エピローグ 〜おかえり〜
数週間前、俺はなにがあったかかなりぼやけている。
ひとつのことだけは、どうしても思い出すことができない。
ただぼんやりと覚えているのは、誰かがここに住んでいたということだけ。
それが誰で、どんな奴で、自分がどんな思いを寄せていたか、全て記憶が無い。
抜け落ちている、これが一番合う表現だ。
思い出そうとしても、思い出せないので諦めた。
「忘れるくらいだ、どうせたいしたことじゃないだろ」
これが俺が出した結論。
こうでも思わなきゃ、やってられない。
平穏な学校生活。
隣の空いた席。
欠席しているわけではない。
だが記録もなく、誰も誰がいたか覚えていない。
「そういやさ、お前の隣って誰だっけか?」
卓が聞いてきたが、当然覚えていないので、
「知るか。っつか知ってる訳ねーだろ」
「んーー、それもそうか」
そして、壊れたはずのゲームが息を吹き返していた。
「あれ・・・・?」
変わったことはこれくらい。
出張へ行っていた、二人のお騒がせな親は帰ってきた。
「もう、いない必要もなかったしな」
父はそんなことを言った。
「え?」
「いや、なんでも・・・・ない・・・・・・」
俺にはもちろん、なぜそんなことをいったのかも、なぜ歯切れが悪くなったのかも分からない。
そして、記憶があやふやな日から一週間がたとうとしていた。
「わーたーるー。おきろーーーー」
「んぁ。揺するな・・・・頭が痛い・・・・・」
「はいはい。いいから早く起きなさい♪」
いつも通りの、年に似合わない顔と声。
「はぁ・・・もっとなんかこう、優しい起こし方ってのを知らないの?」
「知らないよー。それに、それじゃぁおきないでしょ♪」
いや、全くもってその通りだが。
俺はいつも通り、親を部屋から追い出し、着替え、下へ降りる。
「母さん、新聞はとってきたかぃ?」
朝から、のんびりとした父の声。
「あら、忘れてた。とってきてくださいな」
「うむ」
いつものやりとり。
自分の親ながら、見てて微笑ましい。
「ほぅら。なぁにニヤケテ立ってるの?早く食べちゃって♪」
「ん、分かった」
「おーーーい、渡か母さん。ちょっと来てくれ。女の子が倒れてるーー」
「あら大変。渡、行ってきて」
全く大変そうに聞こえない声。
「分かった」
東拍川市の朝日は、特別に綺麗だ。
ビルもないので、日の出なんかは家からでも見える。
木漏れ日の中、その少女は倒れていた。
「重くて敵わん。部屋まで運んでくれるか?」
「・・・・・・」
その少女は、
身長は俺より結構低い。小学校高学年くらい。
髪は長く、吸い込まれるような黒に青が少しかかったような色。
そして一番目を引くのが、その身に着けている『金色の鎧』。
俺は、その少女に向けて言う。
「おかえり、魔王様」
これで『となまお』が完結しました。
渡の記憶が戻る所が適当すぎましたか………
まぁ、それでもこれで終わりです。
しかーし!!!
わかる人はわかる!!!
設定で最終話とはなっていません!!!
何故ならまだ、外伝があるからです。
タイトルは 〜もうひとつの出会い〜 です
渡とシィの出会いをシィの視点で、です。
あ、そうです
宣伝させてください。
今新しいの小説を書き終え投稿しました(8話まで
タイトルは『死神見習い』です。
なかなか面白い作品なんで、よろしくお願いします。
ではでは、『となまお』本当の最終話をお楽しみに。




