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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
桃園血盟~後宮~編

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第41話 キョウ王女

私たち護衛は宦官に導かれ、後宮の奥へと進んだ。


廊下は静かで、足音だけが響く。


やがて重い扉の前で宦官が立ち止まった。


「これよりキョウ王女殿下、ならびにカイ王子殿下に拝謁する。」


宦官が扉を開く。


「新任護衛、参上いたしました。」


私たちは中へ入ると、すぐに跪いた。


部屋の奥には高い席があり、そこに二人の王族が座っている。


一人は少女。


年は私とそれほど変わらないだろう。


長い黒髪、顔をヴェールで覆っていて顔はうっすらとしかみえない。


これが――キョウ王女。


その隣には、まだ幼い少年が座っていた。


カイ王子だろう。


王女の後ろには宦官たちが控え、中央にはジヨウが立っていた。


ジヨウが一歩前に出る。


王子は少し緊張した様子でこちらを見ている。


「殿下。こちらが新たに後宮護衛に任じられた者たちにございます。」


王女は小さくうなずいた。


「顔を上げよ。」


私は顔を上げる。


王女は私たちを順番に見ていく。


一人一人の顔を見ていく。


やがて――


王女の視線が私のところで止まった。


しばらく沈黙が続いた。


「そなた。」


王女が言った。


「そこのもの。」


「……はい。」


「名は。」


「アビと申します。」


王女は小さく笑った。


「アビ。後で私の部屋へ来い。」


その瞬間。


ジヨウがすぐに口を挟んだ。


「殿下。」


静かな声だが、はっきりとした制止だった。


「護衛を私室に入れるのは――」


ジヨウの言葉はそこで止まった。


王女がこちらを見ずに言う。


「まずいか。」


短い沈黙。


ジヨウはわずかに目を細める。


そして一礼した。


「……いえ。」


「殿下の御意のままに。」


王女は満足そうにうなずいた。


「では決まりだ。アビ。後で来い。」


私は一瞬だけ戸惑った。


しかしすぐに頭を下げる。


なにか問題があったのだろうか。


「……承知しました。」


まわりからいくつもの視線を感じた。





宦官につれられ王女の私室に向かう。


「殿下、護衛のアビをお連れしました。」


宦官がドア越しに声をかける。


「入れ。」


「ハッ」


私は宦官に促され入室し、王女の前で跪く。


「お前は下がれ。」


そういわれて宦官は下がる。


「アビといったな。お前、呼ばれて理由はわかっているだろうな。」


全くおぼえがない。


というか、初対面だ。


「刻印のことでしょうか?」


それしか思い当たることはない。


顔を伏した まま答える。


「なにいってんの?余の顔を見忘れたかあ?」


急に冗談めかした口調で話しかけられ、つい顔をあげる。


そこにいたのは……


「ルオ!」


おもわず声がでる。


あの、悪魔、妲姫にやられた護衛だった。


そして、


「テッテレー!ドッキリ大成功!」


部屋の奥から、あの妲姫がドッキリ大成功などと書かれたプレートともって現れる。


どうなってんの?


おもわず、固まるワタシに、ルオことキョウ王女は「どうだった?私たちの迫真の演技は?」といたずらっぽくこたえる。


私はなにも言えず固まるしかなかった。



「殿下、ほらみろ。固まってるじゃないか」


そういうと悪魔妲姫は銀髪で褐色の女官に変身する。


「あんたが気合いれて、血のりなんかつかったから、あれがリアルすぎたんだよ。」


「王女、王子の護衛だ、鑑定スキル持ちに私の幻術を見破られるかと警戒したのだが、まさか、一発で看破されるとはおもわなかったよ。」


そんな友人のように軽口をかるく後宮の悪魔と王女。


どういう関係なんだ。


「あー、ごめんね、アビ、おどろいたでしょう。」


「は、はい。」


私は真意を測りかねてそういうしかなかった。


「あー、かたいかたい。お互いもう裸まで見せ合った仲じゃない。」


いや、王女殿下だぞ。


しかも悪魔と談笑してる。


固まるだろ。


「あの、よろしいでしょうか。」


「何?」


「私が呼ばれたのは、ドッキリの種明かしのためでしょうか。」


率直な疑問をぶつける。


「アハハハハ。それもあるけど。それがメインじゃないよ。」


そして王女は少しだけまじめな顔をしていう。


「お前、私の真の護衛にならないか?」


「いえ、もともと私は殿下の護衛ですか。」


「そうじゃないでしょ。あなたはジヨウの部下でしょ。私の直属の部下にならないか。という意味だ。この妲姫の姿を一発で見抜いたお前は只者ではない。」


真意を測りかねる。


「隠す必要はない。どいつもこいつも私を利用したいだけだ。私を守るのは私が殺されたら都合が悪いからだ。実際、この宮廷に私の護衛などひとりもいない。」


ああ、そうかこの人はわかっているのか。


「実際、この宮廷で私がもっとも信用しているのは、この妲姫だけだ。悪魔は契約を守るからな。しかし、妲姫は後宮から自由に離れられない。私には私の部下が必要なのだ。そして、私の国を作りたいのだ。」


