表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

第十六話「森の少年(後編)」

お読みいただきありがとうございます!


前回、エドガーは5年前の事件の真相に迫りました。

黒幕は、村の有力者フェリックス——


今回は、いよいよ対決!

フェリックスを問い詰め、真実を明らかにします。

そして、ケインの父アーサーの名誉回復——


3部作の完結編、どうぞお楽しみください。

第十六話「森の少年(後編)」、どうぞ。

 翌日、俺とリリア、そしてバーナード隊長は、フェリックスの屋敷を訪ねた。


 立派な石造りの建物。広い庭。

 成功した商人の家だ。

 使用人が、俺たちを応接室に案内する。


 しばらくして、フェリックスが現れた。

 五十代の男性。豊かな服装。穏やかな笑顔——


「エドガー殿、バーナード隊長。どうされました?」


「フェリックス殿、少しお話があります」


 俺は、椅子に座る。

 リリアとバーナード隊長も座る。


「五年前の、アーサー・ケインの窃盗事件について」


 フェリックスの表情が、一瞬強ばる。

 だが、すぐに笑顔に戻る。


「ああ、あの不幸な事件ですね」


「アーサーは、良い人だったのですが——」


「その事件について、調査しています」


 俺は、記録を取り出す。


「こちらは、土地取引の記録です」


 フェリックスに見せる。


「事件の一週間後、あなたはアーサーの土地を購入されましたね」


「ええ、そうです」


「相場の半額以下で」


 フェリックスは、頷く。


「アーサーの家族が、急いで現金が必要だと言うので」


「では、なぜ急いで現金が必要だったのですか?」


「それは——アーサーが投獄されたので、生活費が——」


「つまり、あなたはアーサーが投獄されることで利益を得た」


 フェリックスの顔から、笑みが消える。


「何を、仰りたいのですか?」


「フェリックス殿」


 俺は、別の記録を見せる。


「こちらは、告発の記録です」


「アーサーを窃盗犯だと告発したのは、あなたですね」


「……ええ」


「倉庫の管理者として、当然のことをしただけです」


「では、なぜアーサーが犯人だと思ったのですか?」


「証拠がありました。彼のナイフが、倉庫にあったのです」


 俺は、リリアを見る。

 リリアが、ノートを開く。


「アーサーのナイフ——彼が大切にしていた物ですね」


「絶対になくさないと、息子のケインが証言しています」


 フェリックスは、黙っている。


「フェリックス殿、もう一つ」


 俺は、オズワルドの証言を話す。


「目撃者がいます」


「事件当日、あなたが倉庫から出てくるのを見た人物が」


「手に、何かを持っていた——アーサーのナイフに見えたと」


 フェリックスの顔が、青ざめる。


「それは——」


「あなたが、アーサーのナイフを倉庫に置いた」


「証拠を、偽造したんです」


 フェリックスは、立ち上がろうとする。

 だが、バーナード隊長が扉の前に立つ。


「フェリックス殿、お話を聞かせてください」


 *


 フェリックスは、再び座る。

 だが、もう笑顔はない。


「なぜ、そんなことを?」


 俺は尋ねる。

 フェリックスは、しばらく黙っている。


 そして——


「……土地だ」


 小さく言う。


「アーサーの土地が——欲しかった」


「あの土地は、肥沃で、水源に近い」


「何度も買い取りを申し出たが、アーサーは断った」


「先祖代々の土地だからと——」


 フェリックスは、拳を握る。


「だから——」


「陥れたんですね」


 俺は静かに言う。


「アーサーのナイフを、どうやって手に入れたのですか?」


「……彼が、市場に置き忘れたのを見つけた」


「そして、それを使って——」


「倉庫に侵入し、ナイフを置いた」


「そして、アーサーを告発した」


 フェリックスは、顔を伏せる。


「決闘裁判では——」


「私は剣が得意だった。アーサーは、そうではなかった」


「勝つことは、分かっていた」


 リリアが、涙を浮かべて言う。


「アーサーさんは、無実だったのに——」


「牢屋で、病気で亡くなったのに——」


「分かっている!」


 フェリックスが叫ぶ。


「毎日、後悔している!」


