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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
桃園血盟~後宮~編

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第48話 英雄リョウコ

後宮にキョウ王女・カイ王子の護衛として配属されたアビは、キョウ王女と交流し、彼女と友となる。キョウ王女は後宮の悪魔妲姫の協力のもと、たびたび王宮を抜け出しては貧民街の聖女ルオとして貧民街の人々を救済していた。キョウ王女の奔放さに振り回されつつもアビはキョウ王女の人柄に惹かれていく。




私たち護衛は、グループごとに順に場外に呼び出されていた。


「別のグループのものに聞いたが、新しい指導員として、あの英雄リョウコが来たらしいぞ。」


集合場所に向かいながら同僚のトウマが話しかけてくる。


鋭い目つきが特徴のショートカットの異国風の女騎士だ。


「英雄リョウコ?」


聞いたことがあるようなないような。


「知らないのか?レイ国王陛下とおなじく、かの勇者のパーティーのメンバー、というか、勇者の元妻、生きる伝説だぞ。」


勇者、そのなれの果てが、革命家ヨウト。


国王は勇者パーティーのメンバーでありながら、国を衰退させたイメージしかない。


「正直、勇者のパーティーとやらにはろくなイメージがない。」


つい本音がでる。


「おい、不敬だぞ。」


不敬といわれても異世界から来た私にはピンとこないわけだが。


「勇者のパーティーということは結構なご年齢だよね。」


「ああ、おそらくは70代だとは思うが。」


英雄リョウコかどんなひとだろうか。


ワタシとトウマは集合場所に向かった。





ワタシの他、数十名の護衛が整列する。


場外のため、男性の騎士や傭兵たちも並ぶ。


前方には隊長らしき姿や、傭兵隊長として、ハクエイの姿も見える。


「本日から、あのリョウコ殿が指導員として参加してくださることになった。」


隊長らしき騎士が、一人の女性戦士を紹介する。


年齢は70代くらいだろうか。


背筋はのび、戦士というより女武闘家という感じだ。


リョウコ氏は一礼して下がる。


「なお、リョウコ殿には王女殿下の護衛もしていただくことになった。護衛部隊は後ほど直接稽古をしていただけることになっている。 」


70代か…。


(人としては十分高齢なのだが、ビゼンやアオよりは遥かに年下なんだよな。)


そんなことを考えながら、訓練場へ向かう。



訓練場にはワタシやトウマの護衛隊が10名ほどと。


ハクエイの傭兵隊が10名ほど集められた。


そして、あのリョウコが前に立つ。


(このばあちゃんになにができるのかね。)


「このばあちゃんになにができるのかね?そんな風におもったかな」


リョウコは笑っていう。


(うそ!?心を読まれた?!)


「一応、言っておくが心なんて読んでないからね。みんなの顔にそう描いてある。」


リョウコは笑う。


ワタシを含め数名の兵がどきりとする。


「今、顔色がかわった人、あんたとあんた、それのそこの3人前にでなさい。」


ワタシは呼ばれる。


(やばい、怒られるのか?)