キョウ王女は私の眼をまっすぐ見つめる。


「アビ、もちろんただとは言わない。アビ、私がお前のその刻印の免罪金も払おうじゃないか。悪くないはなしだろう。」


「いえ、殿下お気持ちはうれしいですが、これはお金の問題ではないのです。」


「それはどういうことだ。」


隠すようなことでもないし、話すか。


私は話した。


ダークエルフを助けようとしたこと、仲間を助けるために、コウロを契約したこと、コウロがダークエルフ誘拐犯とつながっている証拠を見つけたらコウロの力でダークエルフへの差別を撤廃させることを青竜アオと究姫キュウキの前に約束させたことを。


そして、アオ、ビゼン、ヨクトたちのことを。


王女は黙って聞いていたが。


「お前、仲間のためにそんな目にあったのか。」


王女は私の手をとる。


「やはり私の眼に狂いはなかった。」


「お前すごいな。あの青竜様と究姫様に認められているのか。というか、とんでもないやつだな。」妲姫が腕を組んで感心する。


「それにしても、あのコウロはやはりろくでもないやつだな。私は王位にこだわるわけじゃないが、カイが王位についたら、私はすぐに殺され、いずれカイも殺されるな。」


王女は椅子の上に足をのっける。


素の彼女は大変行儀が悪いようだ。


「しかし、私はお前がうらやましい。」


「どういう意味でしょうか。」


「お前は刻印持ちとはいえ、二人の義姉弟ぎきょうだいがおり、100人近い支えてくれる仲間たち。さらにはあの青竜様が盟友で、究姫様にすら目をかけられている。」


王女は遠くをみていう。


「私は王女などと言われているが、私の仲間はだれもいない。」


「私がいるじゃないか。」


妲姫が手を取る。


「悪魔がただ一人の友人とは終わってるな。」


王女は自嘲気味にわらう。


「いずれ、お前も約束通り自由の身にしてやるからな」


「その時をまっているぞ」


妲姫が王女に語る。


私は二人のやり取りを黙ってみていた。


「アビよ、先ほど言ったことは取り消そう。部下ではない、盟友になってくれぬか。」


「恐れ多い。」


「何を言う。」


王女は笑う。


「お前はあの青竜様の盟友ともいうべき立場なのだろう。それにお前の目指すところと私の目指すところは近いはずだ。」


王女は窓の外をみる。


「アビよ。この国はもうすぐほろびる。」


「王女、何をおっしゃいます。」


「いや、もう天命は尽きている。それは避けられない。しかし、私が立て直して見せる。アビ、コウロなどに頼るひつようはない。ダークエルフの差別も、いやダークエルフだけでない、全ての貧困を私はなくしてみせる。そのためにお前は私の盟友となってくれ。」


そういって、王女は私に手を差し伸べた。


アマンなどは王女は聡明だ、なんていっていたが、この人はおもったより大きな人だった。


「わかりました。」


そういって私は王女の手をとった。


「今後は二人の時は友として接しろ。」


「わかったわ。殿下、いえ、キョウ。」


私にあらたな盟友ができたらしい。






‥‥‥


すると、王女はなぜか、服を脱ぎだす。


「殿下、いやキョウ、なぜ服を‥‥‥」


「下々では、体で友情を確かめ合うのだと妲姫が教えてくれたぞ。」


すると、妲姫がだまってこっそり部屋から出ていく。


あ、あの悪魔…


「いえ、キョウ、それは友情ではなくて……」


私は耳打ちする。


一瞬、顔を赤らめるキョウ。


「ま、まあ、しかし‥‥私はお前も妲姫も愛しておるから構わぬぞ‥…」


なにを言い出すんだこいつは。


「いえ、私はまだこころの準備が。」


「そ、そうか、で、では無理にというわけにはいかんな。」


そういって殿下は服を整える。


しかし、私はどうやら仕事ではなくて本当の意味で殿下の護衛をすることになったようだ。


わが妹、ビゼン、弟、ヨクトはお前たちにもはやくこの人を紹介したいよ。

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