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地の底での激闘(前編)

 よくよく見ると、恐竜もどきの周りにはロックリザードの死骸が転がっている。どうやら、お食事中のようだ。見た目からして凶悪だが、何はともあれ先ずは鑑定だな。


----------------

名称:ランドドラゴン

種別:亜竜

レベル:53

筋力:97 (1226)

耐久:104(1315)

敏捷:45 (569)

器用:27 (341)

精神:34 (430)

魔力: 7 ( 88)

スキル: 体術Lv4 隠密Lv2 気配察知Lv3 肉体異常耐性Lv3

固有スキル:竜爪Lv4 竜鱗Lv3 嗅覚感知Lv3

----------------


 うむ、同じ亜竜でもワイバーンとはヤバさが違う。


 相手のステータスも見れたところで、俺とマシロはさっさと皆の元に戻る。戦うにしても全員で戦うべき相手だ、あれこれ考えるのは、皆と合流してからにしよう。



 皆の元に戻ると、俺達が偵察に行く前と同じ場所で待っていてくれた。どうやら、敵の襲撃は無かったようだ。


「おかえりなさい、どうだった?」

「マシロの言う通り、確かに強敵だったよ。敵はランドドラゴンだ」

「それで戦うの? それとも、逃げちゃう?」

「戦いもせずに逃げると申されるか、皆は冒険者でござろう」


 出迎えてくれたスズ達に、敵を見た感じの感想を伝えると、スズが逃げるかどうか聞いて来た。逃げる選択しも考慮している辺り、さすがはスズだ、伊達に付き合いが長いわけでは無い。

 イリスの言いたい事も分からなくはないが、冒険者として食っている者としては、冒険者と言えど冒険ばかりしている訳では無いと言ってやりたい。

 冒険ばかりしていたら命がいくつあっても足りやしない、冒険するにしてもここぞという時のみにすべきだろう。


「無茶はしない主義でね。そうだな…………戦うつもりではあるが、今日のところは一旦退くぞ」

「今日は退いて、明日また来るのでござるか?」

「ああ、戦うにしても万全の状態で戦いたいからな」

「……承知したでござる」


 俺が少し考えてから答えると、イリスは少し納得がいっていない様子だったが、承諾してくれ、出口に向かって先導してくれる。

 結局、俺はランドドラゴンとは戦うことに決めた。ただし、少しでも負ける可能性は減らす為に、一晩休息を取る事で、レベルアップでのパラメータの反映を済ませておこうというわけだ。



 迷宮跡地から出るまでの道中、時より遭遇するロックリザードと戦う傍ら、仲間たちのステータスを確認しておく。

 レベルは俺が41、イリスも35に上がっており、どちらもレベルアップ待機中である。スズとマシロは37で、ノルンが32だ、この3人は昨日までに上がっており、既にパラメータの補正も反映されている。

 そして帰り道で、コテツとアンズが37に、ナオが36に上がってくれた。これで、一晩の休息を挟むだけで、5人の戦闘力が上昇することになる。

 万全とまでは言わないが、あのまま考え無しに突っ込んでいたよりは、だいぶマシだろう。




 迷宮の外に出ると、すっかり日は落ちて、夜になっていた。


 魔法の光を頼りに野営の準備をし、少し遅い夕食を取る。


「済まないけど少し予定変更するよ。明日は一日休息に充てる、決戦は明後日な」

「承知しました。今日はもう遅い時間ですし、今夜休むだけでは不十分と言う事ですね」

「そういう事だ。明後日は激戦が予想できる、皆、明日はしっかり休むように」


 俺の予定変更に、ノルンが確認の形で、俺の発言を補足してくれた。このノルンの言葉はたぶん、俺にと言うよりはイリスに対してのものだろう。


 皆疲れていたためか、雑談も早々に夜番以外は、早々に休息に移り、交代で休息を取った。



 翌朝、ステータスを確認すると、レベルアップ待機中も解除されており、ちゃんとパラメータも反映され、少しは強くなっていた。ちなみに俺のステータスはこんな感じだ。


---------------

名前:アスラ

種族:異世界人

モラル:266 ↑1up

レベル:41 ↑1up

筋力:56 (788) ↑2up

耐久:60 (845) ↑1up

敏捷:56 (788) ↑1up

器用:66 (929)

精神:38 (535)

魔力:45 (634) ↑2up

通常スキル:体術Lv5 小剣術Lv5 投擲術Lv4 射撃術Lv1 隠密Lv6 気配察知Lv4 異次元収納Lv3 生活魔法Lv2 錬金術Lv4 闇魔法Lv4 風魔法Lv4 詠唱省略Lv4 精神異常耐性Lv2 肉体異常耐性Lv3 刀術Lv4

固有スキル:エアマスター

ギフトスキル:異世界人セット(中) 加護付与 万物鑑定

スキルポイント:17pt

眷属:ナオ (1/2)

----------------


 ランドドラゴンに比べて、筋力と耐久では劣っているが、総合的に見れば俺の方が少し強い。勿論、1対1で戦うつもりは無いが、最悪の場合は、皆には先に退いてもらい、その後、俺も逃げてしまおうと思っている。

 イリス、ナオ、コテツ、アンズに関しても、しっかりパラメータが反映されていることを確認した。俺以外のメンバーのパラメータは、敏捷値に関していえば、スズとマシロはランドドラゴンより高く、イリスは同じくらいで、他4人は低い。

