集合
僕は目隠しをされた状態で車に乗り込んだ。
不登校になってからほとんど初めての外出は目隠しで車に乗せられ行く先も伝えられないというYouTuberのドッキリ企画のような形になった。
僕は勇気を出して聞いた。
「あの…これってどこに行くんですか?」
「まずは他の人のお迎えかな。」
「他の人もいるんですか?」
「あと大人二人が来て三人になったら、また行き先を教えるよ。まぁ、ゆっくりしといて。」
数分のあいだ車が走ると車が止まる。
ドアの開く音と同時に「よろしくお願いします。」とおじいさんの声がした。そして、
「えっ?この子は大丈夫なんですか?」
「ああ、皆さんの個人情報の保護観点で目隠しをしてるだけで拘束してるわけじゃないですよ。
ナカさんもこの後で目隠しをお願いします。
え~と、あっあったこれだ。」
「なるほど、わかりました。
自己紹介とかはした方が良いですか?」
「あー、もう一人来るので、揃ってからにしましょうか。二度手間になりますから。」
「わかりました。」
「それじゃあ。出発しますね。シートベルトはしてから目隠しで大丈夫ですよ。」
「はい。」
車が動き出してまた何分か走ってから止まる。
ドアが開くと大人の声で
「おい、これ大丈夫かよ?」
「あぁ、大丈夫ですよ。
お迎えとかに来ると前から乗ってる人に家の場所を特定されたりめんどくさいじゃないですか。
その対策で目隠しをお願いしてるんですよ。」
「おお、なるほど。」
「ノブさんも目隠しをお願いします。」
「わかった。」
目隠しを受け取り座席に座る。
シートベルトをして目隠しをすると、
先に乗っていたであろう高齢の男性が
「引田さん、自己紹介しますか?」
「そうですね。名前は……アダ名の感じにしましょうか。ユキくん、ナカさん、ノブさんで、グループワークみたいな事もするので軽く身の上話をしてください。
到着したらもっと深く聞いたりするので。
それでは年長者から行きましょうか。ナカさんお願いします。」
「あっはい、え~とナカです。
年齢は65です。え~と離婚をしまして今は一人暮らしです。これくらいで良いですか?」
「大丈夫です。また後で目隠しをとってからしっかり挨拶もやり直しますから。じゃあ次はノブさん。」
「お、おう。ノブです。え~と年は28です。
……フリーターです。」
「じゃあ、最後にユキくん。」
「あっはい。え~とユキです。
小学五年生で………不登校です。」
「はい、皆さん色々とわからない事とかあると思いますがもうすぐ目的地に着くのでゆっくりしといてください。」
引田の声が車内に響く。
目隠しのせいで知っているはずの市内がなくなってしまうような錯覚がした。




