表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/21

第15話:14:00、モンスターテイム

 14:00


 双葉(ふたば)さん、三樹(みき)思井(おもい)佳奈美(かなみ)田力(たぢから)瑠衣(るい)相沢(あいざわ)(らん)篠原(しのはら)(あゆむ)とおれの7人で《拠点》と化した北区の自宅へと移動することに。

 足が不自由な篠原(しのはら)を車イスに乗せて、9人乗りのバス(スキルで修繕した元事故車)にみんな乗せて、車を運転できる眷属に運転してもらい、流鏑馬婦警とガンマン眷属を護衛につけて、俺も並走する。

 するとすぐに、抗議の声が。


(たける)くん、ここまで良くしてくれている恩人が外で走っていると、私たちはとても居心地が悪いんだ。一緒に乗って移動してくれないかな?」


 双葉さんにそう言われてしまっては、しょうがないので車に乗る。

 3列シートの一番後ろに乗ると、篠原がじっと見つめてきて、なにか言いたそうにしていた。


「……ふふっ、武先輩、歩が何を言いたいのか分かります?」


 普段は変な笑い方してる相沢だが、趣味がちょっとというかかなりアレなだけで、友人思いの優しいやつだということは知っている。

 後輩にも優しいんだな。篠原を見る相沢は、すごく優しい表情をしている。


「正確なところは分からんが、なぜ自分を外に連れてきたのか、という話か?」


「……あ、……はい。…………えっと、私、捨てられます?」


「なんでそうなる。捨てない。手放さない。寿命が尽きる日まで養うと言っただろう」


 そう言って、篠原の頭を撫でる。

 足が不自由なせいか、篠原はずいぶん体が小さいように思う。そのせいか、すごく妹な感覚で自然に頭を撫でてしまう。


「…………はい…………。でも……」


「でももなにもない。篠原にはやってもらいたいことがある。おれの想像どおりなら、篠原は強力な戦力になってくれる。まあ、戦うのが嫌なら、無理強いはしない。……ああ、そうだ。一緒に昼飯のハンバーグ食べてた女子もいたな。その子も連れてくればよかったか」


「……あの、先輩。……その、どうして、ですか……?」


 篠原の様子に、ちゃんと言葉にしないと納得してくれないのだろうと感じ、頭の中を整理してみる。


 結局のところ、どうしても負い目を感じてしまう。

 世界改変後、すぐに駆けつければ助かった人たちがたくさんいる。

 要第一高校や要第一中学校には、強力なボスがいたこともあって、最速で真っ直ぐに駆けつけたなら、おれが負けていた可能性もある。

 だから、最初の寄り道は必要不可欠で、クラスチェンジしてネクロマンサーになった事も含めて、これまでのすべてが噛み合って今の結果を掴み取ることができている。


 ……だからといって、たくさんの人の死が、必要な犠牲だったなどと、言えるものか。


「…………うん、……どうして、か。……どうしてだと思う?」


「……はい。考えてみたんですけど、やっぱりよく分からなくて。私、先輩とはつながりと呼べるものが何もないし、役に立てるとは思えないので……」


「そうか。そうだよな。知らない人からの施しは、理由がないと受け取りづらいか。まあ、理由とか、あんまりない。嫌かもしれないが少し付き合ってくれ。選択肢が増えるぞ。たぶんだけどな」


「……???」


 余計に分からないって顔してるな。

 おれもまだはっきりとは分からない。

 でも、確実に言えることは、目の前の少女たちは、おれが行動した結果救った命だ。手放したくはない。

 それはそれとして、籠の鳥にしておくのも、かわいそうだとも思う。


 いつか、魔物が闊歩するこの世界でも、自由に行動できる日が来たなら。

 それには、力を得ることが最短距離だと思う。


「まだはっきりとは分かってないけど、レベルを上げて条件を満たせばクラスチェンジができるようになる。クラスチェンジは、個人の素質や行動が現れてくるみたいだから、まずはレベルアップだな」


「素質?」


 相沢が微妙に嫌そうな顔をしている。

 その素質が大量発生してるのがお前だぞ。とちょっと言いたくなった。


「鑑定スキルでも見れるぞ。それはそうと、おれの保有するスキルには、経験譲渡とか広域育成というものがあってな。まあ、百聞は一見にしかずだ」


 運転手をしていた眷属が車を止める。

 前方に魔物の集団がいて道をふさいでいた。 




・ゴブリンファイター レベル13 タイプ:亜人・鬼・悪魔・妖精

 :緑色の肌、長い鼻と耳、醜い顔立ちで頭に角がある小鬼。

 悪食にして残虐。女性や動物の雌を攫い苗床にして増える習性を持つ。

 幾多の戦闘を経て成長し、武器を持ち防具を身にまとい戦う(すべ)を得た上位個体。

 ドロップ:小鬼の角、ランダム穀物5kg、ランダム野菜5kg、所持武器防具、ゴブリンソード



・ゴブリンアーチャー レベル11 タイプ:亜人・鬼・悪魔・妖精

 :緑色の肌、長い鼻と耳、醜い顔立ちで頭に角がある小鬼。

 悪食にして残虐。女性や動物の雌を攫い苗床にして増える習性を持つ。

 弓の才を持つ上位個体。

 ドロップ:小鬼の角、ランダム穀物4kg、ランダム野菜4kg、所持武器防具、ゴブリンボウ、毒矢



・スノウウルフ レベル19 タイプ:獣・氷

 :真っ白な毛皮を持ち雪と共に雪原で暮らす狼。群れで狩りをする習性を持つ。

 肉食。鋭い爪と牙、強靭な顎、雪原に溶け込むような毛皮が特徴的で、暑さに弱い。

 ドロップ:雪狼の尾、雪狼の毛皮、雪狼の牙、白毛皮防寒服、小太刀・粉雪(こなゆき)、霊刀・白雪(しらゆき)