「まあ、百聞は一見にしかずだ。これから1分ほど私と戦ってもらう。」


リョウコはそういって構えをとる。


「リョウコさん、あれをやるつもりか体は大丈夫か?」


ハクエイがリョウコに声をかける。


「1分くらいならね。この子たちを片付けるなら1分もかからないよ、」


リョウコは不敵にわらう。


しかし、大した魔力も感じない、並のお年寄りよりは肉体はすごそうだけど。


「あんたたちに、魔法をスキルの講義をしよう。そこの眼帯の女の子、魔法とスキルはどうちがう?」


リョウコは私の方をみていう。


私は右目を究姫キュウキに奪われて以来、右目は眼帯だ。


「魔法というのは体系化された技術 、そして、自分の魔力が源のものと、自分の魔力を媒介にして、精霊や神や魔神から借りる場合がある。」


そんなふうにならった。


「一方、スキルは自分の魔力が源、故に個人の経験や鍛錬で磨くこともできる。おなじ系統のスキルでも個人差がでる。」


私はこの世界にきて学習した教科書通りの回答をする。


「そう、だから訓練すれば、魔王や魔人たちに匹敵する力を得ることもできるのさ。こんなふうにね。」


リョウコがそういうと、彼女の体から凄まじい魔力がほとばしる。


【限界突破】ーー解析不能


ワタシのスキルが反応し、解析不能とでる。


しかし、解析などしなくても見ればわかった。


「こ、これは!」


見ている兵士たちが皆驚愕する。


彼女の体がみるみる若返る20代前後の美しい戦士の姿に若返っていた。


「【限界突破オーバードライブ】 。これが私のスキル。肉体の限界を超えて、自分の肉体を強化する。私はこのスキルを使うと肉体が全盛期に若返る。じゃあ、はじめるよ!」


そういうと、リョウコは私たちの方に突っ込んでくる。


私は足払いをされたということだけはわかった。


受け身もとれず、地面に頭をぶつける。


「うぐう!」


痛みで声が出て、頭を抑える。


5人は瞬く前に叩き伏せられた。


「30秒くらいもってほしかったけどね。」


そういうと、リョウコはもとの姿にもどる。


しかし、肩で息をしているのが見える。


「相変わらず、すげー力だな。」


ハクエイがリョウコに声をかける。


「でも、長くはもたないね。実戦は無理だよ 。」


リョウコが笑って返す。


いやいや、バケモンか、このばあちゃんは。


ヨクトやビゼンより強いかもしれない。


なるほど、魔王すらも倒すわけだ。


「じゃあ、順番にスキルから見てやるからね。」




こうしてリョウコ「さん」によるトレーニングが始まった。


気がつけばワタシは内心、リョウコを『さん』付けで呼んでいた。





「なるほど、条件発生型の解析スキルね。珍しいね。」


ワタシは自分のスキル【翻訳者】について、リョウコさんに相談した。


「整理するとこうか。未知の言語や暗号を読むことができる。誰かがスキルを使ったらそれがわかる。ただし、相手の力が上だと名前はわかるが、能力の中身はわからない。」


「最近まで、誰が使ったかもよくわからなかったんですけどね。」


「じゃあ、私の【限界突破オーバー・ドライブ】も解析不能だったわけだ。」


「まあそうです。」


「じゃあこれはどう?【着火】」


リョウコさんの指先に小さい炎が灯る。


【着火】-解析不能


「解析不能ですね。」


一見、小さい火がでるだけのスキルだが。


「これはただ、小さい火をつけるだけのスキル。」


指先に火を灯しながらリョウコさんがいう。


「魔法でもできそうですね。」


「そう。魔法でもできる。でも魔法は体系化されているだけに解析も封印もされやすい。スキルはこんなものでもひとそれぞれ。」


(そして一つ分かったことがある。)


「これでわかったね。アビ、あなたのスキル【翻訳者】はスキルの強弱ではなく、使用者との強さの差がわかる。」


「なお、身体強化ドーピングの魔法をかけたら精度があがるみたいなんですよ。」


「じゃあ、身体強化ドーピングをかけて、この火を解析してみて。」


私はいうとおりにする。


【着火】-解析不能


「だめですね。解析できない」


あのロフのスキルも解析できんだけどな。


「ひょっとしたら、何か条件があるのかもね。」


リョウコさんはいう。


「あのヨウトのスキルも不安定だった。」


「勇者のスキルがですか。」


「そう、感情とかに左右されていたよ。だから確率操作で自分のスキルの発動確率をあげていたな。」


無茶苦茶だな。


それが勇者というやつかもしれない。


「ところで、この【翻訳者】って名前をつけたのは自分?」


「ええ、まあ。最初はぼんやりした感覚で、それで異世界、いや、この世界の文字を読めることに気がついて、そうつけたんですよ。そしたら、スキルにも反応することがあとから分かって。」


