:ゴブリン

 ・召喚契約書:オーク

 ・召喚契約書:サハギン

 ・壊れた鉄の武器×9900

 ・魔鉄のロングソード×50

 ・ゴブリンソード×50

 ・壊れた鉄の防具×20000

 ・魔鉄の盾×100

 ・魔鉄インゴット×1000

 ・小鬼の角×10000

 ・壊れた鋼の武器×9600

 ・鋼のグレートソード×100

 ・鋼のポールアクス×100

 ・鋼のヘビーランス×100

 ・魔鋼のハルバード×50

 ・オークチョッパー×50

 ・壊れた鋼の防具×20000

 ・魔鋼の盾×100

 ・魔鋼インゴット×1000

 ・豚の皮素材×10000

 ・珊瑚(サンゴ)の銛×9500

 ・虹珊瑚(にじサンゴ)の杖×500

 ・鋼貝の胸当て×5000

 ・鎧蟹(よろいカニ)の小手×3000

 ・堅巻貝の盾×5000

 ・月真珠のネックレス×100

 ・魚鱗×100000




・称号《6日目生存者》獲得。

 :世界改変を6日生き残ったお前たちに、褒美を与える。

 どうか、生き延びてくれ。

 :ポイント2000、全能力+1獲得。




 8:00


 おれ、御剣(みつるぎ)一華(いちか)さん、双葉(ふたば)さん、三樹(みき)の三姉妹、(あずま)(まい)さん、西園(にしぞの)美麗(みれい)さんの高校生組、思井(おもい)佳奈美(かなみ)田力(たぢから)瑠衣(るい)相沢(あいざわ)(らん)篠原(しのはら)(あゆむ)の中学生生徒会メンバーと西園(にしぞの)美鈴(みすず)(あずま)(そう)佐藤(さとう)(すず)先生、乙骨(おっこつ)(ゆう)と先輩の弓削(ゆげ)奈月(なつき)さんの大人組、高校2年の原田(はらだ)裕子(ゆうこ)先輩。以上16人のメインメンバーに加えて、サブメンバーの女子たち20人。

 ここまでなると移動はマイクロバス2台に大型車運転可能な運転手の屍鬼2人で38人という大所帯での大移動。

 要第二の一条さんたちと合流し、要第二の精鋭100人を加えてバス移動。南区の県立大学から少し離れたところで下車して、大学周辺には徒歩で移動し配置に着く。

 大学周辺では小銃や散弾銃で武装した男たちと眷属らしき屍鬼たちが警戒しており、物々しい雰囲気ではあった。

 ただ、昨日の要第二高校襲撃失敗を受けてか、夜通し警備にあたったと思われるほど疲れを見せている者もいるようだ。

 そして、そういった者たちは、叱責され、恫喝され、殴る蹴るの暴行を受けている。

 奴隷のように扱われているという男子生徒たちと、襲撃者側の暴力団組員や半グレ集団という構図なのだろう。


 包囲と突入準備をしつつ、ENSで状況を共有し合う。

 やがて、配置完了、包囲完了の報告が揃ったのに合わせて、突入を指示する。


 9:00


 盾と矢よけのお守りを装備した眷属が前に出て、その後ろに要第一、要第二の少女たちが続く。

 小銃や散弾銃を持つ者は排除対象。

 ろくな武器を持たずに暴行の痕がある者は救助対象。

 おれと眷属たちの《鑑定》スキルによって明確に分けられた基準を元に、排除対象は仕留め救助対象はその場に伏せろと指示を出していく。

 暴力を是とする集団であっても、それ以上の数と強者の証たる銃が通じない現実は、恐怖に染まるに十分だったようで、あっという間に瓦解した。

 敵側の眷属屍鬼はともかくとして、半グレ集団や暴力団組員の生きた人間たちはおれの眷属たちに仕留めさせる。


 仲間の女子たちに殺人の(ごう)まで背負わせるつもりはない。

 ……屍鬼を倒したことがあるなら、同じかもしれない。

 結局は、おれの自己満足だ。


 だから、自分自身で満足するために、


「や、やめ」


 殺して、


「ひいぃぃ、たすけ」


 殺して、


「なんで俺が、こんな目に」


 殺した。

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― 新着の感想 ―
最早一つの立派な組織ですね( ˘ω˘ )
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