・スノウウルフ(幼体) レベル1 タイプ:獣・氷

 :真っ白な毛皮を持ち雪と共に雪原で暮らす狼。群れで狩りをする習性を持つ。

 肉食。鋭い爪と牙、強靭な顎、雪原に溶け込むような毛皮が特徴的で、暑さに弱い。

 まだ幼体なので戦う力は低い。

 ドロップ:雪狼の尾、雪狼の毛皮、雪狼の牙、白毛皮防寒服、雪ん子のお守り



「双葉さん、ゴブリンだけを倒してもらえる? 俺は右から」


「ああ、分かった。では左に」


 視線の先では、大量のゴブリンファイターとアーチャーが白い毛並みの狼スノウウルフの家族らしき数頭の群れを取り囲んでいた。

 ゴブリンどもは20はいるだろうか。それに対するスノウウルフは、成体が2頭、幼体が4頭と、数で大きな差があり、成体も矢を受けて血を流しているし、毒矢だったのか弱ってしまっている。

 成体2頭が背中合わせで幼体を守っているが、敵の数が多いためどうしても守りきれない場所が出てくる。

 そういった隙を突いて幼体を攻撃しようとして、成体の敵意を引き正面以外から矢を撃ち込むという卑劣だが確実な手段。


 まあ、それも、おれと双葉さんの二人なら、秒でゴブリンどもを斬り捨てることができるのだが。


 集団を通り過ぎて双葉さんと合流すれば、双葉さんが倒した分のドロップアイテムを残して、ゴブリンどもはすべて消えていた。


「双葉さん、刀をしまって。スキル《意思疎通》《モンスターテイム》」


 おれも鉈と斧を腰に下げ、スキルを行使して雪狼に仲間にならないかと誘いをかける。

 E-フォンを操作して、回復薬と解毒薬を購入、深めの皿に注いで地面に置く。

 矢に毒が塗られていることを説明し、矢を抜いた方がいいことと、回復薬、解毒薬を飲んでほしいことを伝えて、仲間になれば仔狼たちが安全に過ごせる場所を提供すると伝える。


「双葉さん、ちょっと離れよう」


 距離を取れば、雪狼たちは警戒をゆるめ、互いに矢を抜きあい回復薬と解毒薬を飲んでくれた。

 飲んで回復したことを実感したのか、雪狼のこちらに対する警戒心はだいぶ減っていた。

 視線を交わす成体の2頭。その2体から、感謝と空腹の意志が伝わってくる。仔狼たちを案じる意志も。

 雪狼が近寄ってくるので、手を差し伸べると、はむっと甘咬みした。


「ああ、双葉さん、甘咬みだから大丈夫」


「……見た目では、分からないものだね」


 噛みついてきたように見えるものの、実際は甘咬みなので心配はない。なので、その点を伝えると、いつでも刀を抜けるように手を添えた双葉さんも警戒を解く。

 双葉さんが警戒を解いたことで、雪狼たちも完全に警戒を解いたのか、おれと双葉さんの周りを回りながらふんふんとにおいを嗅いでいる。


「……えっと? (たける)くん?」


「新入りのにおいを嗅いでる的な?」


 雪狼2頭ににおいを嗅がれていると、仔狼もポテポテと走り寄ってきて、すてんと転んでしまう。


「……ふふ、可愛い」


 寄ってきた仔狼たちに、しゃがんで手を差し出す双葉さん。

 ふんふんにおいを嗅いでぺろぺろ指をなめる仔狼たちに、優しく微笑んでいる。


 …………可愛いのはあなたの方ですよ。


 そう言えたらいいのだろうけれど。



 双葉さんと雪狼を連れて車に戻る。

 後部座席のドアを開けると、雪狼たちがふんふんとにおいを嗅ぐ。大丈夫そうだと思ったのか、座席の下をくぐって荷台の方に行ってくつろぎモード。


「はい、三樹。まだ小さい仔だから、気をつけてあげてね」


 双葉さんは抱っこしている幼体の1頭を三樹に預けて助手席に乗る。

 おれも、篠原と相沢に1頭ずつ預けて、荷台にE-フォンで購入したカーペットを敷き大きいクッションを置く。

 意思疎通スキルでクッションの上だと快適と伝えると、体の大きな狼たちがクッションの上で丸くなる。

 移動して少し経つと、また空腹の意志が伝わってきたが、少し待てと伝えるとまた丸くなった。

 仔狼たちは、女子たちの腕の中で安心したのか、眠りについていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>そう言えたらいいのだろうけれど。 言えよ!!!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