第十三話 〜笑顔の別れ〜
「え・・・・。今・・・なんて・・・・?」
「・・・我は魔界に帰る。帰らねばならない」
どういうことだよ・・・。
夕暮れに染まる部屋で、少女は別れを告げる。
「なんでだよ・・・」
「おそらく今、魔界は荒れに荒れている。我がいないからな」
「そんな・・・こといったって・・・・・」
「分かってくれ」
笑顔。初めて見た、『シィ』の笑顔。
俺が一番見たかったもの。
太陽で紅く染まる少女は、神々しいほど綺麗だ。
「分かれって・・・無理だよ!」
「それでも、我は行かなければならない・・・」
あの戦闘のあと、学校は休みになった。
なので家に帰ると、いきなりシィが話を始めた。
『自分は帰る』と・・・・。
「ボーリング・・・・どうすうんだよ。あんなに行きたがってたじゃないか」
「すまないな。せっかく、暇をつくってくれたのに」
微笑を浮かべたまま言う。
「行くなよ・・・・俺は、一緒に」
「無理だ」
笑みは崩さず、それでも意見を許さない強い口調で言う。
「それと・・・・安心しろ。我のことは忘れる。我は消えるのだ、この世界から」
「忘れる・・・?」
「我の記憶、そのものをこの世界の住人から消す。まぁ忠幸は消えなさそうだがな」
少し自嘲気味に笑う。
「いや・・・だ・・・・。シィのこと・・・・忘れるなんて・・・・・・」
「忘れた方が・・・いいのだ・・・・・」
「俺の意見は・・・?」
「全て・・・却下だ」
そうだろうな・・・・・・・。
「・・・・・全部終わったら、また来てくれるか・・・・?」
「え・・・・?」
シィが少し目を大きく開く。驚いているのかな。
「魔界のこと、全部終わったら戻ってきてくれるか?」
「そんな・・・ことは・・・・・」
歯切れが悪い。
「いつに・・なるか・・・・分からないん・・・・だぞ?」
「それでもいい」
「記憶はっ!!!・・・・消えてるんだぞ?」
「それでもいい」
「また来ても・・・・いい・・・・・のか・・・・・・・?」
「ああ。シィなら大歓迎だ」
そう言って、シィを抱きしめる。
少し驚いた表情をしたが、受け入れてくれた。
「だから・・・最後に・・・・・言わせてくれ」
「・・・・?」
「俺は・・・シィが好きだ」
「・・・え・・・・・?」
驚きと歓喜が入り混じった複雑な表情を浮かべて、顔を上げる。
「だから、付き合って欲しい」
「・・・っ!だから・・・我は!!」
「いいから、いつになってもいいから。俺は待ってる」
「・・・・!?」
俺は、溢れてきそうな涙を堪えて言う。
「だから・・・・・」
顔を近づけていく。
抵抗はない。
そして、唇が触れ合った時、俺の意識は急に薄れてきた。
「また・・・・な・・・・・・」
「・・・応。また会おう」
最後に見せた、シィの笑顔は最高に綺麗だった。
俺は・・・笑えてたかな・・・・?
もしかしたら、泣いていたかもしれない。
そして、意識が遠のいていく。
まどろんだ意識の中でこう言われた気がした。
「我も・・・・好きだ・・・・・」
その後、意識が完全にとんだ。
さて、となまお!も最終話に近づいてます。
また、魔王様と渡がボーリングができる日が来るといいですね
さてさて、ワタクシALMISAELこと変人作者は改名しました!!!
拍手!ワ〜。
新しい名前は・・・『神威ガンs』です。
私のネット上での本名ですw
ではでは、これからもとなまおをよろしくお願いします