「だが——もう、取り返しがつかない」


「いえ」


 俺は言う。


「今からでも、遅くはありません」


「真実を、公にしてください」


 フェリックスは、俺を見る。


 そして——

 深い溜息をつく。


「……分かった」


「全て、話そう」


 *


 その日のうちに、フェリックスは衛兵隊に自首した。

 正式な取り調べが行われ、全てが記録された。

 アーサーの無実が、正式に認められた。


 そして——

 俺たちは、森のオズワルドの小屋を訪ねた。

 ケインに、全てを伝えるために。


 *


 ケインは、俺たちの話を黙って聞いていた。


 そして——

 涙を流した。


「父さん——」


 ケインの声が、震える。


「父さんは、本当に無実だったんだ——」


 オズワルドが、ケインを抱きしめる。


「良かったな、ケイン」


 ケインは、しばらく泣いていた。

 やがて、顔を上げる。


「エドガー様——ありがとうございます」


「いえ。当然のことをしただけです」


 俺は、ケインにしゃがんで目線を合わせる。


「ケイン、これからどうしますか?」


「村に、戻りたいですか?」


 ケインは、オズワルドを見る。

 オズワルドが頷く。


「私も、村に戻ろうと思う」


「ケインと一緒に」


「本当ですか!?」


 ケインの顔が、輝く。


「ああ。もう、隠れる必要はない」


 バーナード隊長が言う。


「ケインの窃盗については、不問にします」


「生きるために、やむを得なかったことですから」


「ただし、これからは正直に生きてください」


「はい!」


 ケインが、力強く頷く。


 *


 一週間後。

 オズワルドとケインは、村に戻ってきた。

 小さな家を借り、二人で暮らし始めた。


 オズワルドは、再び薬師として働く。

 ケインは、オズワルドの助手として。

 村の人々も、二人を温かく迎えた。


 フェリックスの罪が明らかになり、アーサーの無実が証明されたことで、

 ケインへの同情が集まったのだ。


 *


 ある日、ケインが俺の家を訪ねてきた。


「エドガー様」


 ケインは、俺の前で頭を下げる。


「本当に、ありがとうございました」


「父さんの名誉を、取り戻してくれて」


「僕も、村で暮らせるようになって」


「全部、エドガー様のおかげです」


「いえ、真実を明らかにしただけです」


 俺は、ケインの頭に手を置く。


「これから、オズワルドと幸せに暮らしてください」


「はい!」


 ケインは、笑顔で頷いた。


 その笑顔は——

 森で出会った時とは、まるで違っていた。

 明るく、希望に満ちている。


 *


 ケインが帰った後、リリアが言う。


「エドガー様、良かったですね」


「ええ」


「ケインさん、本当に嬉しそうでした」


「これで、お父様も——」


 リリアは、少し泣きそうになる。


「安心できますね」


 俺は頷く。


 アーサー——

 彼は、もうこの世にいない。


 だが、息子のケインは救われた。

 名誉も、回復された。

 それで——良かったのだと思う。


 セバスチャンが、部屋に入ってくる。


「若様、リリア様、次の依頼の手紙が届いています」


「次の依頼?」


「はい。隣町からです」


 セバスチャンが、封筒を差し出す。


 俺は、それを受け取った。

 開封して、中身を確認する——


 また、新しい事件だ。


「リリア、準備はいいですか?」


「はい!」


 リリアが、ノートとペンを取り出す。

 俺たちは、次の事件へ向かう準備を始めた。

お読みいただき、ありがとうございました!

フェリックスとの対峙、真相の解明、そしてケインの救済——


複雑に絡み合った伏線——

5年前の冤罪事件と、現在の窃盗事件。

そして、予想外の真相——


フェリックスは村で信頼されていた人物でしたが、

実は5年前に冤罪を作り出していました。


ケインは、父を失い、全てを失った少年でしたが、

エドガーの推理で救われました。


次回からは、また新しい展開!

隣町からの依頼とは——?


引き続き、お楽しみください!

ご感想、ご評価いただけると励みになります。

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