 敏捷値が低いからと言ってまともに戦えないというわけでは無いが、相手の動きに身体が付いて行くかどうかと言うのはやはり大きいと思う。

 普通はそういったパラメータ差を技術や経験で補うことができるのだろうけど、俺達のように急激に力を付けた者の場合、その技術や経験が圧倒的に足りていない。そのため、人としての技術や経験を考慮せず、敵となる魔物と自分達のステータスをそのまま比較するくらいが、丁度良いだろうと思っている。


 その証拠の1つになるような光景が、目の前で繰り広げられている。イリスとコテツが1対1で模擬戦をしているのだ。俺の加護により、パラメータ的には圧倒的にイリスが有利なはずが、戦況は五分五分である。徐々に慣れて来たのか、イリスが勝つことが増えてきてはいるが、序盤のイリスの動きは酷い物であった。


「訓練も良いが、ほどほどにして休むようにな」

「「承知!」」


 そう告げると俺は、座ったまま浅い眠りに就いた。宿に泊まった時のように安心して休めない代わり、浅い休息を長時間取る事によって、体調を万全に戻していく。当然、あっちの方も今日はお預けだ、さっさと終わらせて思いっきり寝たいものだ……2つの意味でな。



 丸一日の充分な休息を取った俺達は、翌朝の朝食を取り終えて直ぐに、再度、迷宮跡地に突入した。


 今回、先導するイリスと索敵するマシロには、出来る限り魔物を避けて進むように伝えてある。結果、倒さないと先に進めない、ロックリザードを3匹倒しただけで、ランドドラゴンの居る手前に到着することができた。

 突入する前に念のため、付近の魔物を狩って、周囲の安全を確保し、小休憩を取りつつ作戦を確認する。


「さて、今回の作戦だが『命を大事に』でいくぞ」

「それって、いつも通りってことだよね」

「ああ、回避と防御重視で無茶はしないようにな」

「分かったよ。ちょっと悔しいけど、私達じゃ力不足なのは分かってるしね」


 スズ達の強くなるための努力は知っているが、俺だって最低限の努力はしている。まあ、力の差が徐々に詰まって来ていることを考えるに、俺の努力が足らんのか、スズ達の成長が速いのか、どっちだろうか?

 どっちもって線が濃厚だが、俺の方が有利なチートを持ってるんだ、早々簡単に越えられてはたまらない。


「力不足ってことは無いが、今回の敵は格上だからな、こいつばっかりは仕方ないさ」

「分かってるってば、せっかく今幸せなのに、無茶したりしないって」

「それならいいんだ。戦闘についてはまず、コテツとアンズ、スズとナオの2組が、前衛でお互いカバーし合いながら戦ってくれ。ノルンとマシロが後方支援で、イリスはその護衛を頼む。イリスへの細かな指示は、ノルン頼めるか?」

「承知しました。無理せず防御優先でお願いしますね、イリスさん」

「承知したでござるよ、安心して任されよ」


 まあ、細かな指示を出しても、想定通りに戦いが進むほど甘くは無いから、この程度で充分だろう。それに戦闘が始まってしまえば、最前線で戦う俺が指示を出すわけにもいかんし、詳細は各自に任せるのが一番だろう。


 作戦とも言えない程度の指示を出した後、俺達はランドドラゴンの元へ向かう。


「あれがランドドラゴンですか……すごい迫力ですね」

「そうだな、ノルンはレベルが低めだし、決して無理はするなよ」

「ええ、イリスさんに守ってもらうとします、ねっ!」

「……あっ、ああ、おっ、お任せくだされ」


 イリスが実物を前にして、意外にもヘタレている。レベルの低いノルンのほうが、冗談を言う余裕があるくらいだ。


「さて、魔法での強化が済んだら、仕掛けるぞ。ちなみに、撃たれ弱いノルンが狙われるのは拙いから、魔法での先制攻撃は無しだ」


 俺は黒鋼の太刀を取り出すと、自らに『ハイド』と『サイレンス』『デオドーラ』を掛けて、奇襲を掛けられるように、準備をする。

 ノルンとイリスは、『デボーション』で自身の全パラメータを1割程度強化しているようだし、スズは無属性魔法Lv3の『フィジカルブースト』で筋力・耐久・敏捷を1割程度強化し、剣に闇魔法のエンチャントを付与しているところだ。

 ちなみにこの『フィジカルブースト』は本来、他者にも掛けられる魔法なのだが、スズは魔法が苦手なようで、今のところ掛けられるのは自分に対してのみだった。


「これから1分後に戦闘開始してくれ、俺は背後から仕掛ける」


 俺はそう言い残し、見つからないよう気を付けつつ、一足先に敵の後方の岩場に身を隠した。



 さて、泣いても笑っても間もなく戦闘開始だ。相手は、見た目が微妙に竜っぽくないが、ドラゴンの1種である。チートを貰っただけの唯の凡人の俺に、こいつに勝てるかどうか……。


 明らかな強者を前にした俺には、戦闘開始までのその数十秒は、驚くほどに長く感じられた。



予定ではこの回で、ランドドラゴン戦が終わるはずが、戦う前に4000字を超えてしまいました。

そのため、前後編に分けています。次話は、今週中には書き上げたいところです……。

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