「うーん、たぶん。」


リョウコさんが腕を組んで考える。


「多分、名前と能力があってないからうまくコントロールできてないのかも。」


「そんなことあるんですか?」


名前と能力に関係があるなんて聞いたことがない。


「あくまで私の経験値だけどね。スキルに名前というラベリングがされることで、強化されることはままある。私の【限界突破オーバードライブ】なんてそのままだ。」


なるほど。


ビゼンの【闘神】やヨクトの【豪傑覇気】もイメージ近いな。


私の【翻訳者】という名前はスキルの解析という能力だが、スキル名とスキルの内容に距離があるな。


「しかしだ、強いスキルは元々名前をもっているんだ。」


「元々名前をもっている?」


どういう意味だろう。


「例えば、【勇者】。今は革命家となったヨウトのスキルさ。あれはヨウトが名付けたわけじゃない。彼がいうには頭に降りてきたらしいよ。」


そういって、リョウコさんはこめかみに指をやる。


「【勇者】、どんなスキルだったんです?」


気になって聞く。


「複合的なスキルだね。勇者補正、無効貫通、確率操作、瀕死時強化、精神攻撃無効、などなど。」


(勇者補正ってなんだよ。)


(しかし、確率操作とかチート系だな)


「あの、ちなみに私も【魔勇者】とかいうスキルがあるみたいなんですが。」


「【魔勇者】?どんなスキルだい?」


リョウコさんは訝しがる。


「”思いを受け継いだものの力を一部得る”らしいんですが、特になにもないんですよね。」


「まだ、あなたの力が達していないのか、あるいは条件をみたしていないのかもね。おそらくは仲間の能力をコピーするスキルなんだろうけどね。」


そういうと、リョウコさんは構える。


「1分だ。それ以上は体がもたないからね。」


「え?ワタシと戦うんですか、前に何もできず負けましたが。」


「あれは、不意打ちみたいなものだからね。さあ、構えな。」


リョウコさんはそういうと【限界突破オーバー・ドライブ】を発動し若返る。


私も自身に身体強化ドーピングをかけ訓練用の剣を構える。


すると・・・


限界突破オーバードライブ】--自身の肉体を限界を超えて強化する。


みえた!


「来い!シルフ!突風波!」


私は得意の戦術を放つ。


突風で相手の体勢を崩す。


地味ではあるがどんな相手にもきく。


そして、寸止めするつもりで、追撃をかけようと剣を突くが…


魔力シールドにはじかれる。


(この人、魔法もできるのか!?)


そして、カウンターの右ストレートがワタシの目前で寸止めされる。


「まいりました。」


私は笑って負けを認める。


「アビ、あなたは集中力が高まるとスキルの精度があがるのかもね。」


そういうとリョウコさんはまた元の姿に戻る。


と、同時にリョウコさんの膝が折れる。


ワタシは慌てて駆け寄る。


「大丈夫ですか⁉」


「はは、大丈夫よ。このスキルはもう実用的じゃないわね…」


リョウコさんがつぶやいたとき。


‥‥‥⁉


魔力


虚空から魔獣が現れる。


下半身が蜘蛛、上半身が少女。


「私はアラクネ、リョウコばあちゃん、悪いけど死んでもらうよ。」


そう言うと、アラクネは下半身の口から体液を吐き出す。


「リョウコさん!」


私は盾で体液を受け止める。


きったねえー!


「おい、女、お前なんかに用はない。ビャヒャヒャヒャ。死にたくなければひっこんでろ!」


「そうはいかないわよ。それより、あんたは何者よ⁉」


ワタシは静かにアラクネと対峙する。


「いっただろ!私はアラクネだよ!ビャアアア!」


「そういうこと聞いてんじゃないわよ!」


アラクネの爪と私の剣が交差した。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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